
株式会社ジェー・ピー・シーは、宣伝広告物の制作や、Webサイト・動画コンテンツの作成を手がける広告会社だ。京都と東京には写真や映像撮影だけでなく、CG合成も可能な複合型の自社スタジオを持つ。また、フリーランスのクリエイティブ人材と企業をマッチングする人材サービスも提供。さらに直近では、SEO対策やAI活用を強化したことでインバウンド集客を成功させ、「営業寄与率0%」の体制を実現し、驚異的な成長を遂げている。人々の興味を引き付ける広告をつくるポイントや、飛躍的な増収を継続する秘訣、そして新たなサービスの展開について、代表取締役社長の山本修司氏に話をうかがった。
「コンテンツ×媒体」で広告効果を最大化
ーーまずは、貴社の事業における他社との差別化ポイントや強みを教えてください。
山本修司:
弊社の大きな特徴は、Webサイト、動画、SNSなど、あらゆる媒体にコンテンツを提供できるコンテンツメーカーであることです。マルチメディアの広告制作を一社完結で担えるように、写真撮影や映像制作、CG合成ができる最新鋭の複合型スタジオを東京と京都に開設しています。広告効果は、コンテンツと媒体との掛け算で生み出されるものです。1、2秒で人々の興味を引き付けるインパクトのあるキービジュアルをつくり、それをあらゆる媒体に最速で発信できるようにワンストップでサービスを提供しています。
さらに「AdMarket(アドマーケット)」では、WebやSNSの広告運用代行から、YouTube広告、TVer、ABEMA、TVCMに至るまで、媒体の販売と運用、解析を手がけています。デジタル広告は低価格で運用でき、販売するサービスや商品のターゲット層にピンポイントに広告を表示できるのがメリットです。サービスや商品を必要としている方だけに広告を配信できるため費用対効果が非常に高いのです。
なお弊社では、ニーズ分析をしてポートフォリオを組み、広告を配信した後もクリック率や成約率を解析し、改善を繰り返し行っています。こうしたデータ分析をすることで、お客様の成約率アップに直結させています。
ーー大手企業や上場企業からパートナーとして選ばれ続けている理由は何ですか。
山本修司:
全社員86名のうち約60名が実務を担うクリエイターであり、ほぼ100%完全な内製化体制を敷いている点です。昨今のビジネスシーンにおいて、大手企業や上場企業は情報漏洩リスクを徹底的に防ぐため、秘密保持契約(NDA)において業務の第三者への再委託を禁止するケースが増えています。そのため、受注した案件を外部のフリーランスや下請け業者へ再委託する代理店や制作会社は、セキュリティの観点から発注先として選ばれにくくなっているのです。
その点、弊社は自社内に多様なクリエイターを多数抱え、撮影スタジオや最新の機材設備もすべて自社で保有しています。外部のパイプ役に頼ることなくNDAの厳しい条件をクリアし、自社のスタッフが最初から最後まで責任を持って成果物をつくり上げるため、「ジェー・ピー・シーならばセキュリティ面でもクオリティ面でも安心してすべてを一任できる」という確固たる信頼をいただいています。
Webからの自動流入で新規受注し高収益体質を実現
ーー貴社では毎年増収を達成されていますが、利益を生み出す構造の秘密は何ですか。
山本修司:
自社でコンテンツづくりを完結できるため、他社とは利益を生み出す構造が根本的に異なります。それに加え、WebサイトのSEO対策をしてLPを打ち出すことで、自動的に新規流入が発生するように仕組み化しているのもポイントです。
多くの企業にとって利益率が低くなる主な原因は営業スタッフの人件費で、日本の企業の多くは営業活動やその教育にたくさんの時間とお金をかけています。従業員は新規営業に時間をとられて、ディレクション力や企画力など、本来持つ自分の能力を発揮する場がなくなってしまいます。それにより退職者が続出し、企業はその度に新たな人材を確保しなければならないため、負のスパイラルに陥ってしまうのでしょう。
一方で弊社は、新規営業にかける労力やコストを最大限カットし、少人数でも仕事を回せるようにして、スタッフの長所を伸ばせる環境を整えています。2年前はネット経由の受注率が全体の99.97%でしたが、現在は完全に100%となり、営業担当者による新規開拓の寄与率は0%になっています。
ーーどのように新規案件を獲得されているのか、教えていただけますか。
山本修司:
サービス開発の専門部署がSEOとAI対策に注力した結果、年間約2,700件もの新規問い合わせが自動で流入しています。これに対して、各サービスの専門知識を持つフロントディレクターが初回のオンライン対応を担う仕組みを構築しました。
専門家が的確な提案を行うことで、受注率は30%という高い水準を維持しています。昨年は1年間で400社以上の新規案件を受注し、今期は約800社を見込んでいます。営業担当者は新規開拓を行わず、受注した案件の進行管理などに専念できるため、人件費の無駄がなく、経常利益率20%の高収益体質を実現しました。
フリーランス人材を活用し企業の人材不足を解消

ーー現在、注力している事業についてお聞かせください。
山本修司:
「MART&ARMY(マート&アーミー)」という、クリエイティブ人材と企業をマッチングする事業が急成長しています。これまでは正社員や派遣社員として会社に通勤するのが一般的な働き方でした。しかし、コロナ禍以降にリモートワークが普及し、特にシステムエンジニアやプログラマー、デザイナーといった技術職の方々は、会社に属さなくても仕事ができると気付き、次々とフリーランスとして独立していきました。その結果、自社内でWeb運用を内製化しようとしていた多くの企業が深刻なIT人材不足に陥ったのです。
そこで弊社は、クリエイティブ領域の優秀なフリーランス人材をデータベース化し、企業のニーズに合わせてピンポイントでアサインするサービスを始めました。登録者には技能テストを実施して5段階でランキング分けを行い、プロジェクトの難易度に適したプロフェッショナルをアサインします。品質にばらつきが出ないよう、上がってきた成果物は必ず弊社のスタッフが厳格にチェックしてからお客様に納品する仕組みです。企業側は高額な固定費を払って新たに人を雇う必要がなくなり、スキル不足の問題も解消できるため多方面から求められ、現在ではこの人材マッチング事業だけで月間の売上高が1000万円を超える規模へと成長しています。
ーー貴社の急成長を牽引している新サービスについて教えてください。
山本修司:
一つは、Webサイトの内製化を支援する「コーディングアーミー」です。企業に企画やデザインを担当していただき、弊社がコーディングのみを請け負います。弊社ではデザインツールのFigma(フィグマ)を活用して仕様を一元化するサポートも行っており、そこに熟練のコーダーが連携することで、大量のページを圧倒的なスピードとコストパフォーマンスで、高速かつ高品質に構築できるのが強みです。
もう一つは「SEOアーミー」です。これはもともと自社の集客用に行っていたSEO・AI対策なのですが、「ジェー・ピー・シーのサイトばかり上位表示される。自社にもその手法を導入してほしい」というお客様からの熱望により事業化しました。自社での確固たる成功実績があるため、サービス開始直後から依頼が殺到し、大ヒットとなっています。
困難をワクワクの種に変えひらめきを形にする独自のマインド
ーー新しいアイデアを生み出し続ける、社長ご自身の原動力は何でしょうか。
山本修司:
私自身、特にビジネス書などを読んで経営の参考にすることは全くありません。他人の考えを踏襲するのではなく、自分の頭で思いついたアイデアやひらめきを具体的な形にし、それが社会に広がっていく過程を楽しんでいるだけなのです。
私は釣りが趣味ですが、魚が釣れ続けていると次第につまらなくなってしまいます。逆に全く釣れない時に「どうすれば釣れるか」と試行錯誤するプロセスの方が好きですね。経営も同じで、順調な時よりも困難やトラブルに直面したときの方がワクワクします。
たとえば、現在の弊社の基盤となっている「営業のクラウド化」というアイデアも、社内で大きな課題が発生した時に閃いたものです。あるトラブルの相談を受けた翌日、サウナに入っていた時、ふと「東京や京都といった物理的な空間の制約にとらわれず、組織そのものをデジタル上でクラウド化して情報や案件をシェアすればいい」と思いついたんです。その瞬間、それまでの不安が一気に払拭され、「早く会社に行ってこれを実行したい」と凄まじいワクワク感へと変わりました。ピンチの時こそ新しい仕組みを閃くチャンスであり、それを楽しみながら解決していくことが会社の成長につながっています。
ーー会社を成長させ続ける中で、どのような未来を描いていますか。
山本修司:
よく「5年後の売上高目標はいくらか」と聞かれますが、私自身にはそういった明確な数値目標は全くありません。何億円稼ぎたいといった物欲もなければ、高級車に乗りたいといったステータスにも全く興味がないんです。日々の業務の中で、自分が「労働をしている」という感覚すらあまり持ちません。
毎日、新しいアイデアを閃き、それを形にしていくことを遊ぶような感覚で全力で楽しみ続けたい。新しく立ち上げたサービスが、もし失敗したとしても受け流し、また次の新しいものをつくり出せばいいだけです。日々のワクワクするプロセスを徹底的に楽しみながら積み上げていった結果として、自然と支持が集まり会社が大きくなっていく。それこそが、最も理想的な未来のあり方だと思っています。
編集後記
「ビジネス書は読まない」「明確な売上高目標はない」と笑顔で語る山本氏の言葉は、既存の枠にとらわれない柔軟な発想と圧倒的な行動力に裏打ちされている。社内のトラブルすらも「ワクワクする謎解き」に変換してしまうポジティブな姿勢こそが、ジェー・ピー・シーの急成長を支える最大のエンジンだ。「営業寄与率0%」のインバウンド集客や、すべての工程を自社で完結させる強靭な組織体制、そして顧客の悩みに寄り添った新サービスの数々は、独自のインスピレーションから生まれた結晶である。空間や固定観念の制約を超え、デジタル技術とクリエイティブの力で進化し続ける同社の未来に、さらなる期待が高まる。

山本修司/1967年生まれ、京都府出身。北海道大学卒業。1999年に株式会社ジェー・ピー・シーに入社し、2009年に代表取締役社長に就任。