※本ページ内の情報は2024年2月時点のものです。

株式会社クラウドファンディング(2013年設立、東京都渋谷区)は、その名のとおり投資型クラウドファンディングを柱とし、ベンチャービジネスや魅力的な産業を創出するためのサポートビジネスを展開している。

中学時代から四季報を愛読し、社会人となってからは野村證券からモルガン・スタンレー社にヘッドハンティングされた筋金入りの投資スペシャリスト、伊東修代表取締役社長に、エピソードや経営方針についてインタビューを行った。

「なぜ」を追求して勝ち得た営業成績トップの座

ーー中学生で投資の世界で生きると決めた背景をお聞かせください。

伊東修:
中学生の時期に、投資の世界を通して社会の仕組みを学びました。株主、経営者、働く人々、お客様について学び、このような「株式会社」の仕組みが社会にはあるのだということを知り、それが大きな刺激となりました。

ーー野村証券で社会人となり、3年連続で営業成績トップになられた秘訣を教えてください。

伊東修:
営業の成績を上げるまでには苦労がありました。「これから働いて日本経済を良くする」という意気込みと共に、夢を持って社会人生活を始めました。

ところがいきなり壁にぶち当たります。アポイントも取れず、話も聞いていただけない状況が1年間続くことになったんです。それこそ「自分ほど価値のない人間はいない」と思うまで落ち込みました。

ある時、「なぜ今まで取引のなかったお客様が取引する必要があるのか」、「なぜこの金額で取引する必要があるのか」、「なぜ私と取引する必要があるのか」、こうした疑問に答えることができずに、顧客のニーズだけ聞くのは存在価値が低いと考えました。商品やサービスを検証した上で、分かりやすく伝えるのがこの仕事の使命だと悟りました。

トップの成績を収めることができたのは、2年目にそれを実践するようになったからです。

手数料に見合う付加価値の高い情報を提供

ーー貴社の強みはどんなところでしょうか?

伊東修:
金融商品はインターネットで気軽に売買できますし、最近は手数料ゼロも増えています。ただ売買するのであれば、わざわざ高い手数料を払って専門家に相談する意味はありません。

私たちのミッションは、手数料に見合う価値のある情報を提供することです。最大限に分析した独自の株式レポートをお客様に直接提供します。

営業は営業、調べる人は調べる人と分けているのが通例ですが、証券会社のように分けずに「同一人物」がトータルでサービスするのは極めて珍しいスタイルでありお客様に本質が伝えられるという、私たちの大きな強みといえます。

日本に希薄なコーポレートガバナンスの改革を提案

ーー営業活動の上で課題と感じることはどんなことでしょうか。

伊東修:
夢に向かってチャレンジする人が思いのほか少ないのが残念ですね。私たちは起業家が堂々とチャレンジできる環境をつくっています。

日本は2100兆円という個人金融資産があります。しかしお金が適切に投資に回っていない、言うならば「チャレンジのしにくい国」になっています。アメリカのアップルやアマゾンやテスラなども元々はベンチャー企業です。つまり、投資から生み出されたものです。

教育から手を付けるべきかもしれませんが、日本社会にチャレンジする環境や機運があってこそ金融リテラシーの向上につながるものと思われます。

ーー今後の経営テーマや目標についてお聞かせください。

伊東修:
私たちは「投資した会社の本質的役割の達成」にも本気で取り組んでいます。これはすなわち、我々とお客様が株主になり社会を良くして株価を上げることを意味します。

日本では、株式会社の仕組みが十分に理解されていません。社長を誰にするかは株主が決めているんです。社長の給料も本人が決めるのでなく、株主が決めるんです。アメリカはその仕組みが機能していますが、同じメカニズムのはずの日本では機能していません。

そこをあるべき姿に変えることを私たちは行っています。つまりガバナンスの改革を推進しています。こうした活動の成果が徐々に表れて会社の価値が上がっていくのは、やりがいこの上ないものです。

編集後記

伊東社長は外資のモルガン・スタンレー社の入社動機を「米国投資家がどこまで調べて投資するのか、外国人投資家の実態が知りたかったため」としている。

入社直後にはリーマン・ショックに襲われ、当時のことを「リーマン・ブラザーズの次にモルガンが不安視された時代に、営業活動するのは厳しかった」と、金融史上まれな修羅場の日々を振り返った。

日本型の投資環境に警鐘を鳴らしながら、社会を良くしようという熱意のかたまりである人物だけに、投資を価値のあるビジネスに結びつけ、より高いステージにいざなってくれると期待せずにいられない。

伊東修(いとう・おさむ)/中学時代に投資の世界で生きることを決める。2002年に野村證券株式会社に入社。「自らの新規開拓した顧客のみで、3年連続全国同期中トップ」という、同社史上初の営業成績を収める。2006年にヘッドハントされ、米モルガン・スタンレー証券に入社。2013年に独立し、株式会社クラウドファンディングを創業。投資先である株式会社おいしいプラスの代表取締役社長も兼任。