※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

多くの企業が抱える悩みの一つは人材採用のミスマッチと言われている。限られた人員や資金の中で年間10万人が利用する就活サイトを開発し、ビジョンの高い企業を人材面でサポートするのが株式会社Cheerである。同社を率いる平塚社長に自身のユニークな経歴から経営にかける思いに至るまでをうかがった。

行動と信念が開くキャリアの扉

ーー入社されるまでのご経験を教えてください。

平塚ひかる:
学生の時は特に将来やりたいことはありませんでしたが、承認欲求が強い性格であることは、中高生の頃から自覚していました。やがて就職活動の時期になり、「今後働くとしたら、それを最大限感じられる環境を選びたい」と思い、新卒で人材ベンチャーに入社しました。

ーー入社3ヶ月で役員に就任されたとうかがいました。異例の早さですが、短期間で成果を出すためにどのようなことに取り組んだのでしょうか。

平塚ひかる:
成果を出した秘訣を一言でいうと、バッターボックスに立つ数が圧倒的に多かったことです。何ももっていない当時の私にできることは、お客様のために誰よりも走り切る信念を貫くことと行動しかありませんでした。

他人を圧倒する量を20代でやり切ると、周囲に年齢とのギャップから驚きを与えられます。20代前半は効率よりも量で勝負することです。指示を受けたら2倍の成果で返すことで、相手の期待値を超えた分が評価になります。当時はそれを積み重ねていました。20代のその瞬間にしか浴びることのできないスポットライトがありますからね。

あとは、最初の基準は高くしておいた方が良いですね。新卒で入社する会社が、自分のビジネスパーソンとしての基準になりますから。

「ないないづくし」のベンチャー企業にスポットライトをあてるサービスを展開

ーー7年間勤めた会社の事業を引き継いで立ち上げたCheerの事業内容を教えてください。

平塚ひかる:
教育を通じて、人材のミスマッチを解消することをテーマに事業を展開しています。就職活動に熱心に取り組んで入社しても、その3割は3年以内に離職している状況です。

ミスマッチが起こるのは、日本においてキャリア教育に問題があることが原因だと気づきました。コロナ禍であったことから状況は良くなかったものの、前職時代から考えていた問題点を解決すべく、2020年に逆張りの発想で起業に踏み切ったのです。

代表的なサービスとして、ベンチャー企業に特化した就職サイト「チアキャリア」を展開しています。弊社のメイン事業ですが、これは手段の1つであって、目的はベンチャー企業の課題解決です。人材紹介、経営者の交流イベント、研修、SNSコンサルティングなど領域は拡大しています。

経営資源が限定されているものの、大きなビジョンをもった社長たちの支援ならびに必要なソリューションを提供し、ないないづくしのベンチャー企業にスポットライトを当てたいという熱意で活動しています。

ーーベンチャー企業経営者から具体的にはどのような相談が寄せられるのでしょうか?

平塚ひかる:
「内定者が別の大手企業に就職することになり、辞退されてしまった」という相談は頻繁にいただきます。

弊サイトには、将来的に起業家や幹部候補になりたいと考える学生が集まっていることが強みです。彼らに魅力的に映る設計を工夫しており、大手企業を選ぶ学生とは対象を異にすることで差別化しています。

「レガシーマーケット」の人材業界に新たな市場を生み出したい

ーー貴社で働いている社員の特徴はどのような点にありますか?

平塚ひかる:
弊社にはセールスがいません。人材会社では珍しいですよね。社員の職種はマーケター、カスタマーサクセス、エンジニア、CXチームという学生のファンマーケティングを作るチームで構成されており、社員の能力の高さには自信をもっています。ありがたいことに、弊社の出身者は他社でも活躍していると聞きます。マルチタスクでプロジェクトを進行でき、成長を志向し能力を高めたいと思う方には合っていると思います。

加えて採用に関してですが、全てのポジションで新卒・中途問わず積極採用しています。

ーー中長期の視点での成長戦略をお聞かせください。

平塚ひかる:
事業および組織規模は拡大しています。インターン生を積極的に採用していますので、計画通り進めば3〜5年以内に現在の2倍から3倍の陣容になります。人材業界に新たな市場を生み出せるような事業を展開していきたいと考えており、SNSコンサルなどはその一例です。

言うまでもなく、昨今の市場の変化は急激です。とりわけ人材ビジネスはレガシー(成長性が低い)とされシェアを奪い合う市場であることから、そこに別の視点やサービスを投入し、新たなシェアの獲得に努めていきます。

編集後記

「承認欲求が私を突き動かした」そう話す平塚社長のエネルギーを支えるものを、さらに挙げるなら熱意と論理ではないだろうか。次々と繰り出される言葉に、こちらが勇気づけられ、ワクワクさせられた。自社のビジネスに話が及ぶと冷静かつロジカルに展望を語る。株式会社Cheerはその名の通り、ベンチャー企業を応援する会社だ。平塚社長がともに歩む物語の続きを楽しみにしたい。

平塚ひかる/新卒で入社した会社では3ヶ月目の22歳で役員に就任。1年目で営業成績1位・全社MVPを達成。営業・マーケティングや開発・広報・人事管轄の取締役に従事した後独立し、2020年に株式会社Cheerを設立。第1回日本中小企業大賞で三冠を獲得。同大賞では、3年連続受賞を果たし殿堂入りして審査員に就任。東京都の多様な主体によるスタートアップ支援展開事業、分科会審査員担当。ベンチャー企業における意思決定層のジェンダーギャップに取り組む「スポンサーシップ・コミュニティ」発起人。