株式会社ジェー・ピー・シーは、宣伝広告物の制作や、Webサイト・動画コンテンツの作成を手がける広告会社だ。京都と東京には写真や映像撮影だけでなく、CG合成もできる複合型のスタジオを持つ。
また、フリーランスのクリエイティブ人材と企業をマッチングする人材サービスも提供している。
人々の興味を引き付ける広告をつくるポイントや、毎年10%の増収を継続している秘訣など、代表取締役社長の山本修司氏に話をうかがった。
コンテンツ×媒体で広告効果を最大化
ーー今の会社に入社された経緯を教えていただけますか。
山本修司:
大学卒業後は一般企業に入社し、広告とは別の仕事をしていました。しかし、父が会社を立ち上げて3年ほど経った頃に、「会社を引き継いでほしい」と言われ、地元である京都に戻ってきました。
当時はカタログやポスター、チラシをつくるグラフィックデザインを手がけていたのですが、これといった特徴がありませんでした。会社を継いだ私はこのままではだめだと思い、コンテンツについて研究し、業界分析をするところから始めました。
そこで、広告において重要なのは1、2秒で人々の興味を引き付けられるような、インパクトのある画とコピーが重要だと気付きました。それからブランドのイメージを印象づける、キービジュアルとコピーライティングに注力しました。
ーー他社との差別化ポイントは何でしょうか。
山本修司:
弊社の大きな特徴は、Webサイト、動画、SNSなど、あらゆる媒体にコンテンツを提供できるコンテンツメーカーであることです。マルチメディアの広告制作をワンストップで行えるよう、写真撮影や映像制作、CG合成ができる「ワンストップスタジオ」を東京と京都に開設しています。
広告効果は、コンテンツと媒体との掛け算で生み出されるものです。インパクトのあるキービジュアルをつくり、それをあらゆる媒体に最速で発信できるようにワンストップサービスを提供しています。
ーー貴社の強みをお聞かせください。
山本修司:
広告効果を最大限に活かせるよう、あらゆる媒体と組み合わせ、ターゲットニーズに合った広告を打ち出していることです。「AdMarket(アドマーケット)」では、WebやSNSの広告運用代行から、YouTube広告、TVer、ABEMAからTVCMまで媒体の販売と運用、解析を手がけています。
デジタル広告は低価格で運用でき、販売するサービスや商品のターゲット層にピンポイントに広告を表示できるのがメリットです。サービスや商品を必要としている方だけに広告を配信できるので、費用対効果がとても高いのです。
なお弊社では、ニーズ分析をしてポートフォリオを組み、広告を配信した後もクリック率や成約率を解析し、改善を繰り返し行っています。こうしたデータ分析も行うことで、成約率アップにつなげています。
Webからの流入で新規受注し、毎年10%の増収を実現
ーー貴社では毎年10%の増収を達成されていますが、成長の要因は何でしょうか。
山本修司:
自社でコンテンツづくりを完結できるため、他社とは利益を生み出す構造が違うんですよ。それに加え、WebサイトのSEO対策(※1)をしてLP(※2)を打ち出すことで、自動的に新規流入が発生するように仕組み化しているのもポイントです。
多くの企業にとって利益率が低くなる主な原因は、営業スタッフの人件費です。日本の企業の多くは、営業などの教育にたくさんの時間とお金をかけています。従業員は新規営業に時間を取られて、ディレクション力や企画力など、本来持つ自分の能力を発揮する場がなくなってしまいます。それにより退職者が続出し、企業はその度に新たな人材を確保しなければならないため、負のスパイラルに陥ってしまうのでしょう。
一方で弊社は、新規営業にかける労力やコストを最大限カットし、少人数でも仕事を回せるようにして、スタッフの長所を伸ばせる環境を整えています。ネット経由の受注率は全体の99.97%を占めており、人的リソースを割かずに新規の仕事を獲得できています。
(※1)SEO対策:検索エンジンでWebサイトの上位表示や露出を増やし、ユーザーの流入を増やす施策のこと
(※2)LP:申し込みや問い合わせなどのアクションを誘導するために、商品・サービスの紹介を1ページほどでまとめたWebページのこと
フリーランス人材を活用し企業の人材不足を解消
ーー現在、貴社が注力されている事業はありますか。
山本修司:
「MART&ARMY」というクリエイティブ人材のマッチング事業です。これまでは正社員や派遣社員として、会社勤めをするのが一般的な働き方でした。
しかし、コロナ禍以降リモートで働くようになり、特に技術職の方は会社に行かなくても仕事ができると気付いたんです。そうしてシステムエンジニアやプログラマー、デザイナーの方々が次々とフリーランスになったことで、人材不足に陥る企業が続出しました。
そこで弊社は、クリエイティブ領域の人材をデータベース化し、企業とフリーランスの方をマッチングする人材サービスを始めました。登録していただいた方には技能テストを実施し、テスト結果をもとに5段階でランキング分けをします。
企業様から依頼を受けたら、仕事のレベルに適した方をピックアップし、その方にお仕事を発注します。品質のばらつきがないよう、ワーカー様から上がってきた成果物は弊社のスタッフがチェックし、お客様に納品するという仕組みです。
こうしてフリーランスの方に仕事を依頼することで、企業側は新たに人を雇わなくても仕事を回せるようになります。また、仕事のレベルに合わせてアサインできるので、スキル不足の問題を解消できるのもメリットです。
ーー今後の貴社の目標をお聞かせください。
山本修司:
コンテンツ制作と媒体事業、人材マッチング事業の3つを軸とし、5年で年商40億円を達成したいと考えています。この目標を達成するため、弊社独自の戦略でこれからも成長していきたいと思っています。
編集後記
父親が立ち上げた会社を引き継ぐことになり、異業種から広告業界へ転身した山本社長。「コンテンツとは何か」と基本に立ち返り、客観的に業界を分析してきたからこそ、人々の興味を引く広告を生み出せるのだろう。株式会社ジェー・ピー・シーは、広告の力であらゆる業界を盛り立てていくことだろう。
山本修司/1967年生まれ、京都府出身。北海道大学卒業。1999年に株式会社ジェー・ピー・シーに入社し、2009年に代表取締役社長に就任。