※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

データサイエンスをコアアセットに、戦略・実行支援・テクノロジー実装などのケイパビリティを連結させながらコンサルティング事業を展開する株式会社サイカ。2012年の創業から積み上げてきたデータサイエンスの技術をもとにマーケティング戦略を立案し、これまでに270社以上のクライアントを支援してきた。

同社の代表取締役社長CEOである平尾喜昭氏に、起業に至るまでの経験や才能開花のための指針、提供するソリューションについてうかがった。

「どうしようもない悲しみ」から社会を救うために起業

ーー起業までの経緯を教えてください。

平尾喜昭:
中学1年生のときに父が勤めていた会社が倒産し、それが原因で父の周りでは悲しい出来事が立て続けに起こりました。当時の私はそういったどうしようもない悲しみを受け入れるしかない状況にショックを受け、「世の中に起こる不条理な出来事をどうにかしたい」という思いが強くなりました。

父が音楽好きだった影響もあり、人々の悲しみを癒す力がある音楽に目覚めました。日本と韓国で音楽活動をしていましたが、日韓の文化のギャップを感じるようになりました。その背景にあるものを知るために、さまざまな国の政治や経済の成り立ちが学べる経済政策を専攻し、データサイエンスに出会いました。

あるとき、ゼミの中で父の会社が不良債権処理の事例として挙げられ「会社を救う方法があったかもしれない」ということを知ったのです。受け入れるしかないと思っていた悲しみを、なくすことができたのかもしれないということに衝撃を受けました。悩んだ末に、悲しみを癒す音楽の道ではなく、悲しみをなくす道に進むべきだと感じ、サイカの立ち上げに至りました。

クライアントのマーケティング課題を一貫してサポート

ーーどのような事業を展開していますか。

平尾喜昭:
弊社は、データサイエンスを武器としたプロフェッショナルサービスを展開する会社です。主力サービスのひとつである「MAGELLAN(マゼラン)」は、オンライン広告はもちろん、テレビCMのような効果が見えにくいオフライン広告や、競合など広告以外の要因が売上に与える影響を可視化する、サイカ独自開発のMMM(マーケティング・ミックス・モデリング)ソリューションです。

さらに、お客様の課題に寄り添いデータを基点とした戦略設計を行うことで、クライアント企業のデータドリブン・マーケティングを実現し、事業成果の最大化を支援するプロフェッショナルサービスを提供しています。

ーー貴社が提供するサービスによってどのような成果が生まれていますか?

平尾喜昭:
商品のターゲットや伝えるべきメッセージを明確にすることからサポートし、そのメッセージを効果的に伝えるために設計・実行したメディアプランにより、客数と客単価が上がるというのが代表的な成功事例です。経験や勘で語られることが多いブランドイメージを、データサイエンスに基づいて解析することで、成果につながる戦略を練ることができます。データサイエンスの技術で戦略までサポートできることが弊社の強みです。

成功事例を「型化」することで再現性を高める

ーーこれからリリースする新しいソリューションについてお聞かせください。

平尾喜昭:
先ほどお話した「MAGELLAN」は、マーケティング戦略に基づいて展開されるオンオフ施策の効果を統合的に分析し、高いROIでパフォーマンス最大化を実現するソリューションです。これを「量の解明・最適化」とすると、もう一歩手前の戦略検討段階で顧客起点でのブランド選択を解き明かす、いわば「質の解明・最適化」を支えるのが新たなソリューション「COMPASS」(※)です。

(※)「COMPASS」サービス紹介資料

この「質と量の掛け合わせ」でデータドリブンな意思決定サイクルを回す。それによってクライアント様に成功確率の高いマーケティングや組織成長をもたらす。それが我々のこれから目指していく姿です。

ーー質の解明・最適化とは具体的にどういうことでしょうか?

平尾喜昭:
新たなソリューションは、消費者行動をデータサイエンスに基づいて分析できるようにするテクノロジーです。消費者がどの商品を選ぶかどうかは、「消費者属性」「マーケティング4Pの影響」「ブランドイメージ」等の要素によって変わります。それぞれの商品においてどの要素がどれくらい重要であるかを数値で解明することで、質の解明・最適化を行います。

才能開花につながる12の行動指針

ーー社員の能力を引き出すためにどんな取り組みをしていますか?

平尾喜昭:
弊社では、「才能開花に満ちた公正な世界をつくる」というパーパスを実現するために「XICA WAY(サイカウェイ)」という行動指針を掲げています。全部で12個あるXICA WAYは12個目の「社会を才能開花させる」という指針を到達地点としており、それぞれの指針が独立しているのではなく、つながりを持っています。

たとえば、1個目の「挑戦を愛する」だけでは心が折れてしまったときに前に進めなくなるので、2個目の「Resilience(しなやかさ)」もあわせて大切にすることを心構えとしています。心構えの先には、仕事の実践と仲間とのチームワークのための行動指針を示しています。

ーー記事を見ている方に求める人材像を踏まえて御社の何を伝えたいですか?

平尾喜昭:
弊社は「自身の才能を開花させる」環境としては最適だと思っています。弊社のソリューションをお客様に提供するにあたって、商品開発や価格戦略、顧客体験など、どの業界でも通用する知識を身に付けることができます。

また、取引先の役職者の方々とお話しする機会が多いため、壁を感じることも多い分、乗り越えたときに早いスピードで成長できると思います。自分と他者の才能開花を信じている人に入社してほしいですね。

編集後記

どんな場面でも仲間たちが才能開花するためにはどうすれば良いかということに立ち戻ることで、困難を乗り越えてきたと語る平尾社長。企業としての軸をぶらさず、人や組織、社会の才能開花に貢献するサイカは、今後も創造力を引き出すソリューションを提供し、マーケティング業界変革の一翼を担うだろう。

平尾喜昭/2012年慶應義塾大学総合政策学部卒業。父親が勤める会社が倒産したことを原体験として、大学在学中に出会った統計分析から経営支援の可能性を見出し、2012年2月に株式会社サイカを創業。統計学と経済学をベースに、これまで数多くの大手クライアントでマーケティング精度向上のコンサルティングを行ってきた。その知見を基に、サイカの各種ツール開発におけるプロダクトオーナーを歴任。