※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

ITインフラの構築からアプリケーションの開発だけでなく、ビジネスコンセプトづくりのフェーズから、デザイン、構築、保守・運用までの全工程を手掛ける株式会社ライトカフェでは、シルバー人材の雇用を積極的に行っている。

“イキイキと働ける職場づくり”に取り組む企業を表彰する、リクナビNEXT主催の「第7回(2020年度)GOOD ACTIONアワード」では、「ワークスタイルバリエーション賞」と「審査員賞」を受賞した。

同社の特徴やシルバー人材の活用を始めたきっかけ、地域貢献への取り組みなどについて、創業者の榊原喜成氏にうかがった。

お客様にとって気軽に相談できるパートナーでありたい

ーーはじめに貴社の事業内容についてお聞かせください。

榊原喜成:
弊社はWebサイトの構築やアプリ開発を行っています。設計からデザイン、UI/UXデザイン、開発後の保守・運用まで、トータルでサポートしています。最近では、AIなどの先端技術を活用した事業も展開しています。

ーー貴社の強みを教えてください。

榊原喜成:
弊社は今年で創業25年を迎えました。長く事業を行ってきたからこそ、幅広い業種で導入実績があるのが強みです。

また、私たちはお客様と長期的に関係を築くことを大切にしています。お客様と良好な関係を築ける人材が豊富にいることも、お客様に選んでいただける理由だと思っています。弊社のコンセプトである「イツモトナリニライトカフェ」で掲げる通り、お客様のそばにいるパートナーでありたいと思っています。

ーーライトカフェという社名にはどのような思いが込められているのですか。

榊原喜成:
温かみのあるカフェのような、明るい雰囲気の職場にしたいと思い、この社名に決めました。以前勤めていたSler(※)が閉鎖的な環境だったことや、当時、システムエンジニアという職業に対して陽の当たらないイメージがあったことから、自分が立ち上げる会社は楽しく働けるようにしたかったのです。

※Sler:システムの開発や運用を行う会社

ーー創業当時は苦労も多かったのではないですか。

榊原喜成:
創業当初は資金繰りに苦労しましたね。とにかく仕事をもらおうと必死でした。一方で人材に関しては、フリーランス時代に知り合ったエンジニアたちが集まってくれたので、とても助かりました。このときのメンバーは今でも役員としてがんばってくれています。

幅広い世代の雇用を促進し、地域活性化に貢献

ーー貴社ではシルバー人材活用の取り組みもしていますが、シルバー人材の登用を始めたきっかけは何だったのですか。

榊原喜成:
年々、少子高齢化が進み、若年層の地元離れが進む中で、弊社では地域のシルバー人材に着目しました。若手だけでなく地域のシルバー人材が活躍できる場を作りたいという想いを持っていることがきっかけです。青森県八戸市にサテライトオフィスを開設後、市内のシルバー人材センターからご紹介していただきました。

八戸市のオフィスでは、主に日本語AIアノテーション業務をお任せするところからはじめました。アノテーションとは、AIの精度を高めるため、データに日本語のタグを付ける作業のことです。

以前はベトナムの企業へ依頼していたのですが、国内に住む高齢者の方は日本語のスキルが高く、作業に適していると考えました。エンジニアがつくったシナリオをもとに、Webサイトやアプリケーションのテストもお任せすることにしました。

また、彼らの活躍ぶりに触発され、若手社員たちのモチベーションも向上しています。実際に一緒に働いている若手社員は「仲間と一緒に仕事ができて楽しい」と言っており、私もうれしく思っています。

ーーそもそも、なぜ青森県にサテライトオフィスを開設したのですか。

榊原喜成:
東京で働いていた社員が、家の都合で青森県に帰郷することになったのです。手放すには惜しい優秀な人材だったので、継続して働いてもらえるよう、現地にオフィスをつくったことがきっかけです。

その他、現在はグループ会社を含め、北海道、秋田県、福岡県、沖縄県にオフィスを構えており、将来的には全国へ展開していきたいと考えています。

ーー地域貢献に関して現在特に注力していることはありますか。

榊原喜成:
弊社のグループ会社のひとつに、沖縄を拠点にしている株式会社ビーンズラボがあります。同社では、沖縄の所得向上を目標に掲げ、雇用創出や人材育成に力を入れています。2022年には第一回の沖縄県所得向上応援企業に認証されました。
今後は、グループ全体で、沖縄県の貧困問題の対策を既存団体様と協力して行っていきたいと思っています。

具体的な取り組みとしては、子ども食堂や弁当宅配など食事の支援、学童クラブでの学習の支援、進学に関する物資の支援、仕事体験などのイベントへの参加・協賛等の様々な方向からの支援を考えております。

ビーンズラボとしては、過去活動実績がございますが、今後はライトカフェグループ全体で取り組んでいき、沖縄県の地域活性や所得向上に繋げていければと思っております。

ーー今後の海外展開について教えて下さい。

榊原喜成:
フィリピンを拠点に、海外でも事業を展開していきたいと考えています。昨年にはフィリピンのセブに拠点を持っている、株式会社gecogecoと業務提携しました。これを機にお互いのノウハウを共有し、グローバル人材の獲得を加速して事業拡大を目指します。

社員同士が互いに支え合い、悩みを相談しやすい組織風土

ーー社内の雰囲気や組織文化についてお聞かせください。

榊原喜成:
仲間内で設立した企業なので、社内の風通しは良いと思います。明るく和やかな雰囲気で、お客様を助けるだけでなく、社員同士も互いに支え合い、助け合う文化が育っています。また、取締役がすべてエンジニア出身ということもあり、意思決定が早いのも特徴です。

ーー求める人物像、そして後継者に必要な素質を教えていただけますか。

榊原喜成:
弊社は企画から始まって開発、運営・保守まで手掛けているため、チームとしてお互いに助け合うことが必要です。そのため、相手を尊重し、コミュニケーションを大切にする方を求めています。

後継者に関しては、これまで私たちがチャレンジしていないことや、私が思いつかないアイディアを出してくれる人がいいですね。自分が実現したいことを発信すれば、おのずと人は集まってきますから、新しい挑戦ができる人に弊社を引っぱっていってほしいですね。

ーー最後に起業を考えている方に向けてメッセージをお願いします。

榊原喜成:
何かひとつでもいいので、自分の興味があることに打ち込んでみてください。また、自分のビジネスが周りの人の役に立つのかをよく考え、長く事業を継続できるようにがんばってください。

編集後記

サテライトオフィスを開設したのは、故郷に戻らなければならない社員に働き続けてもらうためだったと話す榊原社長。仲間が仕事を続けられるように会社側が動くという、まさに社員思いの職場だと感じた。株式会社ライトカフェは、シルバー人材や地方の雇用促進のモデルケースとして、他の企業の手本となることだろう。

榊原喜成/1971年大阪府生まれ。甲南大学経営学部卒業。Sler企業に入社後、フリーランスを経て、2000年有限会社ライトカフェ(現・株式会社ライトカフェ)を設立し、代表取締役社長に就任。