※本ページ内の情報は2024年7月時点のものです。

ユーザーからクラウドファンディング(以下クラファン)で資金を募り、少額から不動産への投資を行えるサービスを提供するLAETOLI株式会社。「不動産投資は潤沢な資産のある富裕層が行うもの」というイメージを覆し、投資家の裾野を広げている。

事業の基礎を築いた前職での経験や、不動産投資クラファンの魅力などについて、代表取締役CEOの武藤弥氏にうかがった。

投資視点が養われた不動産仕入れの経験が事業の基礎を築くことに

ーーまずは武藤社長のご経歴を教えてください。

武藤弥:
早稲田大学理工学部建築学科で、建築を学び、学生時代は建築家を目指していました。ただ、社会に出るタイミングがいわゆる就職氷河期で、ゼネコンが潰れて有名な建築事務所もあまり仕事がないという状況でした。そのまま建築の道を目指すというよりも、お金の流れを作るところから建築をとらえたいと考えて、リクルート創業者である、江副浩正氏が経営する不動産ディベロッパーで2年ほど働きました。 そこで不動産の仕入れを学び、投資の観点で不動産を見る目が養われ、今の事業の基礎になっています。 その後独立し、リノベーション事業や不動産投資事業を経て、LAETOLI株式会社 代表取締役CEOに就任しました。

少額投資×オンラインで不動産投資をよりカジュアルに

ーーCOZUCHIの特徴を教えていただけますか。

武藤弥:
他の不動産投資クラウドファンディングにない特徴として、当初の想定よりも高い収益を得られた場合、追加で配当を行う点です。これは投資家の方々と対等な立場で、平等に利益を分配したいという思いからきています。

そもそもクラファン事業を始めた理由は、不動産投資市場を開放し、誰もが公平に参加できる環境をつくりたかったからです。これまで現物を売り買いする不動産投資には莫大な資金が必要だったため、投資家は一部の富裕層に限られていました。

そこで不動産投資の裾野を広げ、幅広い層の方がオーナーになれるよう、クラファンサービスを始めました。実際のところ、会員数約7万4000人(※2024年7月時点)のうち、年収1000万円以上の高額所得者の方はわずか10%であり、多くの方に参加いただいています。また、年齢層も20代から50代と幅広く、男女比も同等で、全国各地からご参加いただいています。

ーーCOZUCHIで取り扱っている物件にはどのようなものが多いのですか。

武藤弥:
相続物件や共有物件など、交渉に手間と時間がかかる、他社が避けがちな案件を多く取り扱っています。このような買い手が付きにくい物件は相場よりも低価格で購入できるため、高い利益を生み出せるのです。

このように、あえて他社が狙わない物件に目を付け、より多くの利益を得ることで、投資家の方々に還元できるよう努めています。

ーー競合他社との差別化ポイントを教えてください。

武藤弥:
弊社は「投資家とフェアであること、利益をシェアすること」を大事にしています。他社の場合は、金融機関から借入を行うより、調達コストを下げられるという理由で、クラファンを行っているところが多いように思います。

一方で弊社は、投資資金を調達するだけでなく、投資家と利益をシェアすることを重視しています。たとえば5%と推定していた物件の利回りが10%に上がった場合、上昇後の金額で計算し、配当をお支払いしています。このように自分たちだけでなく、投資家にもきちんと利益を還元している点が、他社との大きな違いです。

自社のシステムを広く提供し、不動産投資クラファンのマーケットを拡大する

ーークラファン以外にはどのような事業をされているのですか。

武藤弥:
COZUCHIと同じ不動産投資クラファンシステムの開発・販売を行っている、TREEXがあります。不動産投資クラファン業界はまだ黎明期であり、これから不動産特定共同事業者(※)が増えていくと予想されます。

そこで他社と共通のシステムを活用し、商品を一覧で見られるオープンマーケットをつくろうと思っています。こうして互いが協力し合い、マーケットを拡大することで、クラファンの出資者を増やしていきたいと考えています。

(※)不動産特定共同事業:一定の許可要件を満たした事業者が不動産取引(売買、交換または賃貸借)を営み、収益を投資家に分配する事業のこと。

ーー貴社の社風についてお聞かせください。

武藤弥:
経営陣は40〜50代なのですが、会社全体では30歳前後の若手社員が多いです。また、不動産投資のクラファン事業を行っている弊社は、不動産、IT、マーケティングなどあらゆる領域の知見が必要です。

そのため世代を問わずさまざまな職種の社員が在籍していますが、お互いを尊重し合い、フラットに意見を言える環境にあります。こうした価値観の融合が、弊社ならではの強みにもなっていると感じています。

ーー貴社が求める人材像を教えていただけますか。

武藤弥:
利益をシェアする独自の取り組みなどから、非常に高い評判を得ており、今後大幅に商品数・投資家数を増やしていく、コンテンツの充実を図る、成長期に突入しています。その結果新規会員登録も急速に伸びております。マーケティンググループの組織強化のためのメンバー増員中です。なお、弊社で運用しているシステムはすべて自社で開発しているので、システム開発に興味がある方もお待ちしています。

編集後記

自社の利益を確保することに執着せず、投資家ときちんと利益を分け合うことを大切にしてきた武藤社長。投資家と対等な関係を築いているからこそ、多くの会員に支持されているのだと感じた。これからも、LAETOLI株式会社はクラファンサービスを通じ、誰もが不動産投資を行える社会の実現に貢献することだろう。

武藤弥/2001年早稲田大学理工学部建築学科修士課程了。同年リクルート創業者江副浩正氏が経営する不動産ディベロッパーにて開発業務等に従事。その後独立し、2003年家具ブランドIDEEとともに、アールプロジェクト株式会社を設立し、取締役就任。2009年株式会社シェアカンパニー設立、代表取締役に就任。同時期2011年株式会社Triad Real Estate(現:株式会社TRIAD)設立、取締役副社長に就任。「COZUCHI」の前身である「WARASHIBE」を運営していた株式会社SATASからLAETOLI株式会社に社名変更後、代表取締役CEOに就任。