2012年4月に設立された株式会社アオラ。アプリ・ソフトウェア開発企業として、国内屈指の大手IT企業を対象に事業を展開している。数あるシステム開発事業社の中で、大手に選ばれ続けている強みは何なのか。代表取締役の藤田崇之氏に話をうかがった。
テレビ業界で理想と現実を知り、未知なるITの世界へ
ーー社長のご経歴をうかがえますか。
藤田崇之:
大学の長期休みを利用してアジアを巡るほど旅好きだったので、就職せずにバックパッカーとして生きるつもりでした。とはいえ、世界中を旅しようにもお金がありませんから「旅ができる仕事に就こう」と考えたのです。
当時は世界紀行ドキュメンタリー番組が流行していたため、海外ロケの多いテレビ番組の制作会社に就職しました。実際にはあまりの激務で旅を楽しむどころではなく、「お金を貯めて自分で旅行しよう」と2年半後に転職を決意します。その頃はインターネットで動画が見られるようになった時代でもあり、動画制作やネット全般の仕事に伸びしろを感じました。そこで、IT業界に入り、エンジニアとして経験を積み、起業に繋がりました。
ーーさまざまな経験を通じて得た仕事に対する考えを聞かせてください。
藤田崇之:
テレビ業界は上下関係がとても厳しく、年上の人たちと仲良くなるスキルや礼儀が身につきました。おかげで、IT業界ではどんなプロジェクトのときでも先輩方に可愛がっていただけたものです。人付き合いの大切さは、会社を経営する上でも強く意識しています。「仕事が楽しい」と思う瞬間は周りに誰がいるかが重要であり、一緒にいる人たちが楽しんでいれば大変な仕事でも頑張れるのだと思います。
弊社は、私のフリーランス時代のメンバーがついてきてくれる形で創業しました。スタートは上手くいったものの、創業期は自身の焦りや意気込みから社員に厳しくしすぎてしまい、10年来の仲間が辞めてしまったこともあります。今は会社にとって「人」が一番大事だと考え、人間関係に問題のない環境づくりを心がけています。
コンサルから開発まで――頼れるERPパッケージの提供に注力
ーー現在の事業内容について教えてください。
藤田崇之:
企業内のシステム開発における業務全般と、ERP(企業資源計画)パッケージのコンサルティングおよびシステム開発・導入をメイン事業としています。具体的には社内システムの構築をはじめ、各種ITプロジェクトをサポートする事業であり、取引先は通信回線事業者・銀行・保険会社などさまざまです。
ERPパッケージ事業においては、「Anaplan(アナプラン)」の認定パートナーをはじめ、「Workday」「board」「Boom」など最新のDX導入の案件を大手企業様から直接依頼を受けています。
海外製品をお客様向けにカスタマイズして導入する上で、既存システムとの連携が不可欠であり、弊社はご相談からプログラム開発まで一貫して対応可能です。「パッケージ購入のみ」「システム開発のみ」といった会社が多い中、どちらも担える国内企業は少ないため大きな強みとなっています。
「同じバスに乗って人生を楽しく」――共に働きたい人材像
ーー今後の展望を聞かせてください。
藤田崇之:
ERPパッケージは取り組みから2年ほど経ち、軌道に乗り始めた分野です。引き続き注力していくためにも、開発部隊の人材を増やしていきたいと思います。新規取引先の開拓は常に前向きに考えています。大手企業様を中心に展開するには一定の事業規模が必要なので、社内のリソースやスキルも拡充していく必要があるでしょう。
ーー採用したい人材像はありますか?
藤田崇之:
企業理念としては「同じバスに乗っているのが楽しい人たち」を求めています。共に楽しく働ける人たちとならば、バスの行き先がどこであろうと素晴らしい人生になると思うのです。キャリアやスキルよりも人柄を一番に考えているので、弊社の雰囲気に合うことが何より大切です。「常に挑戦し続けて楽しく働ける」「人を傷つけない」といった考えにも共感してもらえて、協調性を大事にする方を歓迎します。
「人生の1/3の時間を仕事に費やす」といわれています。仕事の時間を「つまらない」と捉えるか「楽しい時間」と捉えるかで、生き方は大きく変わってくるでしょう。「仲間と一緒に人生を楽しくする」という私の理念は昔から変わっていません。働く時間を少しでも「楽しい」と感じる時間に変えられる、そんな会社であり続けたいと思います。
編集後記
テレビ番組の制作スタッフからITエンジニアという、異色の転職経験を持つ藤田社長。自分が一番面白いと思うことを仕事にするために、芽生えたアイディアを実行していくバイタリティはまさに天性の起業家といえる。テクノロジー重視の業界だからこそ、「人」とつながり合うことを忘れない企業は今後もより強さを増していくだろう。
藤田崇之/1977年、岡山県生まれ。神戸学院大学を卒業。テレビ制作会社に入社し、3年間にわたり映像制作に携わる。その後、IT業界に転職。ITエンジニアとしてプログラマーやプロジェクトマネージャーなどを10年間経験。2012年に株式会社アオラを設立し、代表取締役に就任。