株式会社アビタスは、国際資格・学位修了証取得教育とキャリア支援を行う企業だ。国際資格のニーズがビジネスのグローバル化とともに高まるなか、高い専門性をもって取得をサポートし、それを活かしたキャリア支援ができる組織は貴重だ。
そんな組織を率いるのは、代表取締役の宇坂純氏。教育業界の豊富なキャリアを持ち、人の成長を助け、人の成長する姿を喜ぶという、教育の本質を愛する人物だ。
宇坂社長が教育を通じて実現したいビジョンとは何か。この業界を目指した経緯や、教育にかける想いなどをうかがった。
転勤族だった子ども時代。ある先生の姿から学んだ教え
ーー教育業界に入った経緯を教えてください。
宇坂純:
教育業界に入ったのは、人の可能性を広げて豊かな人生づくりを支援したいという想いからです。きっかけを振り返ると、原体験は小学生時代までさかのぼります。
子どもの頃、我が家は転勤族で、私は転校を繰り返していました。毎回、新しい学校になじむのに苦労しましたが、小学5年生の時に、1人の先生に助けられました。その先生は早朝ソフトボールや釣りに私を誘って同級生との架け橋を作ってくださったのです。この先生との出会いによって、私は将来教師になりたいと思うようになりました。
その後、大学へ進学して教員免許を取得しましたが、自分にとって大切にしたいことは教育に携わることだという思いに至り、教師だけでなく様々な関わり方があると考えるようになりました。就職活動を行った結果、ベネッセとのご縁をいただき、教育業界に入りました。
ベネッセで主体性の大切さを学び、グローバル経験を積む
ーーベネッセではどのような経験を積みましたか?
宇坂純:
国内外でさまざまな経験を積みました。
まず学校法人営業を経験して、その後、英語教育の新規事業部門で新商品の拡販や海外プロジェクトのリーダーを経験しました。29歳でMBA取得のためにアメリカへ渡り、その後はグローバル人材教育を行っている当時ベネッセのグループ企業だったベルリッツに移り、CEO補佐や経営企画、そして世界30ヵ国に展開している事業部門の責任者やグループ企業の社長を経て、ベルリッツジャパンの取締役も務めました。その中でも、私の土台を作ったのは入社後から20代までの営業と海外プロジェクトリーダー時代の経験だと思います。
営業時代の経験で得たのは、受け身ではなく主体的に物事に取り組む姿勢です。ベネッセに入社した当初は言われることをひたすらやっているだけで面白くなかったのですが、2年目になって担当地区の営業戦略を自分で考えて全力で取り組むようになったことで、同じ仕事ですが充実した毎日を送れるようになりました。大きな成果を得るとともに、主体的に物事に取り組むスタンスが身についたと思います。
また、新規事業部門のプロジェクトリーダー時代には、海外出張をして国外の教育機関と仕事をする機会があり、国際ビジネス共通語としての英語の重要さや、国外には事業と自分の成長の大きなチャンスがあることを体感しました。この経験がその後のMBAの取得や、グローバルな仕事を目指すきっかけにもなりました。
グローバル人材育成で貢献できるフィールドを求め、アビタスに入社
ーーアビタスに入社し、社長に就任するまでの経緯を教えてください。
宇坂純:
アビタスに入社したのは、グローバルに活躍できる人材を育成する企業だからです。
アビタスは海外の先進的で体系的な国際資格や学位プログラムを日本に輸入して日本人が学びやすい形で提供し、資格学位の取得を通して人々のキャリアを支援しています。グローバル人材育成に携わりたいという私の想いとアビタスの事業内容が合致していたのです。
アビタスは自分の経験を活かせる企業だと感じます。アメリカでMBAを取得してグローバル企業でのキャリアへと広がった原体験が私にはありますが、国際資格や学位の取得支援の事業に関わることで、こうした経験をより多くの方に届けることが私の喜びです。
入社後はCOOとして中期経営計画の策定と実行に取り組み、3年目に創業社長からの事業承継という形で、私がアビタスの経営を引き継ぐことになりました。
お客様のために学び、自己変革する
ーー社長として大切にしてることは何ですか?
宇坂純:
特に大切にしているのはアビタスのミッション・ビジョン・バリューです。「憲法」としてのミッションビジョンバリューに基づく経営判断を行い、属人的ではない仕組みを作り、それを活かした事業運営を心がけています。
アビタスはお客様の人生の節目における学びと生き方に関わる事業を行っています。そのため、私たちの事業の成長は、お客様が学びと学びを活用したより良い人生の実現を支援することでもたらされます。
そして、お客様をより良く支援するためには、私たち自身がお客様のために学び、自己変革の努力を続けることが必要です。社長として、私自身がこれを率先して取り組むことが大切だと考えています。
ーーアビタスの強みを教えてください。
宇坂純:
アビタスの強みは大きく3つあります。
1つ目は商品サービスの独自性です。アビタスは世界標準で体系的な海外の優れた学習コンテンツを輸入して、日本人が効率的に習得できる方法で提供する独自の強みを持っています。
たとえば、米国公認会計士(U.S.CPA)はアビタスが日本一の合格者を輩出していますが、この実績を生み出す「時間生産性」の高い合格メソッドを持っています。タイムパフォーマンスが良く、確実に合格を目指せる効率的な学習システムと徹底した受講生サポートがありますので、多忙なビジネスパーソンや就活で忙しい大学生でも効率的に合格を目指せます。
2つ目はオンラインを活用したビジネスモデルです。アビタスはお客様との接点づくりから教育サービスの提供まで全てオンライン化しています。
自分のペースでいつでもどこでも学べるe-ラーニングやアプリだけでなく、オンラインでのライブ講義もリアルタイムで提供しており、お客様にとって最も効率の良い学習スタイルを選択できるようにしています。そしてこうしたオンライン学習のデータを分析して、お客様の学習効率を高める取り組みも進めています。
3つ目は卒業生コミュニティです。アビタスの卒業生には、米国公認会計士や米国MBAホルダーとなり、第一線で活躍するビジネスパーソンが大変多くいます。
こうした卒業生に次のアビタス受講生との接点を作っていただいたり、私たちのサービスを提供する講師やコーチとして活躍いただいており、この分野の強力なアルムナイ基盤が私たちの大きな強みになっていると思います。
アビタスの成長と求めたい人材
ーー今後のビジョンや取り組みたいことを教えてください。
宇坂純:
既存の講座事業を着実に成長させながら、転職支援を主軸とするキャリア事業を大きく成長させたいと考えています。また、リスキリングの活性化により、法人向けの事業も更なる成長が期待できると考えています。
また、英語を母国語としない日本人が国際資格を最短で取得できるノウハウをアビタスは持っていますので、これを活かして将来は海外市場への展開もチャレンジしていきたいと考えています。
ーー採用する人材に求める条件はありますか?
宇坂純:
お客様のために学び、自己変革の努力を続けることを楽しめる方とご一緒したいと思っています。今はまだ分からないし足りないことがあるけれども、フロンティア精神を持って自分なりに学び、取り組み、成長できる人。こうした方なら、きっとアビタスで活躍できると思います。
学びは人生の選択肢を広げ、よりよい生き方を探求する心強い後ろ盾になります。先行き不透明な時代に、一人でも多くの方がキャリアオーナーシップを持ち、自分の人生に主導権を持ち、より良い人生を歩むことができるようお手伝いをしたい。この想いに共感いただける方と、ぜひアビタスでご一緒できればと思います。
編集後記
教育で人の人生を豊かなものにしたい。宇坂社長は幼いころからこの信念を持ち続け、社長に就任した今も全力で、この夢の実現を重ねることに邁進し続けている。グローバル化に必要な人材の教育をアビタスがどう支え、社会がどう変わっていくのか。今後も活躍の場はさらに広がっていくだろう。
宇坂純/1977年生まれ。東北大学文学部卒業。2000年株式会社ベネッセコーポレーション入社。国際教育事業部門を経て、2008年に米国ミシガン大学ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。米国の教育テスト開発会社の社長、外国語事業を展開するベルリッツ・ジャパン株式会社の取締役を経て、2020年株式会社アビタス取締役COOおよびパスメイクホールディングス株式会社取締役CSOに就任。2022年より現職。