※本ページ内の情報は2024年5月時点のものです。

普段意識することは少ないが、ねじは工業機械やインフラ、車など、さまざまな部分で社会を支えている。そんな縁の下の力持ちといえるねじを扱っている大関ジョイテック株式会社の関重德氏は、父から会社を受け継ぎ、さらなる発展を目指す2代目社長だ。

幼いころから間近で父の仕事を見てきたという関社長が、会社を運営していくうえで大切にしていることは何か。ねじを通して取り組んでいるミッションについてうかがった。

父から学んだ仕事への姿勢が、周囲からの先入観を取り払う

ーー昔から会社を継ごうと思っていたのですか?

関重德:
弊社は1948年に私の父が創業した会社です。父は仕事と家庭の境目がない状態で働いていたので、私にとって仕事をする父の姿を目にすることは日常の一部でした。その中で、いつかは自分も社長になるという意識が自然に生まれ、会社を継ぎたいと思うようになりました。

ーー2代目として入社したことで、苦労はありましたか?

関重德:
入社当時の私は取引先から、仕事に対する厳しさや熱意に欠けた「甘い男」だと思われていました。やはり社長の息子ということで、先入観を持って見られるのでしょう。

しかし、昔から忙しく働く父を見て育った私はどんなときでも顧客第一に行動し、台風でも現場に行き、急ぎの納品には日曜日でも対応していました。これらは私にとっては当たり前の行動でしたが、周囲から見たら「ガッツがある」という印象だったようです。気付けば私は仕事熱心な社長として見られるようになり、取引先との確固たる信頼関係を築くことに成功しました。

長年培ってきた、ねじ製造の技術

ーー貴社の事業内容を教えてください。

関重德:
弊社の事業内容はねじの販売です。納品先は工業機械や設備、インフラなど幅広く、代表的なところでは高速道路にも弊社のねじが使われています。

製品はJIS規格に準拠した一般品と特殊品を扱っていますが、最近は特殊品に力を入れています。これは、長年顧客のニーズに応え続けることで培ってきた、知識・顧客対応力を活かすためです。

ねじは小さな部品ですが、社会を支えるための重要なパーツです。そんなねじを用いて社会に貢献することこそが弊社のミッションです。

ーー貴社独自の強みは何でしょうか。

関重德:
工業機械やインフラなど、社会のあらゆる分野をねじで支えていることです。たとえばダムや原発の配管、自動車、半導体などが挙げられますが、これらはいずれも私たちの生活に不可欠なものです。つまり、弊社の扱うねじは社会を縁の下から支える存在として使われているのです。

これもひとえに、顧客に誠意をもって対応し続けてきた社員たちの頑張りがあったからです。社員たちの真面目な姿勢が顧客の信頼を得て、今日の組織を形づくっています。

社員一人ひとりの誠実さが信頼できる組織

ーー顧客から信頼を得るために大事にしていることは何ですか?

関重德:
社員には、顧客からの信頼を第一に考えて取り組むことを教えています。弊社はねじで顧客のニーズに応えることを仕事にしています。つまり、ねじを通じて顧客との信頼構築に取り組んでいるといっても過言ではありません。

信頼は積み上げるのに時間がかかりますが、失うときは一瞬です。だからこそ「買い手よし・売り手よし・社会よし」という商売の大原則を胸に、信頼される存在であり続けることが求められます。そのため、日常業務の中で社員に技術や知識、精神などのマインドを伝えることを強く意識しています。

会社が一丸となり、ミッション実現のために進み続ける

ーー会社を維持していくうえで何が特に必要だと考えますか?

関重德:
組織が一丸となり、同じ目的に向かって成長し続ける意識を持つことです。今の世の中において、組織の現状維持は信頼の維持と同義ではありません。進歩し続けることで初めて、顧客からの信頼を維持できます。

そのためには何より人材が大切です。個人の能力を高めながらチームワークを強固にすることで、大企業にはない独自の強みを発揮できると考えています。

また、社会において会社が果たすべきミッションを正しく理解することも大切です。会社のミッションとは社員の幸せと社会への貢献であり、利益の追求ではありません。ここを勘違いすると、会社の存在価値が失われてしまいます。

「社員を幸せにできる会社」という前提に立ち、社会の役に立つ仕事をやり遂げる。そうすれば、売上はあとから自然とついてくるものです。

取引先の開拓と人材育成で、成長し続ける組織を目指す

ーー今後の展望を教えてください。

関重德:
今後、取り組みたいことは、取引先の開拓と人材の育成です。

まず取引先の開拓ですが、新規取引先の開拓と既存取引先へのアップセル・クロスセルの提案を考えています。これは、国内における人口減少の影響を受けたねじ需要の減少を懸念してのことです。

また、人材育成については、幹部育成と後継者育成に取り組みたいですね。組織を長続きさせるためには、人への投資が欠かせません。ねじの知識や営業ノウハウはもちろん、その他の知識や技術も学ぶことで、プラスアルファの価値が提供できる人材を育てたいと考えています。

ーー社員に求める条件はありますか?

関重德:
ものづくりの一翼を担う気概がある方が望ましいですね。また、顧客との信頼関係の構築ができる、営業力のある方も求めています。

人間性の部分においては、物事に対して責任をもち、自主的に考えて行動できる方が望ましいと思います。弊社は顧客との信頼関係の上に成り立っているので、顧客と誠実に向き合うまっすぐな心を持った人とともに、社会を支える存在であり続けたいですね。

編集後記

関社長は父から受け継いだ会社をより良い場所にしようと考えるだけでなく、会社で社会貢献をするための方法も日々模索している。会社のミッションは社員の幸せと社会への貢献であると力強く語るその姿勢は、まさに思いの体現そのものだ。ねじという小さな部品が、今後、人や社会をどうつないでいくのか。関社長の見据える未来が楽しみだ。

関重德/1949年東京都大田区生まれ。青山学院大学経営学部を卒業。1972年、合資会社大関螺子工業所(現:大関ジョイテック株式会社)に入社。2010年、大関ジョイテック株式会社の代表取締役社長に就任し、現在に至る。

関太彬/1982年東京都大田区生まれ。青山学院大学経営学部を卒業。2005年、ANAグループ会社に入社し、営業や海外勤務、省庁出向等を経験。2022年、大関ジョイテック株式会社の専務取締役に就任し、現在に至る。