※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

株式会社シェーンコーポレーションが運営する「シェーン英会話」は「2023年オリコン顧客満足度ランキング」の「子ども英語小学生」において、2年連続で第1位を獲得している。

また、コロナ禍で渡航困難となり、休業や閉鎖が多い留学エージェントの中でも、株式会社国際交流センターが運営する「ISS留学ライフ」は海外への道筋を築き、いち早くV字回復を果たした。

これらのグローバル事業2社の社長を兼務する敏腕代表取締役社長が石谷雄也氏だ。社員の力を信じ、何事にも楽しさを前提として突き進んでいるからこそ見えてくる閃きがあるのだろう。

英会話教室と留学事業で実績をあげ、数社の社長を兼任する敏腕社長

ーー英語事業に進んだきっかけを教えてください。

石谷雄也:
アメリカの大学で培った英語力は「仕事としてやっていける」と思い、株式会社栄光に入社し、栄光ゼミナールで講師、教室長として働いていました。

それから5〜6年経った頃、「英語の時代がくるぞ」という流れがあり、創業者が引退するタイミングで子会社化されたシェーンコーポレーション(以下シェーン)で、当時20代で取締役を任されたのが英語事業に進んだきっかけです。

シェーン英会話の実績を順調に伸ばし、2015年に栄光に戻るのと並行して、子会社化されたISS(国際交流センター)で留学事業に取り組むようになりました。

2017年にはグループ会社の豪州の子会社の経営を引き継ぎ、ニューヨークに複合教育施設をつくるという新規事業を任されることになりました。私の出身大学がニューヨークにあったため、現地のコネクションなどもあり、立ち上げた翌年に法人化が実現できました。

ーーいろいろと事業を任され成功させていますが、最初に社長に就任されたのはいつですか?

石谷雄也:
2015年にISSの社長に就任したのが最初です。その後、海外2社の社長を兼任し、2019年にシェーンに戻り、社長を任されて4年になります。

全国外国語振興協会の理事やいくつかの理事も兼任し、1ヶ所にじっとしていないので「どこで何をしているんだ」とよく言われるほどです。

ーー社長としてスタッフに向けた「A・B・C・D・E」とは何でしょう。

石谷雄也:
A:当たり前のことを
B:馬鹿にしないで
C:ちゃんとやる
D:できるだけ
E:笑顔で

「目の前のことを着々と、できることから行い、中途半端に終わらせずにやりきる。
楽しくやればみんなの力が集まり大きな力になる」そんな思いを込めた言葉です。

シェーン英会話が採用する直接教授法

ーーシェーン英会話ではどのような教育方針をお持ちなのでしょう。

石谷雄也:
シェーンは1977年の創業以来「直接教授法」を採用しています。ネイティブ講師が話す英語を日本語を介さずにダイレクトに学んでいくというスタイルです。

ダイレクトに音として入れるということは、「間違えたら恥ずかしい」という日本人特有の羞恥心がしみ込んでいる大人にはなかなか難しいですね。

英語を母国語としていないアジア系の大人たちは時には正確ではない英語を話しますが、「なんとかして伝えたい」という気持ちが優先すれば恥ずかしさはありません。

シェーンでは、その「間違えたら恥ずかしい」という羞恥心をなくしていける楽しい環境をつくることが重要だと考えています。

コンセプトはENGLISH FOR LIFE

ーーシェーンならではの強みについて教えてください。

石谷雄也:
「とにかく楽しいスクールにしよう!」をモットーにしています。

英語は人生を豊かにするために必要なコミュニケーションツールです。
「いろいろな人と出会い、コミュニケーションをとる手段として楽しく英語に触れてほしい」という取り組みは、SDGsの一環として外務省からも評価を受けています。

ーー安定したクオリティのスタッフ陣はどのようにして採用していますか。

石谷雄也:
スタッフは国籍も年齢も性別も一切関係なく、海外にいるリクルーターが質の高い講師を直接連れてきています。コロナ前は年間約80人の講師を採用していました。

もちろん、日本国内でも採用はしていますが、ロンドンに採用拠点があるため、イギリス人講師が多い傾向です。

コロナ禍に耐え留学業界でいち早くV字回復したISSの一点突破術

ーーISSがコロナ禍で活路を見出した「Co-op(コープ)留学」とはなんですか。

石谷雄也:
「Co-op留学」はカナダで行われている有給インターン制度です。

コロナ禍で渡航制限が始まり、隔離期間があるため短期留学は難しくなり、休業に追い込まれるエージェントもあるなか、ISSは踏ん張って5支店(東京・横浜・名古屋・大阪・福岡)とも休業せず、スタッフにもしっかりと給料を支払い、留学できる方法を探し続けていました。

ISSの顧客の8割が個人留学者であるため、個人向けの留学方法を探究し、「Co-op留学」に辿り着きました。この制度なら現地でお金を稼ぎながら長期滞在が可能です。「海外からの集客に苦戦する語学学校と一緒に一点突破を図っていける!」と、コロナ禍の影響から脱却する第一歩として始めました。

「ISSならコロナ禍でも留学ができる」というブランドイメージの確立につながり、一点突破の糸口となったものの、動けば動くほど赤字が増えるというのが実情でした。

それでも耐えて踏ん張った結果、大ヒットという成果を得ることができました。

ISSがコロナ禍後の留学業界を牽引している理由

ーーいち早く有給インターン制度に特化し、業績が躍進した理由は何でしょうか。

石谷雄也:
学生の立場に立って考えた結果、有給インターン制度に辿り着きました。どこよりも早く扱い始めたものの、その後、他のエージェントも扱うようになり、それによって、どこが選ばれるかは金額が勝負になりました。

そこで、ISSでは「金額ではなく誰から買うかが重要」ということに集中し、社員で勝負しようと考えました。

ISSには留学コンサルタントとしての社員が50人ほどいます。その社員たちはお客様と一緒に考えられる社員であり、提案する知識もたくさん持っているため、それが満足度の高さにつながったのだと思います。

お客様の期待を超えるサービスを提供できるかけがえのない社員たちです。

ーーそんな社員の育成方法について教えていただけますか。

石谷雄也:
ISSの社員は全員留学経験者で、自身の経験を踏まえて相談に乗ることができます。しかし、留学には多くの選択肢があり全てをカバーするのは難しいため、定期的に勉強会を開催しています。

また、ISSにはカナダ専門、イギリス専門など各国の専門チームがありますが、それぞれの最新情報を共有しながら、横のつながりを大切にしていることも私たちの強みの1つです。それぞれの国に行ったことのない社員は、現地ツアーに添乗や視察の機会を提供しています。

現地体験によって知識を深め、よりお客様にマッチした提案をできる社員になってもらうためです。そして、個々の強みを活かせるバランスのよい採用や配置をしています。

英語をより身近に感じてもらうための展望

ーー今後のお客様の開拓について教えてください。

石谷雄也:
シェーンもISSも含め、私たちはまだ「お客様に私たちのサービスを理解してもらうための努力が不足している」と感じています。

このような場でもっと、英会話や留学の楽しさやお客様の可能性の広がりを伝える機会を増やしていこうと思います。

Co-op留学も自信をもっている商品ですが、まだまだ認知度は高くありません。
ビジネスとしての拡大というより、より多くの人に魅力のある提案を伝えて、さらにお客様の求めているものを探していきたいと思っています。

編集後記

コロナ禍で低迷する企業も多いなか、社員を誰一人手放すことなく業績を上げ、語学・留学業界を牽引しつづける石谷社長。

お客様目線で楽しんでもらえることを一番に考え、社員を信頼しているからこそできる事業拡大や、楽しい新規アイデアの創出に今後も注目したい。

石谷雄也(いしたに・ゆうや)/2004年、株式会社栄光に入社。2010年に「シェーン英会話」の経営に取り組み、2015年ISS(株式会社国際交流センター)の代表取締役社長に就任。豪州と米国の子会社の代表取締役社長も務める。2019年には株式会社シェーンコーポレーションの代表取締役社長に就任。全国外国語振興協会やNY州NPO団体の理事も兼任している。