大切なのは礼節を重んじること

Q1. ビジネスをする上で大切にしている考え方は何ですか。

社会の基本として、一番大切なのは礼節を重んじることだと思います。一口に礼節といっても様々あり、社会人経験の長短や役職の高低にかかわらず、その人の人となりを表してしまいます。礼節がきちんとできていると、自然と信用されるようになり、ビジネスで有利になります。

例えば、いただき物をした際は必ず何かをお返しすること。お食事をご馳走になったら翌日に必ず手紙や電話、メールでお礼をし、相手に誠意を伝えること。当日であれば、手土産を持っていくのもいいことです。最近は和室が無いお宅も増えていて、和室でのマナーをご存知ない方もいらっしゃいますが、学ぼうという意思があれば身につくものですから、一つ一つ習慣化してルールを覚えていただきたいです。




Q2. 礼節の高さを経営に落とし込むための取り組みなどはありますか?

会社全体の心の価値観や基本的な考え方をスタッフ全員で共有するために策定した「KPGマインド」というものがあります。その中に「カトープレジャーグループのスタッフは、お客様とお取引先様に、感謝と笑顔をもって接します。」というメッセージを記しました。お客様にはもちろん、事業を教えてくださっている大切なお取引先様に対しても、礼節を逸した対応をとってはいけないという考えからです。

私たちは、人と人のご縁で成り立っています。その恩義を絶対に忘れてはいけません。「KPGマインド」には他に2つのメッセージがありますが、それらがなければ、今日の私は無かったでしょう。礼節にはそれだけの重さがあることをスタッフに共有しています。


「幸福の源」

Q3. 加藤社長の原動力を教えて下さい。

私が「幸福の源」と呼ぶ3つのものがあります。それぞれ、「プロデュース事業という仕事」「命綱を託せる仲間」「家族と友人」です。

1つめの幸福の源は、「素晴らしいと思える仕事」に出会い、いまも続けられていることです。プロデュースという仕事は、クライアント様が我々を信頼して大切な資産をお預けくださったり、事業をお任せくださったりすることから始まります。この期待を事業の成功という形でクライアント様に還元できたとき、あるいはお客様が施設にお越しになったときにいただく、喜びの声や感謝のお言葉は、何ごとにも代えがたくありがたいものがあります。

2つめの幸福の源は、自分の命綱を託せるほどに信頼できるスタッフや仲間に出会えたことです。信頼できるスタッフなくして、組織の成長はあり得ません。順調なときは共に喜び、不調なときは一緒に辛酸をなめてくれる仲間たちがいたからこそ、私はここまで歩んでくることができました。精神的な支柱にもなってくれた仲間たちに感謝の念を忘れたことはありません。

3つめの幸福の源は、私のプライベートに付き合ってくれる友人と家族です。私には心から信頼できる友人がたくさんいます。彼らはいつも正面から向き合ってくれ、私のためになることは、良いことも悪いことも率直に教えてくれます。自らの夢を実現したり、自らの志を貫いて生きていたりする友人とお互いに影響し合い、喜びを分かち合える友人がいることに感謝しています。

また、世界一楽しい仕事に巡り合わせてくれた両親、いついかなるときも私の心の支えとなってくれる妻、笑顔で迎えてくれる子どもたち、そして事業をサポートし一緒に支えてくれた弟の存在は、何事にも代え難い存在です。

私はいま、とても幸せな毎日を送っています。大好きなプロデュース業を通じて、たくさんのスタッフに支えられながら、お客様にお喜びいただくだけでもありがたいのに、対価までいただけています。カトープレジャーグループは創業から50年以上歩み続けてくることができましたが、それも私に関わってくださったすべての方々のお陰です。経営者にとってこれほど幸せなことはないと心から感謝しております。


Q4. 最近の活動について教えて下さい。

2018年4月1日に長崎の「やすらぎ伊王島」が「i + Land nagasaki」として名称変更・リニューアルオープンしました。「やすらぎ伊王島」は長崎・福岡・佐賀のファミリー層をメインターゲットにしていましたが、「i+Land nagasaki」はより幅広い年齢層をターゲットにしています。

既存棟の改装や新たな宿泊施設の増設、最新のデジタルアートを駆使した体験型マルチメディア・ナイトウォーク「ISLAND LUMINA」の開発をはじめ、お客様にお楽しみいただけるさまざまなアクティビティを充実させました。「LUMINA」は過疎化に悩む国立公園の活性化対策としてスタートしたプロジェクトで、雇用創出や地域密着型エンターテインメント展開の実績があります。

「i+Land nagasaki」「ISLAND LUMINA」の両施設で積極的に地元採用を行い、2021年までに地域雇用を約2倍に拡大する計画です。地域創生をキーワードとして、地域の方々にも貢献していこうと考えています。


Q5. 最後に一言メッセージをお願いします。

私は仕事柄日本中を行き来しているのですが、若い世代の方は、もっと日本の素晴らしさを自覚しても良いと思っています。というのも、若い世代の中には自信を持つことに慣れていない方が多いように感じるからです。近年では競わずみんな平等の考え方のもと、教育を受けた世代もいます。そのため、ハングリー精神を抱いていた私の学生時代とは、全く違う感覚で青春期を過ごし、社会人になっているように思うのです。

ですから、若い世代の方々には、改めて日本という国の素晴らしさを知っていただき、自信をもって仕事のやりがいにつなげてほしいと思います。また、その素晴らしさを発信する力を日本人はますます養っていく必要があるとも感じています。

愛国心を持つというと様々な見解があるように感じますが、国を愛することは、自分自身や家族を大切にすることにもつながります。