※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

SBCメディカルグループホールディングスは、国内外に250を超えるクリニックネットワークを有する美容医療グループだ。日本企業としては11社目となる米ナスダック市場への上場など、世界展開を急加速させている同社。今回、CEOの相川佳之氏に、海外戦略や今後の狙いを聞いた。

美容医療を身近な存在にするため、自らクリニックを開院

ーー創業までの道のりを聞かせてください。

相川佳之:
日本大学医学部を卒業後、都内大手美容外科に勤めながら麻酔科での研修も受け、2000年に湘南美容外科クリニックを開院しました。勤務医時代は、寝る間を惜しんで手術の勉強をするなど、開業を見据えて自己成長のためにほとんどの時間を使っていましたね。

もともと両親が薬局を経営する薬剤師で、その姿を幼い頃から見ていたことも、経営者を志したきっかけの1つです。実際に最初のクリニックは、両親が経営していた藤沢市の薬局の2階を使って開院しています。

1つ目のクリニックを始めたときから、「日本で患者さんが1番多く来てくれる美容医療グループになる」という目標を掲げていました。

ーーなぜ美容医療の領域で開業したのでしょうか。

相川佳之:
美容医療業界はいくつかの問題点を抱えており、それを解決したいと思ったのが大きな理由です。たとえば医師による治療内容の説明が曖昧で、値段も分かりにくいといった問題点が、私が開業した20年以上前は特に目立っていました。

こうした問題を解決し、美容医療に対する透明性を高めたいという思いから、施術料金や症例をサイトにすべて記載するといった取り組みを業界内で最初に実施したのです。

また、痛みをできるだけ取り除いた施術を行うために麻酔へのこだわりを徹底するなど、とにかくお客様に寄り添った医療の提供を心がけてきました。

看護師でも開業できる「メディスパ」のクリニックをアメリカで展開したい

ーー貴社の事業について教えてください。

相川佳之:
弊グループの原点は美容クリニックの運営ですが、アメリカを代表する「Mayo Clinic(メイヨークリニック)」のような総合病院をつくりたいという夢を掲げてからは、歯科や眼科、整形外科、皮膚科など保険診療へも軸足を伸ばしました。

外科や美容皮膚科のメニュー数は業界内でも非常に多く、治療のレベルが高いにも関わらず、良心的な価格設定が強みです。「美容医療をもっと身近に」というコンセプトを掲げ、一般の人が手軽に美容医療サービスを受けられるクリニックを目指しています。

ーー海外展開については、どのような構想がありますか。

相川佳之:
シンガポールとホーチミン、ロサンゼルスにクリニックをすでに展開しています。2024年9月にはアメリカのナスダック市場に上場し、今後は、アメリカで新しいコンセプトのクリニックを開業したいと考えております。

日本で美容皮膚科を開業できるのは医師だけですが、アメリカでは特別な資格を取得し、医師を顧問につければ、看護師でも開業ができます。このようなクリニックは「メディスパ」と呼ばれ、今後弊社もアメリカで展開したいと考えております。

そして、レーザーの最先端技術をアメリカのほか、アジアのハブとなるシンガポール、さらにマレーシアなど、アジアを中心に広げたいと考えています。

世界の最先端技術をいち早く取り入れ、「日本で最も来院数の多い医療グループ」を目指す

ーー5年後、10年後、どのような会社になっていたいでしょうか。

相川佳之:
美容以外の診療科を充実させ、さらに東南アジアを中心に海外展開を進め、2035年までに国内外合わせて1,000クリニックを開業したいです。そして、日本赤十字社を超える、日本で最も患者数の多い医療グループを目指します。

また今後は特に、世界の良い治療や良い製品を日本へ最初に紹介する医療グループというポジションを確立したいと思っています。術後72時間効果のある局所麻酔を日本で最初に導入したのは弊社ですし、最先端の良いものをどこよりも早く日本に入れて、将来的には製品の開発も手がけられるような会社になりたいです。

そのほか、医療クリニックや企業を対象にした経営支援や、資材を卸すなどのBtoB事業にも力を入れていく予定です。

ーー最後に、貴社で働く従業員や貴社に興味を持っている読者へメッセージをお願いします。

相川佳之:
現在、弊社は海外展開など攻めの姿勢でチャレンジしているため、従業員たちからすると苦しく感じることもあるかもしれません。ただ、挑戦は成長とイコールですし、ここを乗り越えた先には新しいステージが待っています。

弊社で働くことに興味を持ってくださる方は、新しいフェーズに入るために挑戦をしている弊社で、私と一緒に会社の成長に向けて前へ進んでもらえると嬉しいです。

編集後記

創業から急拡大し、海外進出も順調に進めている株式会社SBCメディカルグループホールディングス。同社がここまで成長できたのは、「より良い治療を多くの人に届けたい」という相川CEOの情熱によるものだろう。

最先端の技術をいち早く導入する同社の姿勢は、多くのお客様の美容・健康問題を解決するだけでなく、日本の美容医療技術を引き上げることにも貢献していると感じた。

相川佳之/1970年生まれ。神奈川県出身。日本大学医学部卒業。麻酔科研修後、都内大手美容外科に勤務。2000年に神奈川県藤沢市に湘南美容外科クリニックを開院。美容医療に留まらず、多岐にわたる医療機関への経営支援事業へと事業を拡大。現在、クリニックネットワークは国内外251院に広がり、大規模な医療グループへと成長している。SBCメディカルグループホールティングスCEOのほか、日本美容外科学会理事、先進医療医師会参与など多数務める。