ベビーカーやチャイルドシート、哺乳瓶など安全で高品質なベビー用品を開発・販売するコンビ株式会社では、家族の健康をサポートする事業として、乳酸菌を始めとする機能性食品の開発・製造も行っている。

豊かな生活の基本である健康を食の面から提案する素材として、食品メーカーなどに売り込み、時には製品化にまでかかわるのが、ファンクショナルフーズ事業部の営業である五十嵐美貴氏だ。

全く予備知識のない状態から事業部に飛び込むも、多くの顧客と確固たる関係を築き、同事業の拡大に貢献する五十嵐氏に、新しい環境を楽しみ、自分らしく働き続ける秘訣を聞いた。

「分からない」は成長のチャンス

―新卒で営業職として入社した時の御社の印象はいかがでしたか?

五十嵐 美貴:
ユーザーが見える商品を扱っている会社に入社したくて、知人が使うチャイルドシートのCombiロゴを見たことをきっかけに、コンビに新卒で入社しました。内勤よりは自分に向いているという意識があり、当初から営業志望でした。

コンビは女性が多い印象があるようですが、当時の営業に関しては同期5名のうち女性は私1名。大きな組織だと想像していたのですが、意外とアットホームで、部署が違っても会話がしやすい職場だったのが印象的でしたね。

営業職も個々にノルマが課せられるのではなく、自分自身のスキルを磨いてチームで成績を上げていこうという雰囲気が感じられて、女性でも違和感なくスタートすることができました。


―5年目にファンクショナルフーズ事業部に異動されました。全く違う商品を扱うことに、戸惑いはありましたか?

五十嵐 美貴:
自社及び研究機関との共同研究などを通じて科学的データに基づいた機能性食品を開発・販売する事業部でしたので、専門知識のない私が担当することに当初は不安も感じました。

ただ、予備知識のないゼロからのスタートは、逆に分からないことを素直に周りに聞いて成長できるチャンスだという感覚もありましたね。未知の業界であったし、覚えることも多い中ではありますが、「新しいことへのチャレンジ」という面から、楽しみ・ワクワク度の方が上回っていました。

自分自身をお客様に見てもらうために意識したこと

―知識が乏しい中、どのようにご活躍の場を広げていかれたのでしょうか。

五十嵐 美貴:
本当に無知な状態だったので、かえってプレッシャーを感じることもなく、分からないことは周囲に積極的に聞きまわりました。業界のことも知りたかったので、商談の場でも私がお客様に質問してばかりいたくらいです。

ただ、最初に商談に行った今でもお付き合いのあるお客様は、当時の話になると「全然分かっていなかったが、何かやりたい気持ちが伝わってきた」と仰ってくださいます。

社内の上司や先輩方は勿論ですが、お客様にも今もなお育てていただいており、日々感謝の気持ちの中で活動しております。

現在所属している部署には研究員がいることも、非常に良い環境だったと思います。

専門的なことはその道のプロである研究メンバーを頼れるというメーカーとしてのフォロー体制が整っていたので、いわば「ご興味いただくまでのきっかけづくりが私の仕事で、必要であれば研究メンバーとともに再訪できる」というスタンスで、まさにチームワークだと思って、安心して商談・提案活動をすることができました。


-現在は営業のエースと言われる存在だと伺っておりますが、なぜ、顧客との関係を深めることができたのでしょうか。

五十嵐 美貴:
営業はメーカーの顔ではありますが、まずは私自身を見てほしいという思いで接していました。ヒトとヒトとのつながりが深い業界であると感じたため、コンビファンが増えるよう積極的に様々な企業との接点をもてるよう意識しながら活動しました。

新規顧客を増やすことが売上拡大のポイントでもあるので、様々なお客様へ積極的にアプローチできることも、楽しさ・おもしろさのひとつだと感じており、そこでの出会いで今も良い関係を続けていただいている企業が多く、1年の活動は今の自分の仕事に生きています。

お客様への提案に加え、対企業という視点から対等にディスカッションや相談などもできて、提案の幅がかなり広がっています。

例えば私たちが取り扱う商材に乳酸菌という原料がありますが、時には商品での形態を求めているお客様もいらっしゃいます。そんな時に、自分の中に「あの人とあの人に相談しよう」と当てがあれば、商品化まで設計して提案することができるのです。

ご検討いただく各メーカー様のプロダクトに自分の意見が反映され商品化されたものもありますし、街中でその商品が売られている喜びを感じることもできました。お客様には恵まれていますね。日々、色々なことがありますがとても楽しいです。

周りを変える=真摯に自分の意見を伝える

―お話を伺っていて、五十嵐様は臆せずにお話をなさる印象を受けたのですが、営業の経験によって培われたのでしょうか。

五十嵐 美貴:
性格による部分も大きいかもしれませんが、ベビー事業部での経験や、日々の活動や商談をする中で、自分の意見はしっかり持って伝えていかなければならないと感じてきました。うわべだけでは相手の気持ちにはなかなか届かないと感じております。

新人の頃は知識もなく本質を突いた意見を持ったり、伝えたりするのは難しかったのですが、今の事業部は移ってきて6年目。経験による深みが加わり、少しずつではありますが考えの幅や視野も広がった結果、アプローチしやすくなったと感じています。

全体の意見に流されるのは簡単ですが、常に自分が納得して活動をしたいと思っており、そのためには意志ははっきり持っていたいのです。

その環境に染まりたいのなら染まればいいし、自分が本当に変えたいという気持ちがあるのなら、一度で伝わらなくても伝え方や視点を変えるなど、それに対するアプローチはするべきです。

コンビは意見や考えを積極的に発言できる環境だと思います。意見が通らない場合があっても、その結果改めて考えることにより、考え方の幅や視野が広くなると思います。変えたいことがあるなら自分からアクションを起こしてみる、という意識は常にありますね。

同じ時間を過ごすならば、楽しくやる

―五十嵐様の今後の展望をお聞かせください。

五十嵐 美貴:
さらに研究を進め、よりよい製品をつくり出すには売上げを増やすことが必要で、それは営業の役割だと思います。ファンクショナルフーズ事業部を拡大して、更に太い柱へと成長させる力になりたいですね。

私はとても環境に恵まれており、自分が納得できる仕事がしたいと思って取り組んでいます。

意識して活動した方が、どのような場面でもポジティブに考えられると思っており、自分自身の為になることも多いと考えています。同じ時間を過ごすなら楽しく成長しながら取り組みたいという気持ちとまわりへの感謝の気持ちは、これからも持ち続けていきたいと思います。

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編集後記

新しい事業部に移ったばかりのときは、わからないことは素直に認め、相手の懐に飛び込んで教えを乞うたという五十嵐氏。相手のことを知りたいと思う姿勢も、顧客に信頼感を与えたのだろうと感じさせた。

自分の意見を持つ重要性を信じ、「変えたい気持ちがあるならば、自分で変えていけばいい」と前を向く五十嵐氏ならば、今後のコンビ株式会社で期待されるファンクショナルフーズ事業部の大きな力となるに違いない。

五十嵐美貴(いがらし・みき)/1986年生まれ、大東文化大学卒業。2009年、コンビ株式会社に新卒入社。ベビー事業部の営業として東京や大阪の営業所で活動する。2013年、機能性食品素材などを開発・販売するファンクショナルフーズ事業部に移り、営業として活躍する。趣味は散歩、料理、旅行。

※本ページ内の情報は2019年4月時点のものです。

この企業の社長のインタビュー動画

50年以上支持される「コンビブランド」の源泉と成長戦略

コンビ株式会社 代表取締役社長 五嶋 啓伸