※本ページ内の情報は2024年1月時点のものです。

株式会社中原三法堂は、岡山県と広島県に17店舗を構える西日本最大級の仏壇・仏具・墓石・霊園の専門店だ。

創業130年を超え、地域のお客様から高い評価と信頼を獲得し続けてきた。

今回は代表取締役の木村謙吾氏に、社長に就任した時の心境や仕事への向き合い方、組織強化などについて話をうかがった。

135周年を迎えた老舗仏壇・仏具・墓石・霊園専門店の代表取締役に就任した時の気持ち

ーー社長に就任されることが決まった時の心境はいかがでしたか?

木村謙吾:
もしかしたら任命されるかもという雰囲気は感じていたのですが、いざその時が来ると「従業員や中原オーナーから認められ、使命を与えてもらえた」という気持ちになりました。

さらに期待に応えるためにも全力で仕事に取り組もうと決心できた瞬間でした。現在も、会社に恩返しをする気持ちを持って働いています。

仕事にも人にも丁寧に接したい

ーー高校卒業後は建設業界へ入社されたとのことですが、その背景を教えてください。

木村謙吾:
高校卒業後、エレベーターの備え付けの職人として働いていました。私は工業高校出身で、進路を考えたときに大学進学も考えたのですが、「学生はいつでも経験できる」と思い、まずは社会人になる道を選択しました。

当時大企業にはあまり興味がなく、「中小企業でコアな仕事を経験したい」と思っており、その中でエレベーターやエスカレーターに興味を持ちました。自分が携わったことが目に見えて形に残る仕事という点にも魅力を感じたのです。

ーーエレベーターの職人を経験される中で学ばれたことはありましたか?

木村謙吾:
仕事の細部まで丁寧に行う力を学び、身につけられたと感じています。エレベーターやエスカレーターの設置は、ミリ単位で設置や調整をしなければなりません。そうしないとエレベーターの安全性を保てないので、最後まで細かいところに慎重に取り組む意識を持つようになりました。この意識は今の仕事でも、お客様への接し方などに活かすことができています。

何よりも人を1番大切にし、お客様にも従業員にも丁寧に接していきたい

ーー仕事をする上で大事にされている価値観は何でしょうか?

木村謙吾:
お客様や従業員、全ての人に対していかに丁寧に接するかといった点を大切にしています。予算や商品など他にも必要なものは当然ありますが、仕事の根幹となるのは人だと思っており、「人を大切にしたい」という思いを常に持ち仕事に取り組んでいます。

ーー人を大切にするために心がけていることはありますか?

木村謙吾:
軸を相手に置いて物事を考えるように心がけています。

「どうすれば人を大切にできるか」を考えたとき、自分の考えや思いを押しつけるのではなく、そもそも相手が何を求めているのかを見極めることが大切です。

では「どうすれば見極められるか?」というと、相手に深く寄り添うことです。そして相手に寄り添う力を高めることが人間力を高めることにつながり、お客様に対してのパフォーマンス力も上がっていくと考えています。

ーー社内全体で人間力を養うために取り組まれていることはありますか?

木村謙吾:
主に2つのことに取り組んでおります。

1つ目は、一貫性のあるメッセージを社内全体に発信することです。

私は社員に、お客様や周りの人との向き合い方や人間力の大切さを伝えています。それと「あの時こう話していたのに、1年経った今は全く違うことを話している」といったように、社長の発言の軸がぶれると説得力がなくなってしまいます。よって、私の思いは変わらないことを社員全員に伝えるよう心がけています。

2つ目は、社員1人1人と真剣に向き合い、話を聞く時間をつくることです。社員は皆何かしら強みを持っているので、時には教えを乞い、お互いが教えあって思いを伝え合っていくという関係を築けるようにコミュニケーションを取っています。

直近の取り組みとして、「質問会」を開催しました。これは店長が自由に私に直接質問することができる会議です。社員の不安や心配事を丁寧に解消することが代表取締役である私の仕事だと思っているので、遠慮なく質問をしてもらえて嬉しかったです。

このように、社員の不安を解消することが社員のパフォーマンスを高めることになり、接客のパフォーマンスも上がると信じております。

これからも、お客様や社員皆が幸せになるため、現代に適した新たな取り組みを増やし続けていきたいと思っています。

時代の変化に合わせたツールを提供し続けていきたい

ーー近年ではお墓や仏壇を持たない家庭もありますが、この時代の変化についてどう考えていますか?

木村謙吾:
今後も時代は変化し続けると思いますが、祀るという文化がなくなることはないと考えています。祀る意識というものは人間誰しもが持っています。

今後は、お墓や仏壇に限らず時代に合わせた祀り方に変化していったときに、弊社はその変化に対応できる柔軟性を持っておくことが大切だと思っています。

フラットな環境で効率性・生産性の向上を実現する

ーー今後、組織強化のために取り組むことはありますか?

木村謙吾:
社員1人1人に、仕事の目的や会社の思いが伝わるような仕組みづくりに取り組んでまいります。

会議以外の場でフラットに相談し合える環境づくりにも取り組んでいます。ミーティングや会議の場を設けることも大切ですが、日頃から何かあったときに「話し合える」「相談し合える」雰囲気や体制をつくることで、皆がスピーディーに対応できます。結果的に無駄な会議を減らすことにもつながり、全体的な効率性や生産性を上げられると思っています。

やりたいことに躊躇せずに挑戦してほしい

ーー最後に読者に向けてメッセージをお願いいたします。

木村謙吾:
仕事でもプライベートでも、やりたいと思ったことに積極的に挑戦してほしいです。何か新しいことを始めたいと思ったときに躊躇してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、その躊躇には何らかの原因があるものです。

できない理由を探すのではなく、できる理由を探して行動し、挑戦につなげていってほしいと思っています。

編集後記

創業130年を超え、地域のお客様から愛される企業を目指し、努力を続ける木村社長。

お客様へのサービス向上だけでなく、社内の組織強化にも挑戦を続ける中原三法堂に今後も注目をしていきたい。

木村謙吾(きむら・けんご)/岡山県倉敷市出身。1997年9月株式会社中原三法堂入社。営業職として笹沖店に勤務。1998年に県外初出店の福山市蔵王店に異動となるが、その後笹沖店に復帰し2006年に笹沖店店長となる。2014年に社長室室長を担い、2021年11月に現職の代表取締役社長に就任。「第一義」を常に意識し、中原三法堂に関わる全ての人々の満足度が上がるために最善を尽くす。