企業が成長し続けるには、絶え間ない変革が求められます。特に競争の激しい市場では、革新的なビジネスモデルと柔軟な姿勢が不可欠です。
1955年の創業以来、インテリア・内装・建材卸の総合商社として確固たる地位を築いてきた株式会社サタケ。「困ったときに頼れる存在」として顧客の需要を汲み取り、信頼関係を築き上げてきた同社は、今、次の100年を見据えた新たな挑戦を始めています。
今回は、取締役社長である佐竹信敬氏へのインタビューを通して、その独自の経営哲学と未来への展望に迫ります。

「困ったらサタケ」を支える顧客第一の精神:創業70年の歴史と独自のサービス
ーまずは、貴社の事業内容と、どのようなお客様にサービスを提供されているか教えていただけますか。また、自社製品を持たない中でどのように独自性を打ち出しているのでしょうか。
佐竹社長:
株式会社サタケは、多岐にわたるインテリア商材をメーカーから仕入れ、専門業者様へと卸売販売を行っています。壁紙や床材、カーテン、照明器具、水回り設備、家具、建材など、戸建やマンション、病院、商業施設といった幅広い建設現場で使用される商材を取り扱っています。
主要なお客様は、工事を請け負う施工会社や職人さんといった、いわゆる「川下」の業者の方々です。しかし、時代の変化とともに「川上」の業者さんや元請けに近いお客様、さらには一般のお客様へも積極的にアプローチを試みております。
例えば、DIY商品やインテリア雑貨を扱うネットショップ「style+」を展開しているほか、オーダーメイドのインクジェット壁紙「HalCos(ハルコス)」の販売も手がけており、賃貸物件にお住まいの方や貸店舗の事業者様からも高い評価をいただいています。
私たちは自社製品を持っていません。そのため、「サービス」で独自性を打ち出すことに注力しております。単に商品を売って終わりではなく、お客様に「プラスアルファ」の価値を提供することを弊社の基本的な理念として掲げております。
具体的には、①.地域密着のサービス、②.迅速な対応、③.各店舗の地域ネットワークによるサービス、④.インテリア総合商社としての豊富な品揃え、⑤.講習会開催などの情報サービスの5つを提供。これらのサービスを通して、お客様にとって「困ったときに頼れる存在」となることを目指しています。
ー御社の創業の経緯や、事業に対する思い、これまでのご苦労についてお聞かせいただけますか。
佐竹社長:
創業は1955年、私の父の代に遡ります。もともとは襖や障子を扱う仕事でしたが、同業者間の不買運動が起こり、仕入れが困難になった時期がありました。
そんな中、海外から壁紙やインテリアが日本に流入し始めました。当時は糊もパテもなく、貼り方もわからない状態でしたが、弊社は新しい分野への挑戦を決意し、現在のリフォーム業者さんにつながる方々と取引を開始しました。こうして、壁紙やインテリアの販売へと事業を転換したのです。
父は非常にエネルギッシュな人で、資金調達には大変な苦労もあったようですが、「戦争よりマシだ。あの頃の苦労に比べたら、資金繰りの苦労なんてたいしたことはない」と語っていた姿は今でも印象に残っています。
私たちは創業以来、「お客様を大事に、仕入先を大事に、社員を大事にする」という経営姿勢を貫いてきました。この根幹は変えず、しかし時代の変化に合わせて柔軟に対応していくこと。それがサタケの変わらない思いであり、これからも守り続けていく姿勢です。
価格競争を超えて:コンサル力と提案力で深める顧客との絆
ー 貴社はどのような営業スタイルで売上を上げているのでしょうか。また、お客様にご満足いただけるよう、会社としてどのような努力をなさっていますか?
佐竹社長:
私たちサタケの営業スタイルは、お客様のニーズを深掘りして、商品のメリットを最大限に伝えることにあります。単に価格で勝負するのではなく、お客様にとって『困ったらサタケ』と言っていただけるような存在になることを目指しているからです。
そのためにも、営業担当者一人ひとりが、単なる『物売り』にとどまらず、ビジネスパーソンとしての魅力、そしてコンサルティング力や提案力で差別化を図ることを重視しています。お客様の潜在的なニーズを掘り起こし、『とにかく安いモノを使おう』ではなく、『多少お金をかけても、良いモノを使おう』とご納得いただけるような、プラスアルファの価値を創造し、提供することが重要です。いかにお客様の『ファン』を生み出すか、これが私たちの営業の根幹であると考えております。
更には、お客様からのあらゆるご要望に対し、迅速な対応を心がけています。商品の問い合わせはもちろん、見積もりや納期短縮、欠品時の代替提案まで、スピーディーに解決することで常に信頼関係を築くことを意識して動いています。
年に数回開催する販売会や点検会では、『応援しているよ』『サタケさんがいるから安心して任せられる』といったお客様からの温かいお言葉をいただくことが、私たちにとっての大きな喜びです。お客様に認められる存在となること。それが、私たちの営業活動の最終的な目標であり、果たすべき責務、そして強みであると考えております。
未来を見据えるサタケの挑戦:佐竹信敬社長が描く「次の100年」への戦略
ー 佐竹社長はどのようなお人柄で、これまでのご経歴は貴社の社風や企業文化にどのような影響を与えてこられたのでしょうか。
佐竹社長:
私自身は、よくマイペースだと言われます。本を読むのが好きで、社交的というよりも、一人で静かに過ごす時間を大切にするタイプです。
ただ、これまでの経営を振り返ると、「運の強さ」には恵まれてきたと感じています。周囲の方々には、良くも悪くも、見返りを求めずに何かをしてあげることが多かったのですが、それが全て自分に返ってきたわけではないと感じることもありました。しかし最近では、それが巡り巡って「恩」として形になっているように思います。
私の経歴ですが、大学卒業後、すぐに当社に入社しました。当時は規模が小さく、支店もありませんでしたが、父(創業者)が社長だった時代に千葉に支店を出すことになり、『千葉に行ってお客様をゼロから開拓してこい』と言われ、スタートを切りました。
社交的ではないにもかかわらず、お客様を増やすために一生懸命営業し、高度経済成長の波にも乗ることができました。自尊心が高い一面もありますが、他の中小企業の社長さんと比べても、私は『一生懸命働いてきた』という自負があります。
こうした経験から、当社の社風は中小企業ならではの『ゆったりとしていて、アットホーム、マイペースでガツガツしていない』雰囲気が根底にあります。私自身が常に努力し、困難に立ち向かってきた経験が、社員にも『お客様のために成果を上げることの大切さ』という形で影響を与えていると感じています。
創業70周年を迎えた今、この根底の温かさはそのままに、時代の変化に合わせて様々なエッセンスを取り入れ、会社が常に進化していく姿勢を社員たちにも示しています。
ー『次の100年』を見据える中で、貴社が現在、そして今後、力を入れていかれる事業戦略や具体的な取り組みについてお聞かせください。
佐竹社長:
現在、市場は厳しい状況にありますが、私たちはこれを変革の好機と捉え、来年から10年先を見据えた計画を進めています。
まず、来年始動予定の重要な計画は、『営業活動』と『配送業務』の分離です。これにより、営業担当者がお客様対応に集中できる時間を大幅に増やし、営業力を強化します。営業マン一人ひとりの『売り』を明確にし、提案力を高めることができるでしょう。
この営業力強化と連動するのが、『お客様からの問い合わせに3時間以内に返答するサービス』の実施です。同業他社でここまで明確なスピードを謳うところはほとんどありません。『サタケは早い』というイメージを確立し、お客様との信頼関係を一層深めます。迅速な対応は業務効率を劇的に向上させ、お客様との対話にゆとりをもたらします。このサービスをスタートさせ、5年後には業界トップを目指します。将来的には、問い合わせへの回答だけでなく、商品の提案も加えた付加価値の高い対応を目指し、現在、商品データベースの整備を進めています。
社員のモチベーション向上にも力を入れています。給与や賞与のアップ、バースデー制度の充実、成績に応じたチーム戦でのコンテスト賞与企画など、具体的な還元策も考えています。
私たちは、『昔ながらの慣習が根強く残る業界で、新しいことにチャレンジし、イノベーションを起こそうとしている』。そんな風雲児のような、それでいてワクワクする熱い会社として、サタケのブランドイメージを確立したいと思っています。
挑戦を支える人材と企業文化:サタケで叶える成長と働きがい
ー貴社に入社すると、どのようなスキルや経験が得られますか?また、どのような人物像を求めていますか?
佐竹社長:
サタケに入社する最大のメリットは、「人としての魅力」「コンサルティング力」「提案力」が身につくことではないでしょうか。私たちは、単に商品を届けるだけでなく、お客様の抱える課題に対して様々な角度から提案営業を行います。その提案がお客様に響き、うまく成果につながった時には、大きなやりがいを感じられるでしょう。お客様から人気が出て注目されるようになることで、自身の成長とやりがいにつなげている社員も多くいます。営業部ではコンテストも開催しており、結果が目に見える形で評価されるため、表彰されることを目標にモチベーション高く取り組んでいる社員もいます。
また、「エースカレッジ」という研修制度も導入しており、受講前後でお客様からの評価が劇的に変わるという声も聞かれます。年に数回開催される販売会や点検会といったイベントでは、様々なメーカーの商材を一度に見ることができ、お客様と直接交流する機会も豊富です。こうしたイベントでお客様から「応援しているよ」といった温かい言葉をいただくことも、社員の大きな励みになっています。
私たちがサタケで一緒に働きたいと考える人物像として、主に以下の3つのポイントを重視しています。
・向上心: 「なんとなく条件が良いから」といった理由で入社するのではなく、明確な目標意識を持ち、常に自分を高めていこうとする意欲のある方。
・こだわり: 周囲に合わせることも大切ですが、自分自身の考え方や意見を持ち、それを形にしようとする「こだわり」を持っている方。上司のイエスマンになるのではなく、自分のものとして考え方を定着させ、積極的に挑戦し、様々な経験を積んでほしいと考えています。
・人間性: モラルや道徳的に疑問符がつくような方は、チームワークやお客様への貢献という点で厳しいと感じます。お客様だけでなく、共に働く仲間を大切にし、社会人としての良識を持った方を重視しています。
最近の若手社員は、自分たちで目標を設定し、互いに高め合っています。ベテラン社員も、そうした若手からの突き上げを受けて奮起しており、会社全体として良い相乗効果が生まれています。

ー貴社の社員の方々は、会社にどのような期待を持って働いていると感じますか?また、平均勤続年数についても教えてください。
佐竹社長:
社員たちは、私が会社をどのように変えていくかという点に大きな期待を寄せていると感じています。厳しい状況が長かった中で、ここ数年で会社が劇的に変化したことに、多くの社員が驚き、そして未来に希望を抱いています。
中小企業ではありますが、「大手に負けないように」という思いを持ち、これからも様々なことに挑戦していきたいと考えています。ここからどこまで上を目指せるのか、大手企業に見劣りしない会社に成長させたい、という情熱を皆が持っているのではないでしょうか。
株式会社サタケの平均勤続年数は17年です。これは、社員が長く安心して働ける環境があること、そして会社への期待感の表れだと考えています。
ーネット上の貴社に対する口コミについて、貴社はどのように捉えていますか?
佐竹社長:
ネット上の口コミに関しては、ネガティブなご意見は真摯に受け止め、改善に向けて努力しています。完璧なサービスは存在しないと考えており、時代の変化に合わせて常に改善していくべきだという認識です。逆に言えば、改善を重ねることで、ネガティブなご意見にも自信を持って説明できるようになると考えています。
ポジティブな口コミについては、大変ありがたく、「やってよかった」と心から思えます。お客様や社員からの温かい言葉は、私たちのモチベーションの源です。
すべての口コミは、会社を良くするための「原材料」だと捉えています。現状のサービスや取り組みに、お客様や社員の声をうまく反映させていくことで、より良いサタケを築いていきたいと考えています。
編集後記
創業70年という歴史に裏打ちされた信頼を基盤としながらも、常に変化を恐れず、お客様への「プラスアルファ」の価値提供を追求する株式会社サタケ。佐竹社長のリーダーシップのもと、営業スタイルから働き方、そして未来の事業計画に至るまで、その変革への情熱は尽きることがありません。
「困ったらサタケ」と頼られる存在であり続けること。そして、社員一人ひとりが「人としての魅力」を高め、自らの成長を実感できる環境を提供すること。その両輪を回すことで、サタケは新たなブランドイメージを確立しようとしています。
次の100年を創り上げていく株式会社サタケの挑戦から目が離せません。