紙からデジタルへ-。 業界のパイオニア企業、電子書籍ビジネス成功の裏側 ~サイト来客数3,000万人以上を誇る、電子書籍販売・配信のパイオニア企業~

紙からデジタルへ-。
業界のパイオニア企業、電子書籍ビジネス成功の裏側


株式会社パピレス 代表取締役社長 松井 康子

※本ページ内の情報は2017年2月時点のものです。

株式会社パピレスは、電子書籍の販売サイト『Renta!』や、電子書籍投稿&編集プラットフォーム『upppi』などを展開する電子書籍販売・配信のパイオニア企業だ。現在、600社を超える出版社と提携してコンテンツを配信しており、サイトへの来客数は約3000万人にのぼる。

今回は、株式会社パピレスの多様なサービス、活躍できる人材について、パイオニアゆえに直面した創業当初のエピソードなどについて、同社代表取締役社長の松井康子氏へのインタビューを通して紹介していきたい。

松井 康子(まつい やすこ)/1969年生まれ。新潟県出身。大学在学中、富士通の社外ベンチャーとして創立したばかりの株式会社パピレスに入社。WEB編集や経営企画に携わり、その後2000年に取締役、2006年には副社長に就任。2012年6月に創業者である天谷幹夫氏に代わり、代表取締役社長に就任。現在に至る。

人生を変えたインターネットとの出会い

-生い立ちから入社までの経緯などをお教え頂けますか?

松井 康子:
小中学生の頃は、どちらかというとスポーツが好きなアウトドア派でした。家でじっくり本を読むタイプではなく、将来、本に関わる仕事をするとは思えないような生活をしていました。その後、高校で歴史を好きになり、そこから本にはまり始めました。大学でも歴史の研究をしました。今もそうですが、学生の頃から面白いと思ったことにかなりのめりこむタイプだったと思います。


-歴史の研究者への道を歩もうとは、お考えになさらなかったのでしょうか?

松井 康子:
それも少しは考えましたが、研究者はひたすら図書館や家に籠って勉強することが仕事だと思います。それだけをやっていても、実社会に出た時に、やっている歴史の研究がどう生かせるか分からないと思ったのですね。それを知るために、自分で社会に出てやって行きたいなと思っていた頃に、ちょうどインターネットが登場しました。

私が読みたい書籍は海外のものが多かったのですが、当時は、図書館などに取り寄せを頼むと何週間という長い時間がかかっていました。しかしネットで検索すればすぐに読むことができると知りました。それでネットの便利さを知り、自分でネットを使って何かやってみたいという思いが強くなった頃、ちょうど富士通のベンチャー会社パピレスの募集があったので応募しました。それが入社までの経緯です。

想像できないものを理解して頂くことの難しさ

-入社されてから、困難にぶつかったことはございますか?

松井 康子:
当時は、パソコンで書籍を読むという発想自体がなかったので、そこを乗り越えていくことに苦労しました。人が何かを想像したときに、想像できないものというのは理解してもらうことが非常に難しいですよね。だから、それを出版社の方々に理解してもらうことが、最初の壁でした。今では18万冊という許諾を頂けているのですが、最初の頃は、100冊の許諾を頂くのに一年くらいかかっていた状態でした。しかし、許諾を貰うという壁を乗り越えるためには、とにかく出版社さんを回ってお願いするしか方法がない世界でした。やはり許諾して頂かないとコンテンツが増えないので、事業も拡大していくことが出来ません。決して順調とは言えない状況の中で、少しずつ少しずつ、許諾の数を増やしていきました。

そのうち、パソコンのウェブサイトで記事を見る時代になり、世間の電子書籍へ対する抵抗もようやく無くなってきました。

パピレスの提供する様々なサービス

-御社の今のサービスにはどんなものがございますか?

松井 康子:
今はスマートフォンが普及しているので、スマートフォン向けのサービスとして2007年から開始した『Renta!(レンタ)』という電子書籍のレンタルサイトで、コミックを1冊100円から48時間レンタルできるというサービスを行っています。それが今非常に人気があります。会員数は、先日300万人を超えました。


-電子書籍のレンタル以外にされていることは何でしょうか?

松井 康子:
『パピレス』というサイトが、電子書籍とダウンロード販売をやっているサイトなのですが、最近、『犬耳(いぬみみ)書店』というサービスを開始しました。実用書がメインなのですが、それを分冊化して記事単位で読めるというサービスですね。

あとは絵ノベルやコミックシアターなどの次世代ブックです。デジタル化をすれば、紙よりもいろいろな表現が出来るようになります。絵ノベルなどは、絵がついていますので、文字だけでは読みづらいという方にも親しんでいただけるのではないかと思います。コミックシアターなどは、画像の一部を動かしたり、音声も出せるような表現形態をとっています。

“良いサービス”をつくり続ける

-御社の強みは何でしょうか?

松井 康子:
本が好きな方が集まっていると思うので、本に関することをよく知っていて、それを周りに伝えていける所だと思います。あとは、弊社は創業以来、20年以上試行錯誤を繰り返して仕事をしてきていますので、上手くいかなかったことがあっても、それに対応できるノウハウを持っている所ですね。

表面から見えてこないお客様のニーズを察知し、いち早く回答を用意できるかが良いサービスを作る上で大事だと松井社長は語る。

-御社が注力されていることなどは何でしょうか?

松井 康子:
会社としては、5年先、10年先について中長期的な視点で考えていかなければなりません。今後のことを考えた上で、注力していかなければならないのは、“良いサービスを作ること”です。

そのためには、今あるお客様に対してのニーズに応えることがまず第一ではありますが、それよりも先んじてやっていかなければならないことがあります。それは、お客様がこうして欲しいと思いながらも声には出てこないという、表面からは見えて来ないニーズがあり、それこそが良いサービスを作るために価値のあることだと、まず認識することです。そして、そういった見えていない所にあるお客様のニーズにいち早く答えていくようにしなければ、今のような変化の激しい時代では良いサービスを作り続けることはできません。なので社員には、見えないお客様のニーズとは何なのか、を考えてもらうようにしています。

大事なのは相手の心を理解するコミュニケーション力

-社長がお考えになる、御社で活躍されている優秀な人材を教えて頂けますか?

松井 康子:
“優秀”の基準は、いろいろあるので一言では言えません。ただ、自分が向いていること、性格、自分が何をやりたいのかということを、社員ひとりひとりに考えてもらうようにしています。やはりそれを生かしてやっていくことが、一番みんなに感謝されことになるからです。そのことを分かって努力されている方は、周りの評価も高くなります。そして自分の評価を客観視して自分の良さを伸ばすことを心がけている方は成長します。そういう方が弊社において活躍されているのではないでしょうか。

また、今の時代は情報がとにかく溢れています。その中で何が重要かを常に自分で判断していかなければなりません。そのために必要なのは、人の話をきちんと聞いて、消化して、理解する、というコミュニケーション力だと思っています。今後グローバル化していくと、関わる人たちが日本で育った人だけではなくなります。だからこそ、異なる価値観や、何故そういうことを相手が言っているのかを、自分の物差しではなく相手の物差しで考えられる方が素晴らしい人材となってくるのではないでしょうか。

弊社が必要としているコミュニケーションスキルというのは、人に良く思われるための受け答えをするという、技術的なことを言うのではありません。そういう表面的なものではなく、相手の話を深く理解できた上で、それに対して自分はこう思う、という受け答えが出来ることだと私は思っています。

就職希望者へ向けてのメッセージ

-御社の人材採用のPRになるようなメッセージを頂けますでしょうか?

松井 康子:
1つ目は、好きなこと、やりたいと思うこと、楽しいと思える仕事をしてください。2つ目は、仕事をやる以上は、ナンバーワンを目指しましょう。3つ目は、継続できる仕事をしましょう。そして諦めないことが大切です。これらの3つに賛同して下さる方は、非常に歓迎いたします。

編集後記

近年、スマートフォンの急速な普及に伴い、私たちの目に触れることが多くなった電子書籍。その普及の裏側には、社長や社員の方々のたくさんの苦労や思いがあったことを知った。書籍のデジタル化によって多様な表現形態が可能になり、コンテンツの楽しさを感じることができるようになっている。パイオニア精神を全開させて進み続けるパピレスは、これからも、書籍の力で世界中の人々の心をどんどん豊かなものにし続けてくれるに違いない。

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