※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

不動産業界は、人口減少に加え既存施設の老朽化、働き方改革やグローバル化の進展など、事業を取り巻く環境がさまざまに変化する中で、人々の豊かな生活や国の発展を支える基幹産業のひとつとして今後も成長が期待される業界である。

その不動産業界において、2007年の設立以降右肩上がりの成長を続ける株式会社リアライズ。今回は代表取締役社長の浅倉康之氏から、経営の根幹にある理念と、社長として特に大切にしていること、人材育成や今後の展望についてうかがった。

「100%の力を出さないこと」が高パフォーマンスを維持する秘訣

ーー経営において意識していることは何ですか?

浅倉康之:
私が仕事をするうえで常に意識にしていることが2点あります。「約束は必ず守る」と「100%の力を出さない」です。

この業界では、約束していた条件が後から変更されてしまうことも珍しくありません。約束を反故(ほご)にして目先の利益を優先したばかりに、その後の大きな仕事につながらなくなることもあります。「約束は必ず守る」ことは、企業として継続的な利益を上げるうえで、そして何よりお客様との信頼関係を築くために、ひとりの人間として重要だと考えています。

実際に、私が好きそうな物件が出たら、「一番に声をかけますよ」と言っていただいている方が何人もいらっしゃいます。この関係性は、約束をしっかり守ってきたからこそ築くことができたものだと思っています。

ーー「100%の力を出さない」ことについての考えをお聞かせください。

浅倉康之:
人間は日々、体調や精神状態によって、ある日は100%の力を出せたとしても、別の日は15%くらいになってしまうこともあります。このような変動があるため、いつでも全力を出し切ることは難しいと私は考えています。

たとえば、1週間のうち3日間は100%の力で頑張れたとしても、2日間は15%にとどまることもあり、平均すると66%になります。しかし、いつでも70%の力で頑張ることができれば、結果的には100%の力を出し切るよりもパフォーマンスが高いことになります。そして何より、15%の力の日は対応するお客様との信頼関係にも関わってきてしまいます。要するに、「コンスタントに力を発揮できるようにしよう」ということです。

「薩摩の教え」から学ぶ挑戦と成長の大切さ

ーー経営理念の1つ目に掲げた「常に成長すること」についての考えをお聞かせください。

浅倉康之:
ライバル会社がたくさんあるので、常に成長していかないと勝ち抜くことはできません。仕事をするのは人なので、一人ひとりが常に成長し、力を蓄えていくことが不可欠です。そのために弊社では研修制度を充実させています。今年は外部の研修を年6回、全体研修を年2回に拡大しています。仕事内容のスキルアップだけでなく、人間力を高める内容も大事にしています。

職場は、世の中や会社に貢献して対価を得る場であり、自分自身を表現する場でもあると考えています。みなさん夢や目標があって社会に飛び出しているわけですから、その挑戦ができるようなマインドを養うことが重要だと考えています。

ーー2つ目の経営理念「常にチャレンジすること」にも関係してきますね。

浅倉康之:
私が胸に刻んでいる、「薩摩の教え」というものがあります。「一、何かに挑戦し、成功した者」「二、何かに挑戦し、失敗した者」「三、自ら挑戦しなかったが、挑戦した人の手助けをした者」「四、何もしなかった者」「五、何もせず批判だけしている者」。

先ほどの“人間力”にも関わりますが、挑戦の重要性について説いているもので、非常に共感しています。失敗を恐れる人も多いですが、最初から失敗しようとする人はいないでしょう。会社に所属している以上は会社の責任ですから、若い人たちにはどんどん挑戦してほしいですね。

ーー経営理念の3つ目は「不動産の価値の最大化」。価値の最大化のために必要なことは何だと考えていますか?

浅倉康之:
「企業の売上を上げるにはどうすればよいか」ということを意識します。たとえば、田舎の古いマンションを取り壊してピカピカのビルを建てることをイメージしてみてください。建物がきれいだからと言って入ってくれる企業はさほど多くないでしょうし、近隣住民からも迷惑がられるなど、あまりメリットはないでしょう。

「買ってきた物件にそのまま入ってもらうのか、あるいは再開発するのか」ということをお客様中心に考えると、社会から求められていることが見えてきます。

スピード感重視の業務改革で総合力“関西No.1”へ

ーー事業成長についてはどのような考えをお持ちでしょうか。

浅倉康之:
データ活用はかなり重要視しています。私には長年の経験や、養われた直観力がありますが、それらにデータをかけ合わせることでさらに意思決定がしやすくなります。そのおかげで、スピード感をもって仕事をすることができるのです。

通常は、大手企業だと提案から上層部の承認までに2週間かかる案件も、弊社のような規模の企業では、約5分程度で話をまとめることができます。このような中で、どんどん挑戦しやすい環境が実現できています。

ーー最後に、浅倉康之社長が株式会社リアライズで実現したい夢を教えてください。

浅倉康之:
私たちには、「関西No.1を目指そう」というビジョンがあります。この夢を実現するために、人間としての成長を重視しています。先ほどもお話ししたように、定期的に研修を実施し一人ひとりが成長する機会を作ったり、挑戦しやすい環境をつくったりすることは、“関西No.1”を目指すために欠かせないことだと認識しています。「営業利益を出し、社会に貢献し、人を育てる」。そのような総合力で、“関西No.1”を目指します。

編集後記

社員一人ひとりの成長や取引先の担当者とのつながりなど、「人間」を大事にしながらも圧倒的に成長し続ける株式会社リアライズは、現代において重要なレジリエンスを持つ、企業の理想形かもしれない。これからも「挑戦し続ける人間力」を育てる浅倉康之社長とリアライズが、“関西No.1”の座を得る日は、そう遠くないだろう。

浅倉康之/1972年、兵庫県生まれ。エイシン物産株式会社で就業後、2007年に株式会社リアライズを設立し、代表取締役社長に就任。2009年に株式会社リアライズプロパティを設立。2016年、株式会社リアライズアセット設立。2017年に、株式会社リアライズソレイユおよびアセットプロテクト株式会社を設立。2022年、株式会社リアライズホールディングスの代表取締役に就任。2023年、株式会社倉吉実業および株式会社細田商事の代表取締役社長に就任。