株式会社セレスポは、イベントの企画や設計から会場設営・運営・進行までをワンストップで手掛けるイベント制作会社だ。
全国にある拠点を生かし、全国各地でセレモニーやスポーツイベント、展示会などさまざまなイベントをサポートしてきた。
今回は代表取締役社長の田代剛氏に、社長に就任するまでの経緯や苦労したエピソード、事業の強みや今後の展望などについて、話を聞いた。
全国規模のイベントプロデュースを行う会社の社長に就任するまで
ーー貴社の社長に就任するまでの経緯を教えてください。
田代剛:
弊社には1983年、私が18歳のときに入社しました。その年は、弊社が初めて新卒採用を行った年で私は1期生でした。
当時は、建設式典の事業を始めたときでしたので、最初は名古屋支店で建設式典の現場施工などを担当していました。その後、関西拠点を立ち上げるプロジェクトをつくり、私が京都に支店を立ち上げ、2001年に京都支店長を担当することになりました。
そして、2005年頃に前社長から「営業の責任者にならないか」と声をかけていただき、2006年に営業本部長に就任。その後、常務取締役、専務取締役を経て、2022年に代表取締役社長に就任しました。
ーー入社後に苦労したエピソードがあれば教えてください。
田代剛:
イベントができなくなったタイミングはとても苦労しました。たとえば、1989年に昭和天皇が亡くなられたときや、2011年の東日本大震災のときは、日本中が自粛ムードとなり、イベントも開催できなくなりました。また、コロナ禍では人が集まることができず、イベントを行うこと自体が困難な状況でした。
仕事ができない状況はとても苦しかったですが、このような苦難は大体1年以内で収まり、その反動でイベントの需要が爆発的に高まる傾向があります。実際その通りの流れとなり、そこをしっかり乗り越えてきたおかげで今の弊社があると思っています。
お客様の課題解決を目的にイベントプロデュースを行う
ーー貴社の事業の特徴を教えてください。
田代剛:
リアルコミュニケーションを通じたイベント運営を大切にしています。昨今イベントもデジタル化が進み、現地に行かなくても楽しめるものが増えてきましたが、現場で直接人が集まるからこそ生まれる感動やエネルギーもあると思っています。
弊社もデジタル化を進めており、デジタルとアナログの両方を活用したイベントも進めていますが、オフラインでしか味わえない体験を今後も大切にしていくつもりです。
ーー貴社の強みを教えてください。
田代剛:
社内のキーワードにもなっていますが、顧客起点で仕事を行っています。イベントは成功させることが目的ではなく、あくまでも過程や手段であり、お客様の課題を解決させることが本来の目的です。
たとえば、「社内運動会をしたい」というお客様がいたとき、社内運動会を成功させるのは過程であり、その先にある「社内を活性化させたい」という目的を達成しなければなりません。
この点を強く意識してお客様と真剣に向き合って取り組んでいるところは、弊社の強みだと思っています。ありがたいことに、実際「セレスポの現場力はすごい」という評価を多くのお客様からいただいています。
会社を成長させるためには社員の成長が必要不可欠
ーー社員に日頃から伝えていることはありますか?
田代剛:
主に2つあります。
1つ目は、「失敗を恐れずにさまざまなことに挑戦してほしい」ということです。私は会社を良くするために取り組んで失敗したことは、失敗だとは思いません。それは今後の課題であり、次につなげることができる財産です。それよりも「何もしないこと」を1番避けるべきだと思うので、新しいことにも積極的にチャレンジしてほしいと思っています。
2つ目は、「社長の10歩より社員全員の1歩」という言葉です。社長の私が1人だけ頑張って10歩先に進んでも、それは10歩にしかなりません。しかし、たくさんいる社員の皆がそれぞれ1歩進めば、それは何百歩にもなります。弊社を発展させるのは私ではなく、皆の力が不可欠だということを、いつも社員に伝えています。
サポート意欲の高い人やエンタメ分野に精通した人材を求む
ーー貴社で活躍できる人材はどのような方でしょうか?
田代剛:
「サポートしたい」「支えたい」という気持ちが強い方が活躍できると思います。弊社のイベント事業は、イベントをしたいというお客様をサポートする仕事です。自分たちが主役ではなく、支える側なので、思いやりがあって「目的達成のためにサポートしたい」という強い気持ちを持っている方は、ぜひ弊社でその力を発揮してほしいと思います。
ーー今後どのような人材に入社してほしいと思いますか?
田代剛:
弊社では、好奇心旺盛でさまざまなことに自ら挑戦できるような人材に入社してほしいと考えています。
また、音楽や芝居など、専門性を持った人材にも入社してほしいと思います。音楽や芝居といったエンタメ分野の知識や経験は、イベントのコンテンツや設営にも生かすことができると思いますので、そのような人材に多く入社してもらえれば、もっと面白い会社になると思っています。
多くの社会課題をイベントの力で解決できる企業を目指す
ーー今後の会社としてのビジョンを教えてください。
田代剛:
社会のさまざまな課題をイベントの力で解決する会社になりたいと思っています。コロナのパンデミックが起こったとき、弊社はワクチン接種会場の設営を手掛けました。イベント会場と同じノウハウを生かすことができ、日本で1番多くワクチン接種会場を手掛けたと思っています。時代によって起こる社会問題はさまざまなので、その課題解決に貢献できる会社になることを目指しています。
また、弊社はイベントの持続可能性に関するマネジメントシステム「ISO20121」を認証取得しております。イベント事業は排気ガスを出すなど自然に悪い影響を与えてしまう部分もあるので、弊社は環境に優しく、持続可能な社会に貢献できる企業でありたいと考えています。
編集後記
「イベント成功はあくまでも過程であり、目的はお客様の課題解決」という精神で、多くのイベントプロデュースを行ってきた株式会社セレスポ。「会社を大きくさせるのは社員の皆」と語る田代社長は、社員を大切にし、採用強化にも取り組んでいる。
今後は時代に合わせてデジタル化も取り入れつつ、多くの社会問題解決に貢献できるイベント会社を目指し、成長を続けていくという。未来のイベント業界の変革にも注目だ。
田代剛(たしろ・つよし)/1964年生まれ。1983年、株式会社セレスポ入社。名古屋支店長として中部エリアの営業力および施工力強化に取り組む。2007年、取締役就任。皇室の行幸啓行事をはじめとする大型案件の元請環境を確立し、競争事業を牽引する。2022年、代表取締役社長に就任。社会変化に適応し続ける「強固」で「強靭」な組織づくりに取り組む。