※本ページ内の情報は2025年8月時点のものです。

SORABITO株式会社は「世界中の明日をつくる」をミッションに、建設・建機レンタル業界のDXを推進する企業である。証券会社出身という異色の経歴を持つ博多一晃社長に、その軌跡と事業への情熱、若者へのメッセージを聞いた。

世界をリードする日本発の産業を目指して

ーーはじめに、これまでの経歴を教えてください。

博多一晃:
前職の大手証券会社では、企業のM&A、財務戦略立案などに関わっていましたが、事業の当事者として「日本が世界をリードするような業界をつくりたい」という思いが強くなり、転職を決意しました。

事業の将来性と業界変革の可能性、そして創業者の青木の人柄に惹かれSORABITOに入社しました。SORABITOでは、財務(CFO)、事業責任者、プロダクト責任者と多様な業務を経験しましたね。

特に事業責任者時代は自ら全国で新規開拓営業を行い、現場の声を直接聞く重要性を痛感し、これらの経験から顧客視点のサービス開発や経営のバランス感覚を養えたと思っています。

ーーそれらの経験は、現在の社長業にどのように活きていますか。

博多一晃:
各部門での経験はそれぞれの立場や課題を深く理解する上で不可欠でした。財務、営業現場、プロダクト開発のロジックを理解することで、個別最適ではなく、全社最適の意思決定がしやすくなったと感じます。また、多様な業務経験は社内の異なる部門との円滑なコミュニケーションにも繋がっています。社長として全社の各部門の力を結集し、一つの方向に導く上で、これらの経験がなければ今の私はなかったと考えています。

また、組織としては、一人一人が持っている能力を最大限に発揮できる組織体制を作るということを大事にしております。実際に経営陣も例外ではなく、創業者の青木を含め、それぞれの得意を活かして経営において果たすべき役割をうまく分担できていると感じており、組織としての強みだと感じております。

現場起点のDXで切り拓く、建設業界の新たな明日

ーー建設業界が直面している課題に対し、どのように解決し、どのような未来を目指していますか。

博多一晃:
弊社は「世界中の明日をつくる」という思いを掲げていますが、建設業界は深刻な人手不足に直面しています。これは単に新しく建物やインフラを建設できなくなるという話ではなく、今ある道路や橋、水道といった社会インフラの維持にも関わってくる問題です。

人類はいつの時代も「道具」を使うことで生産性を上げ、困難を乗り越えてきました。そこで、「はたらく機械」という道具をITの力で誰もが最大限に活用できる仕組みを構築したいと思っています。それが人手不足の時代に明日を支えるための弊社の答えです。

その信念を形にしたのが、建機レンタル会社様向けの「i-Rentalシリーズ」や建設会社様向け点検アプリ「GENBAx点検」です。これまでのアナログ業務や情報をデジタル化することで、現場の負担を減らし、本来やるべき仕事に集中できる環境を整えています。

最終的に目指すのは、単に業務を効率化することだけではありません。「はたらく機械のエコシステムを共創する」というコンセプトを掲げ、これまであまり機械を使っていなかった農家の方や、DIYを楽しむ方々にも間口を広げ、最終的には社会全体の生産性を上げていきたいと考えています。

そして、ただ機械が「たくさん働く」だけではなく、機械の所有者はきちんと点検・整備をして「長持ちさせる」。この両輪があって初めて、機械は真価を発揮するのです。この「たくさん働いて、しかも長持ちする」という理想的な循環、つまり大きなエコシステムを築くことが弊社の目標です。それによって、より豊かで安全な明日を実現できると考えています。

ーー貴社のサービスの強みや特徴、新たな取り組みについて教えてください。

博多一晃:
最大の強みは、レンタル会社様の業務を深く理解し、現場ニーズに徹底的に寄り添ったプロダクトの開発です。私自身も現場に足を運び、お客様の声に耳を傾けることを重視しています。他にも、建設業界・レンタル業界外との連携とグローバルな視野がもたらす「事業協創力」も強みだと考えています。

その一貫として、カインズ様と一緒に店舗を拠点に、プロの職人さんやDIYユーザーの方々にも気軽に建設機械をレンタルできるサービスを開始しました。これは「もっと多くの人に機械を使ってもらう」というエコシステム構想実現への重要な一歩です。今後も全国の建機レンタル会社様と連携し全国展開を目指します。

「三つのバリュー」が生む組織力と、世界を見据えるリーダーの野心

ーー社長就任時の目標、そして現在の夢についてお聞かせください。

博多一晃:
弊社では「ひとのために・やってみる・やりきる」という三つのバリューを大切にし、これが組織文化の根幹です。役職ではなく「さん付け」で呼び合うフラットな社風で、社員は皆、三つのバリューを大切にできるメンバーを採用し、実践しているため人が良く、チームワークを重視して働いています。

社長就任時はSORABITOを業界に広く認知させ、ITで貢献できる期待感を持ってもらうことを目標としました。現在の夢は、日本を世界一の建機レンタル先進国にし、その仕組みを海外へ展開すること。そして日本が世界のはたらく機械の業界をリードする未来を実現したいですね。

ーー今後の事業成長に向けた注力テーマは何でしょうか。

博多一晃:
常に既存のお客様との関係をさらに深耕し満足度を高めます。その上で、まだ私たちのサービスが届いていない新規の取引先様、特に建設会社様へのアプローチも強化していきます。また、お客様の声を真摯に受け止め、サービスの開発や既存技術の新用途開発にも積極的に取り組み、常に新しい価値を提供します。これらの取り組みを通じ、建設・建機レンタル業界のDXを加速させ、数千億円規模の新たな市場創造を目指します。

ーー20代・30代の方に向けて、アドバイスや大切にされている考え方をお伝えください。

博多一晃:
20代・30代は目の前の仕事に全力で取り組み、いったんできたと思ったところからどうすればもっと良くなるかを常に考え抜き、アウトプットの質を高める努力を続けることが大切です。その過程での成長が将来の力になります。また、常に一つ上の視座を持ち、自分の仕事が顧客や業界、社会全体にとってどんな意味を持つかを考える習慣を持つことを勧めます。

ーー最後に、経営者として大切にされていることを教えてください。

博多一晃:
社会にとって本当に良いことを追求し続けるという信念です。長期的な視点で業界や社会に貢献できる事業こそが最終的に支持され成長すると信じています。弊社の実現したい未来やビジョンに共感をしていただいた方は是非、門をたたいてみてください。

(※)弊社採用ページ

編集後記

建設業界の変革にDXで挑むSORABITO株式会社。博多社長の言葉からは、深い業界理解と顧客への真摯な姿勢、未来への揺るぎない自信がうかがえた。現場主義を貫き仲間と壮大なビジョンを追う姿は、多くの若者に刺激を与えるだろう。同社の挑戦が世界の明日をどう塗り替えるか、注目したい。

博多一晃/メリルリンチ日本証券に入社し、投資銀行部門にて国内外の多数のテクノロジー企業に対するM&A、資金調達の助言業務に従事。自身の手触り感をもって世の中に貢献している実感を持ちたいという想いのもと建機や建設業界の可能性の大きさに興味を持ち、2017年にSORABITOに入社。CFO・事業部門責任者・プロダクト部門責任者を経て、2018年より社長就任。