アルサーガパートナーズ株式会社は、DXに関するコンサルティングからIT開発までを一気通貫で対応しているIT企業だ。それぞれの企業の課題にあわせ、DXコンサルティングやシステム開発、UX/UI戦略・デザインなどの支援サービスを提供している。
今回は代表取締役社長の小俣泰明氏に、今までのキャリアや起業のきっかけ、事業の強み、求める人物像などについて話をうかがった。
漫画家志望から大手企業へ入社するまで
ーーこれまでの経歴を教えてください。
小俣泰明:
10代の頃から漫画家を目指しており、漫画の専門学校に入学しました。卒業後は出版社に自分の漫画を持ち込む日々を送っていたのですが、上手くいかず、就職活動を始めることにしました。最終学歴も専門学校卒で社会人経験もなかったのですが、ITスキルだけはある程度身についていました。小学3年生の頃から独学でプログラムを書いたり、趣味で作曲をしたりしていたからです。
そして最初に入社したのが、コンパックという会社です。夜間のサーバー監視のポジションが空いており、昼夜逆転生活を送っていた自分にマッチしていました。コンパックで働く社員は皆優秀で、その人たちから本格的なITスキルを学ぶことができました。
その後、株式会社伊勢丹データセンターに入社して経験を積み、NTTコミュニケーションズ株式会社へ転職しました。
アーティストとして成功するために身につけたITスキル
ーー幼少期から独学でITスキルを学んだとのことですが、具体的にはどのようなことに取り組んでいましたか?
小俣泰明:
プログラミングを勉強していた小学3年生の頃はWindowsのパソコンがなかったのですが、電卓のような形をしたポケットコンピュータというものでプログラムを書いていました。
また、音楽に力を入れていたとき、自分にあったバンドメンバーを自動的に探し出す「バンドメンバーマッチングアプリ」のようなものもつくりました。
大手企業からベンチャー企業へのキャリアチェンジ
ーーNTTコミュニケーションズ株式会社で働いた後のキャリアについて教えてください。
小俣泰明:
NTTコミュニケーションズで働いていた先輩が転職することになり、その転職先に一緒に来ないかと誘われ、ベンチャー企業へ入社することになりました。ベンチャー企業で働く中で、大手企業とは違う面白さを知ることができました。
たとえば、ベンチャー企業は自分が頑張るとそのまま会社の業績が上がり、実力主義で自分の力を実感しやすい環境でした。このことがきっかけで、今まではヘッドハンティング会社からの紹介で転職していたのですが、「自分が入社したい会社を探そう」という考え方に変わりました。
その後、2009年にご縁があってJASDAQ上場のベンチャー企業へ入社し、その後取締役に就任、2010年には取締役技術統括担当執行役員に就任しました。
学歴は関係なく「ITスキルをしっかり磨けば企業のCTOにもなれる」ということを実感できた瞬間でした。また、ベンチャー企業の取締役を経験し、経営の視点を多く学べたので、自己のスキルアップとしてベンチャー企業を選んだことは正解だったと考えています。
日本のIT課題を解決するために起業を決意
ーー起業のきっかけとなった出来事を教えてください。
小俣泰明:
JASDAQ上場のベンチャー企業へ入社後、取締役へ就任しましたが、そこでその上のポジションへの挑戦意欲を持つようになり、そこから自分自身での起業という挑戦にいたりました。
ーー最初にITベンチャー企業を創業した後に貴社を起業した理由を教えてください。
小俣泰明:
大手企業とベンチャー企業を経験して両方の課題を知った私がIT改革に取り組むことは、日本経済のプラスになると考えたからです。よく「失われた30年」といわれていますが、これは日本がITを軽視したりITへの投資の仕方を間違っていたりしたことが原因です。「適切な投資とスピードでIT面を改革すれば、海外とも競争できる状況がつくれる」と思っているので、そのために日本の全ての会社のITを支援する会社を立ち上げることを決めました。
DXに関するコンサルティングからIT開発まで一気通貫で対応
ーー貴社の事業の強みを教えてください。
小俣泰明:
コンサルティングから開発までを一貫して対応しているところが強みです。日本にはコンサル会社とシステム開発会社を分けているところが多く、システムをリリースするまで、時間がかかる工程になってしまっています。たとえば、コンサルティングと開発を切り離すことにより、構想からリリースまで3年近くかかってしまうこともありますが、変化するスピードが速いIT業界ではもう通用しなくなっています。
その課題に対して私たちは、創業以来から取り組んでいる「上流から下流までの一貫サポート」を提供しており、コンサルティングから開発・運用すべての一貫対応ニーズに対応できるような体制を整えています。
ーー直近で開発したサービスがあれば教えてください。
小俣泰明:
動画生成AIを使ったサービスをいくつかつくりました。
1つ目は、保険の提案動画を作成するソフトです。これは、家族構成や年齢などのお客様情報を入力すると、そのご家庭にあった保険を提案する動画が約3分で自動的に完成するというものです。
2つ目は、営業のロールプレイングをサポートするサービスです。AIを相手に営業のロールプレイングを行うことができ、その評価もしてもらえるというものです。
自ら考え、ものづくりに取り組める人に入社してほしい
ーー貴社が求める人物像を教えてください。
小俣泰明:
自分の頭で考える力を持った人に入社してほしいですね。実は仕事をしている人の多くは、ルーティンワークなどであまり頭を働かせずに業務を行っています。脳も筋肉と一緒なので、頭を使わない状態が続くことでどんどん退化してしまい、新しいアイディアが浮かばなくなったり成長意欲がなくなったりしてしまいます。
弊社は「自分で考えて人間らしく生きる人がいるから、ものをつくれる」という思いを込めた「人をつくる」というミッションを持っているので、この点に共感していただける方は弊社にマッチしていると思います。
ーー今後の展望を教えてください。
小俣泰明:
プライム市場への上場や、その中から日経平均株価の算出のために選ばれる225銘柄に入ることを目指しています。ここまで行かなければ、「起業家として成功した」とは言えないと私は思います。そして、日本の全ての企業のITレベルを上げることは、そのくらいの組織にならなければできないと思っています。
そのために、事業の拡大はもちろんのこと、優秀な人材もたくさん採用して強い組織にしていきたいですね。
編集後記
漫画家志望であったにもかかわらず、幼少期から独学で身につけたITスキルを武器に、大手からベンチャーまで、さまざまな企業で経験を積んできた小俣社長。直近では動画生成AIでのソフトウェア開発にも力を入れ、多くのお客様の課題解決に貢献している。
プライム市場や日経225入りも視野に入れ、成長を続けるアルサーガパートナーズ株式会社から、今後も目が離せない。
小俣泰明(おまた・たいめい)/日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズなどの大手ITベンダーで技術職を担当し、システム運用やネットワーク構築などのノウハウを習得。2009年から東証JASDAQ上場の大手IT企業、クルーズ株式会社に参画、同年6月に取締役に就任。翌年5月、同社技術統括担当執行役員に就任。2012年にITベンチャー企業を創業。代表として3年で180名規模の会社へと成長させる。2016年にアルサーガパートナーズ株式会社を設立。純国産のDXコンサルティング・開発パートナーとして、DX社会における新規事業の立ち上げやDX促進におけるあらゆる課題解決と実現を支援。座右の銘は「お金は大事。仕事は何でもやる。でも魂は売らない。」