【ナレーター】
シロアリ対策において、国内トップのシェアを誇るプライム上場企業「株式会社アサンテ」。
施工実績60万軒以上、全国に80以上の拠点(2025年3月時点)を有し、シロアリ防除を中心としたハウスメンテナンスを通じて、顧客に安全、安心、快適性を提供している。
近年では、神社仏閣などの保護・保全を目的としたプロジェクトの立ち上げや、国内で初めて、シロアリやトコジラミをにおいで見つける探知犬を導入するなど、事業の裾野を広げている。
業界のトップランナーが見据える未来と、その実現に向けた思いに迫る。
【ナレーター】
自社の強みについて、宮内は品質の高いサービスを支える人材と信頼性を挙げる。
【宮内】
弊社が心がけているのは、施工品質、営業品質、社員としての品質です。人の行為が商品となるため、商品品質を高めるためには「人」を磨くしかありません。当社では研修施設を設けており、研修をすることで、お客様の前に出られる品質を持った社員が活動できる点が大きな特徴です。
また、財務基盤がしっかりしていることもアピールポイントです。この仕事は施工して終わりではなく、5年ごとに防除施工を行うスタイルですから、財務基盤がしっかりしていることで「末永くお客様のサポートができる」と伝えることができます。
そして、コンプライアンス体制。こちらにも力を入れています。当社はお客様相談室の中に「お客様相談課」と「サービス審査課」を設けており、「お客様相談課」ではさまざまなお問い合わせにお答えする。
「サービス審査課」では、お客様にお電話を差し上げ、契約に至る過程において不備がなかったか、営業の言動に行き過ぎたことはなかったかなどを確認し、契約意思を確認した上で施工に進みますので、慎重にやっていると思います。
【ナレーター】
宮内のビジネスパーソンとしての原点は、企画を行う部署でのエピソードにある。新卒で入社後、企画部門へ配属され、そこで自身が企画したキャンペーンの成功と失敗を通じて、ある重要なことに気づかされたという。
【宮内】
お客様単価を上げることが命題ですので、オプション商品を値引きする企画を実施しました。すると、オプション商品をお勧めしなかった営業が、あえて話すようになったのです。
結果として、狙い通りになりました。1ヶ月を通して実施したキャンペーンは成功したのですが、営業がマンネリ化して2ヶ月目は全くダメになったのです。
当社の商売は人が行う施工ですから、販売する人間のモチベーションがとても大事です。お客様が求めているものを売るマーケットインなのですが、営業がその気になって売らなければ売れないということを学びましたね。
【ナレーター】
その後、取締役営業本部長、常務取締役営業本部長など順調にキャリアを重ねた宮内は、2020年に創業者である前社長の逝去に伴い代表取締役社長に就任。当時の心境について次のように振り返る。
【宮内】
準備期間が全くなく、社長業としての要諦をなかなか掴めないままの手探りのスタートでした。
そのような状況のなかコロナが始まりました。私も社員も経営に対して強い危機感を感じていましたが、私がオロオロとうろたえたら絶対にダメだと思い、「今は我慢のときかもしれないけど、頑張っていこう」とメッセージを伝えることが、最初の仕事だったのです。
給与問題や休日問題などの福利厚生をしっかり整備することから始め、「前を向いていこう」と会社を進めていきました。
【ナレーター】
現在、中国・四国地方を中心に拠点を広げているほか、探知犬の導入など、さまざまな挑戦をしているアサンテ。成功させるために意識していることとして、宮内は「成功の前例をそのまま焼き直して繰り返さないこと」だと言い切る。
【宮内】
うまくいったパターンもありますが、バージョン2、バージョン3としていくときに、一旦全部を捨てて、もう一度ゼロからつくることをしないといけないと考えています。
プレゼンテーションの資料も、前年度の数字から今年度の数字に変えるだけで形にはなりますが、それだとつまらないし、成功につながらないと思うので、一度、すべてを捨てるようにしています。見せ方も含めてフラットな状態にすること。それが新しい発想を生む重要な要素です。
ヒントは世の中にいろいろと転がっています。たとえば、他社さんが行っているマーケティング。街中を歩いていると、目に付く広告があります。
目を惹く理由を自分なりに突き詰めて「こういう見せ方があるんだ」というところから、当社なりにカスタマイズしていくことが大事だと考えています。