※本ページ内の情報は2024年6月時点のものです。

株式会社アイスリーデザイン(2006年設立、東京都)は、クライアント企業のDXを実現するためにさまざまなサービスを手掛けている。

UIUXデザインやアプリケーション開発を得意としており、顧客の中長期的な成長と繁栄に寄与するサービス開発を重視している。また、デジタルイノベーションパートナーとして顧客の事業成長を支えるというビジョンを持っている点が特徴だ。

そのビジョンを達成するために現在事業拡大を進めており、「3年以内に新規上場」という大きな目標を掲げている。その展望について、創業者であり代表取締役社長の芝陽一郎氏に話をうかがった。

デザインとエンジニアリングを融合して差別化を図る

ーー貴社の事業内容をお聞かせください。

芝陽一郎:
DX支援企業として、クライアント企業のアプリケーションやソフトウェアの開発を請け負っています。

また、もともと私たちはPCサイトをスマホサイトに変換させるプロダクトを作って事業を開始した経緯もあり、そうしたストック型のビジネスも大きな割合を占めています。

もう1つは企業のDXにおける上流の戦略策定や人材育成・組織開発の課題を解決するコンサルテーションのサービスも実施しています。

ーー貴社が選ばれる理由は何でしょうか?

芝陽一郎:
弊社はデザインとエンジニアリングの融合というコンセプトでビジネスを展開しているのですが、そのエリアで事業を手がける会社は限られており、感覚的には10社ぐらいに絞られますので、それだけでも差別化できているといえます。

また最近のトレンドでいうと、開発体制を内製化したいというニーズが高まってると思いますが、内製化志向が強く、技術トレンドに対して感度が高い企業に対して、伴走支援型でサービスを提供するスタイルも得意としており、その点を評価頂くことも多いです。

ーーUI/UXデザインについて貴社の強みをお聞かせください。

芝陽一郎:
私たちの捉えるデザインとは、グラフィカルなデザインというよりも、体験設計そのものを指しています。つまり、アプリケーションやソフトウェアがユーザーにとっていかに使いやすいか、という点を重視しているのが特徴です。

そもそもソフトウェアのUI/UXデザインを手がける企業自体が、日本では珍しい部類に入るので、その点が強みといえます。

日本のITレベルを引き上げるためにもDX事業を展開

ーー学生時代から経営者志望だったのですか?

芝陽一郎:
私の親族には先生や医者や弁護士が多く、会社員がいないので、「サラリーマンになる」という将来像は昔からありませんでした。

ただ、大学に残るという選択肢もあるなかで、26歳まで学生をしていて親にいつまでも学費を出してもらうわけにいかず、自立したいと考えました。「いっそのこと会社を経営するしかない」と思ったのが一つのきっかけです。

ーーどういった経緯で起業したのでしょうか?

芝陽一郎:
ニーズが高いIT関係に的を絞ったものの、自分自身は文系でスキルはないため、ITを専門的に学んだサーバー管理者を招聘したりして学生ベンチャー企業を立ち上げました。

やってみて感じたのは「大手にはかなわない」ということです。そこで勉強のために一度、企業で働くと決めました。はじめに大手シンクタンクに入り、さらに大きくお金を動かしたいと考え、今度は大手IT企業に転職しました。

就職して会社の組織プレーや資本を回していくことの論理を学ぶことができたのは1つの収穫でした。

ーー貴社の事業の目的や展望をお聞かせください。

芝陽一郎:
この国の経済を良くするためには、ITの分野においてより一層DX化を進めないといけません。事業で得られたノウハウや経験を、国内景気の底上げのために還元していきたいというのが基本的な考え方です。

事業拡大を視野に入れ、フロンティアタイプの人材を求める

ーー3年後の目標をお聞かせください。

芝陽一郎:
事業規模をさらに拡大し、IPOを目指していきたいです。特にIPOは3年以内に実現するつもりで、スタッフの増員も進めています。

従業員は現在、正社員が85名、海外拠点と契約社員まで含めると120名です。それを3年で2倍以上に拡大していきたいと考えています。

ーー採用したい人物像を教えてください。

芝陽一郎:
弊社は基本的にチームで開発を行い、全体としていかに生産性を上げるかということに焦点を置いて取り組んでいます。

欲をいえば、「こうした方が使い勝手がいいのでは」といった意見やアイデアを積極的に出せる人材や、視座高く顧客目線でサービスを考え、開発できる人材が理想です。クライアントの要求レベルは技術の進化とともにどんどん高くなっていきますので、最新技術のキャッチアップや適応力も必要になります。

そのため、弊社にはフロンティア精神のあるタイプが向いてます。決まったことを淡々とやるだけでは前進しません。人よりも新しいツールやプロセスや技術を積極的に取り込むような気概のある方に高い関心があります。

編集後記

芝社長は、日本はITの発展途上国であると指摘したうえで、「この国のIT競争力を高めることに貢献したい」と抱負を語っている。

落ち着いた口調で理路整然と語る一方で、学生時代にベンチャー企業を立ち上げるなど、フロンティア精神も持ち合わせている。

IPOを果たし、会社の規模を拡大するという目標を明確にした頼もしいリーダーに、日本IT界の未来を託したい。

芝陽一郎/野村総合研究所にて金融機関むけのシステムコンサルティング業務に従事後、ソフトバンクにて海外ベンチャーキャピタルとの折衝、投資案件のデューデリを担当。当時ソフトバンクグループ会社内の最年少役員。その後、一部上場企業を対象に投資事業ポートフォリオ再編、バイアウトのアドバイザリー業務を提供、複数のIT企業の役員を歴任。早稲田大学人間科学研究科修士課程修了。ロータリー財団の奨学生としてドイツBielefeld大学にて社会哲学専攻。2006年に株式会社アイスリーデザインを設立。