※本ページ内の情報は2025年6月時点のものです。

店舗や客先などで「MEET」と書かれた青いシートにスマホをタッチした経験はないだろうか。これはミート株式会社が開発した「MEETタッチPR」という、スマホをかざすだけで情報を読み込めるシステムで、アプリやカメラを起動してQRコードなどを読み込まなくてよい手軽さから、さまざまな場所で急速に導入が進んでいる。

この画期的なシステムを世の中のスタンダードにしようとしているのが、同社の代表取締役社長兼CEOである岩城功氏だ。岩城社長は「MEETタッチPR」をどのように世に広げ、何を実現しようとしているのか。その構想を聞いた。

不動産業界からゲーム業界、そして創業者の想いに共鳴してミートの社長へ

ーー岩城社長の経歴をお聞かせください。

岩城功:
大学卒業後、新卒で入った会社を約1年で退職して、不動産事業を営んでいる株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)に入社しました。当時の同社は成長期真っ只中にあり、私もさまざまな顧客を相手に仕事をしていました。お客様に最適な提案をするという、私の裁量が試される仕事には大きなやりがいを感じたものです。

2010年には、当時注目を浴びていたゲーム業界に挑戦したいと思い、グリー株式会社(現:グリーホールディングス株式会社)へ転職し、ゲームコンサルタントの仕事を始めました。当然未経験で分からないことばかりでしたが、目の前の仕事に120%で取り組み続け、短期間で成長することに成功しました。

さらに2012年には、副業で行っていたゲームのコンサルティングがうまくいき、独立に踏み切りました。この会社はある程度成長した段階で売却しており、次はどうしようかと考えていたときにミート社に出会って代表を引き受けることを決意しました。

入社の決め手になったのは、創業者である北村が掲げていた「事業を成長させて、会社に関わる人たち全体のステージを上げる」という成長ビジョンです。私はこのビジョンに強く共感し、その未来を手繰り寄せる手伝いがしたいと思うようになりました。

この思いは社長になった今でも変わっていません。北村が描いたビジョンの先にどんな景色が待っているのか、それを見るために、経営に全力を尽くしています。

ーー岩城社長は仕事をするにあたってどのような価値観を大切にしていますか?

岩城功:
日常的に心がけているのが、コンサルタント時代から意識している「現場の声に親身になる」ということです。現場の声は意外と上に伝わらないもので、この伝達をスムーズにするには、聞き役と通訳が必要になります。そのため、私たちがそのポジションを担い、顧客との信頼関係を築けたらと思っています。

また、ゲーム業界での成長のきっかけになった「120%で目の前の仕事に向き合うこと」にもこだわり続けています。私はとにかく「やるべきことをやる」というシンプルな思考を続けるようにしていて、おかげで従業員時代から仕事に行きたくないと思ったことがありません。

自分の中であらゆる業務が「あたり前」になってしまえば、ハードルは自然と下がっていきます。こうして前に進み続けられるマインドがあるからこそ、私は今も新しい価値を追及し続けられるのでしょう。

圧倒的手軽さを実現した情報伝達システム「MEETタッチPR」

ーー貴社の事業内容と独自の強みを教えてください。

岩城功:
弊社の中核となっているのが「MEETタッチPR」で、営業活動のDXを推進するソリューションから立ち上がりました。これは、NFC(近距離無線通信)技術を用いたシートやカードを活用し、さまざまな情報提供をワンタッチで実現するというものです。

このシステムの大きな強みは、情報を得るためにアプリやカメラを必要としないことです。スマホをかざすだけで情報が得られるので、接客時間が限られている現場や高齢者のようなITの利用が苦手な顧客を抱えている層などから高い支持を得ています。さらに最近では、アイドルグループをはじめとするアーティストの会員証にご利用いただく事例も出てきました。

NFC名刺の領域には競合他社も存在しますが、NFCテクノロジーをDXとして応用しているのは弊社ならではのポジションです。「MEETタッチPR」はストック型のビジネスモデルなので、導入が進むほどに市場優位性を強固にできると確信しています。

可能性を信じて挑戦できる企業へ

ーー5年後、10年後を見据えて、貴社をどのように成長させたいとお考えですか?

岩城功:
中長期的には次世代に経営を引き継ぎたいと考えています。私はゼロから事業を立ち上げるよりも、すでにある事業の価値を高めていくことを得意としているので、ある程度の規模感まで会社が成長した時点で、私の役割は果たされると思っているのです。

これから弊社が大きく育っていくためには、特に20代や30代の力が欠かせません。そのためにも新たな世代が自分の可能性を信じて挑戦できる社風を根付かせ、いつでも安心して次世代に引き継げる状況をつくるのが、今の私の仕事だと思っています。

編集後記

NFCの「スマホをかざすだけ」という圧倒的な手軽さには無限の可能性がある。たとえば、映画館やライブ会場の入口のような時間が限られた場面で情報を渡したり、海や山といった電源が用意できない場所でも決済を可能にするような使い方が考えられる。スマホとタイパが一般化した現代人にとって、一線を画すサービスになることは間違いないだろう。

岩城功/1983年三重県生まれ。山形大学工学部卒業後、株式会社ネクスト(現:株式会社LIFULL)で賃貸不動産会社向けにHOME'Sの営業、2010年よりグリー株式会社(現:グリーホールディングス株式会社)でゲームコンサルタントに従事。2012年に株式会社アイトレンタを設立し、代表取締役に就任。以降、複数社の代表・顧問を歴任し、2024年よりミート株式会社代表取締役社長兼CEOに就任。