【ナレーター】
バーコードを始めとした自動認識ソリューションにおいて、国内トップクラスのシェアを誇るサトーグループ。
創業期から革新的な製品を次々に生み出してきた同社は、現在、自動認識技術を活用した製品・サービスを手がけ、あらゆるものを情報化することで、各現場の生産性向上に寄与。
2021年11月時点で90を超える国や地域で展開しており、社是である「あくなき創造」という精神のもと、今もなお変化と新しいアイデアを追求し続けている。
2020年、「あらゆるものを情報化して、社会のうごきを最適化する。」というブランドステートメントを発表。新たなステージへの挑戦を示した経営者が見据える未来像とは。
【ナレーター】
国内トップクラスのシェアを実現した自社の強みについて、小瀧は次のように語る。
【小瀧】
ものに情報をつけることを、私たちは「タギング」と呼んでいます。このタギングが、コアにあるわけです。
様々なものをつくる現場・ものを運ぶ物流・ものを売る小売。それぞれのシーンやフィールドにおいて、積み重ねてきたカバレッジ力があります。そして、様々な要素を組み合わせてお客様に最適解を提供するインテグレーション力もあります。
加えて、導入後に現場を安定稼働させたり最適化したりすることを長期的にやっていくメンテナンス力。これら3つで「現場力」が構成されており、その積み重ねが当社の強みです。
【ナレーター】
サトーグループをけん引する小瀧は、元々はプログラマーとして他社へ就職するも自身に不向きであることに気づき退職。1988年にサトーホールディングスに入社した。当時の会社の印象について、小瀧は次のように語る。
【小瀧】
入社当時の会社規模は、今の6分の1ほどだったと思います。これから大きく成長していこうという雰囲気があり、上下関係はあるものの、意見は言いやすい状況でした。
これから伸びていきそうな感じがひしひしと伝わってきましたね。
【ナレーター】
自身の転機となった仕事のひとつにプリンターの企画・販売促進をしていた頃のエピソードを挙げた小瀧。その全貌に迫った。
【小瀧】
業界を攻めるために必要な製品を開発するプロジェクトが立ち上がり、当時私は企画担当でした。しかし役員会で大反対を受け、却下になる状況になりかけてしまいました。
すると上司から「自分は賛成するから、やりたいようにやれ」と。普段、そのようなことを言わない人だったので、スイッチが入りましたね。
お客様や現場の営業などにヒアリングをし続け「こういう理由で必要なんだ」ということを役員会で再度訴えて、その結果ようやく企画が通って、製品開発が進みました。その後、開発した製品は20年間のロングセラーになりました。
大事なことは、お客様が必要としているところにこだわって訴え続けたところです。
自分がやりたいかどうかではなく、お客様や現場の営業にヒアリングをし、本当に賛同してくれるかどうか。お客様が必要としている要素をちゃんと伝えて、結果、成功したというのは私にとって非常に大きかったです。
【ナレーター】
その後、着実にキャリアを重ね43歳で執行役員に。5年後には分社化された企業の社長に就任した。より良い製品をつくるための改善項目を洗い出す中で、これまでの経験を覆すような真実に気づく。
【小瀧】
より良い製品を開発するための改善点を変えていったものの、実際は全く関係がありませんでした。
要は、当時率いていたプリンター推進という部隊、もしくは現場やお客様の声を開発に届ける情報の出し方が悪かったことに気づいたんですね。
気づいたときには非常にショックを受けましたよ。それまでに何十年も経験を積み重ねてきた思いがあり、様々な改善点も書き出していたのに、3か月ですぐに足元をすくわれたような状況なのですから。
例えばドアがどのように開くのか、たったそれだけのこと。それを設計側に情報として渡さないと、言われたとおりにものをつくるだけになってしまうので、そこが本質なんだと気づきました。