※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

コロナ禍を経て、コーヒーの需要拡大が続いている。インドア型のライフスタイルを好み、自宅や喫茶店などでコーヒーを飲む機会が増えた。トーヨーベンディング株式会社が販売するミル挽き珈琲自販機「アドマイヤ」も、大きな注目を集めている。

24時間いつでも手軽に淹れたての本格的なコーヒーを味わうことができ、働く人や旅行中の人々に活力や安らぎを届けている。そこで今回は企業再生にも積極的に取り組む代表取締役社長の大久保智司氏に、事業拡大の背景や仕事の中で大切にしている心構え、今後の展望などをうかがった。

感謝の気持ちと新たな業界の開拓が人生を切り拓く

ーー企業再生のプロフェッショナルだとお聞きしました。どのような経緯で貴社の代表取締役社長に就任しましたか。

大久保智司:
代表取締役社長に就任したのが2021年になります。現在進行中のものも含めて、14社の企業の再生事業に関わらせていただきました。2020年12月、厳しい企業間競争に加え、新型コロナウィルスの感染拡大もあり、大きく傷み始めた中で当社との出会いがありました。そこは豊かな人材と確かな技術に溢れており、引き受ける事になりました。

ーー企業の再生を行っていくうえで、どのような楽しさや魅力がありますか。

大久保智司:
それまで関わりがなかった業界に飛び込んでいくことによって、新鮮な気持ちになります。わからないことが多くありますが、新しい事に挑戦することにやりがいや楽しさを覚え、とても刺激的です。このような機会に出会えることに、日々感謝しています。

従業員の皆さんからも学ぶことが本当にたくさんあります。業務内容を教えてもらう謙虚な姿勢を大切にしています。そうして身についた経験は多様な企業の再生事業を行う中で、自然と役立っていると感じています。

また、いくつもの企業の再生を行ってきた中で、それらの企業同士がつながり、新たなシナジーが生まれることもあります。こういった新しい広がりも魅力の一つだと思います。

社内から生まれるアイデアが組織力を引き上げる

ーー社内ではどのような取り組みを重視していますか。

大久保智司:
さまざまなプロジェクトを内製化して進めています。商品のデザインやDX推進なども、社内で探すとできる人材は思いのほか在籍しており、部署の垣根を越えてプロジェクトに参加してもらっています。専門の企業に依頼するアウトソーシングは原則行っていません。

他にはアイデアボックスを設置して、コーヒーについてのアイデアなどを匿名で自由に投稿してもらっています。斬新な内容で驚いたりもしますが、実際に商品化のきっかけになる意見もあり、自社のカラーを引き出す大きな力になっています。従業員にはどのようなことに対しても意欲的に挑戦してほしいですし、いろいろな意見を発信してほしいですね。

さまざまなシーンで輝き続けるミル挽き珈琲自販機

ーー事業の中核を担っているミル挽き珈琲自販機について詳しく教えてください。

大久保智司:
ミル挽き珈琲アドマイヤが弊社の中核を担っています。大きな特徴の一つとして、お客様に提供する際に、自動で蓋が装着されます。それまでのカップで提供される自販機の飲料は、持ち運びにくくこぼれやすいという欠点がありました。

弊社が最初にそれを改善したことで、このミル挽き珈琲自販機は広く認知されるようになり、売上アップに成功しました。今では高速道路のパーキング内で約450台が稼働している他、オフィスや病院の待合所などにも採用いただき、大きくシェアを伸ばしています。

ミル挽き珈琲®「アドマイヤ」

いつでも安定しておいしく仕上がるように、多くの工夫をしています。1杯ずつ丁寧にコーヒー豆を挽いて淹れることで発揮されるおいしさは元より、コーヒールンバ(※)のBGM・コーヒーの香りだし機能搭載・調理中をライブ中継でご覧いただくなど、待ち時間を退屈させない仕組みも、お客様の満足度につながっていると考えています。

(※)コーヒールンバ:ベネズエラの作曲家がコーヒーをモチーフにつくった曲。1961年に日本版のカバー曲が大ヒットし、その後も多数の歌手によってカバーされた。

ーー今後の展望をお聞かせください。

大久保智司:
最近は他業種の企業様ともコラボレーションしたミル挽き珈琲自販機を展開しています。俳優の坂口憲二様が率いる「ザライジングサンコーヒー」で焙煎された豆を使用して、ザライジングサンコーヒーの世界観をあしらった自販機を打ち出しました。

「The Rising Sun Coffee」とのコラボ自動販売機

JR東海様とは新幹線や点検用新幹線車両のドクターイエローをイメージしたブレンドコーヒーが提供できる自販機を、駅ホーム上に設置する取り組みをスタートさせています。BGMも列車での旅をイメージしやすいものにしました。

「JR東海」とのコラボ自動販売機

私たちが企画するミル挽き珈琲自販機は、さまざまなシーンで存在感を出せると期待しています。さまざまな形でのコラボレーションを中心にした企画を推し進め、ミル挽き珈琲自販機の認知度をさらに広めていきたいですね。

編集後記

「挑戦こそが人生のライフワーク」と語る大久保社長。「自らが先頭に立って道を切り拓く姿が、組織を強くする」と話す社長に情熱を感じ、胸が熱くなった。人々の心を満たすトーヨーベンディングの今後の活躍にも、注目していきたい。

大久保智司/1984年、東京農業大学短期大学農業科卒業。営業から経理や総務などの管理部門までを30年間で経験し、2014年、株式会社スターゲイトホテル(現・株式会社スターゲイト)の代表取締役に就任。その後、各社の代表取締役社長に就任しながら、建設会社・動物園・宿泊施設の運営会社・飲食店の管理会社など、14社の企業再生に取り組む。2021年、トーヨーベンディング株式会社の代表取締役社長に就任。