
「日本一の御用聞き会社になる」というビジョンを掲げ、便利屋業とリユース業を合わせた「御用聞き業」を展開する株式会社ライフクリエイト。福岡県を中心に電動工具に特化したリユースショップを15拠点展開するほか、不用品の回収から不動産の買取までをワンストップで行うサービスも提供し、年商20億円規模へと成長を遂げている。
身近な人の幸せを第一に考える経営方針は、TPM(TOKYO PRO Market)上場という新たなステージでも決して揺らぐことはない。今回、約110名の社員とその家族の幸せを追求する同社の代表取締役、有冨修氏に話をうかがった。
大切な人のために働く価値観が会社を支える
ーー創業から現在に至るまでのお話をお聞かせください。
有冨修:
私はもともと、社長や経営者になりたいという、漠然とした思いを持っていました。住宅関係の訪問営業などが得意だったので、便利屋や住宅関係の分野で起業すれば食べていけるのではないかと考え、25歳で独立しました。当時は、1人か2人の少人数で仕事がしたかったので、フランチャイズ展開している企業に加盟して個人事業主となったのです。
その後、働く人の人数が増えてきたので、27歳のときに弊社の前身となる有限会社ライフクリエイトを設立。暮らしのお困りごとを解決する便利屋業とリサイクルショップを融合した、「御用聞きビジネス」へと事業を発展させました。現在は約110名の社員が在籍し、TPMに株式を上場するまでに会社が成長しています。
ーー会社を成長させていく中で、どのようなことに苦労しましたか?
有冨修:
人材の育成にはかなり苦労しましたね。私は体育会系の環境で育ち、高校卒業後に営業職として働いた経験を経て独立しています。その過程では、「成果が上がるまでやってこい」という指導を受けて、「やってやる」と歯を食いしばって結果を出すことで成長してきました。そのため、私も同じように指導したのですが、上手くいかなかったのです。
その失敗から育成方針を見直しました。現在は、会社の理念や目的に賛同してくれる人や価値観の合う人をしっかりと見極めて採用し、ともに成長することを目指しています。
ーー社長が大切にしている価値観とはどのようなものですか?
有冨修:
自分のためではなく、大切な誰かのために成長できることが大切だと考えています。たとえば「親のため」「子どものため」など、身近な誰かのために仕事で成功したいという価値観を持っていることは、私が社員に求める譲れない条件です。
やはり、人のために頑張っている姿は魅力的だと感じます。身近な人を大切にしながら成長していくことによって、弊社の社員も幸せにし、ひいては地域や社会全体に貢献していくことができるようになる。そういう在り方が私の理想です。
工具リユースを中心に多角的な事業展開を推進

ーー貴社の事業内容について教えてください。
有冨修:
事業の柱はリユースの仕事です。リユースの競合他社は数多くあり、それぞれ得意分野に違いがあります。弊社が展開するのは、主に電動工具などの工具に特化したリユース事業です。店舗によっては家電や家具、ブランド品を扱っているところもありますね。
また、創業当時から続けている便利屋のほか、ライフサポート事業なども展開しています。家の中の片付けから不用品の引き取りまで、弊社で一手にお引き受けできるところが強みです。自社で買取して処分費用と買取価格を相殺できるので、処分費用を安く抑えることができ、お客さまにとってもメリットがある状態をつくりだしています。
ーー株式の上場に至った背景をお聞かせください。
有冨修:
上場によって、弊社がしっかりとした体制を持つ会社であることを求職者にアピールし、採用を強化したいという思いがありました。求職者にとって、やはり社会保険の加入や福利厚生がしっかりしているかどうかなどは気になるところでしょう。上場するには、会社の福利厚生も徹底的に整えなければなりません。そのため、きちんとした会社であることを証明する方法として、株式の上場が最もわかりやすいと考えたのです。
幹部育成と採用強化で更なる成長を目指す
ーー今後はどのようなところに注力していきたいですか?
有冨修:
やはり人材の育成と採用に力を入れたいですね。何年も一緒に働いてくれて、私の価値観や弊社の理念を深く理解して共感してくれる人に幹部になってもらいたいと考えています。また、弊社は今後、まずは50店舗へ拡大することを目指しているので、社員数を最低でも200名まで増やさなければなりません。新卒・第二新卒や中途などを含めて、採用を一層強化していきたいです。
これは余談ですが、以前、学校の先生をしていた方が弊社に応募してくれたのです。「年収は以前よりも下がりますが、大丈夫ですか」と尋ねたところ、ぜひと言われたので、二次面接に奥さんを連れてくるようにお願いしました。中途半端な気持ちで転職したり、奥さんが反対したりしているようであれば上手くいかない可能性があるので、本人のためにならないと考えたのです。
二次面接では「あなたが本気で頑張って、奥さんも応援してくれるのであれば、私も全力であなたが成功する道筋をつくります」とお伝えしました。私の言葉に対し、本人はもとより奥さんも「ぜひお願いします」とおっしゃったので、その場で採用を決めたのです。
彼は現在も非常に頑張って働いてくれています。頑張って働いてくれる社員とは、家族ぐるみの付き合いで真摯に向き合う関係性を築いていきたいですね。
ーー最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。
有冨修:
人から何かを与えられるのを待っているだけの人は、弊社には不向きだと思います。弊社は、やれば必ず成果がついてくる会社です。新卒社員の中には、日ごろの頑張りが認められ、2年間で月給が12万円も昇給したケースがあります。加えて、業績も規模も拡大しているので、成長性は高いと思います。成長に前向きな人には、そのための環境が用意できるので、ぜひ弊社で上を目指して頑張ってほしいですね。
編集後記
便利屋からスタートし、リユース事業へと領域を広げ、今やTPM上場企業へと成長を遂げた同社。その原動力は「誰かのために」という思いにある。社員の成長を支える環境づくりにも熱心で、福利厚生の充実を目指して株式上場を実現したという。インタビューを通じて、人を大切にする経営理念が着実な業績向上につながっていることを実感した。「大切な誰か」を思う気持ちは、これからも同社の成長を確かなものにしていくことだろう。

有冨修/1979年生まれ。高校卒業後、住宅関連の営業職を経て、25歳で便利屋として独立。2006年、株式会社ライフクリエイト(旧:有限会社ライフクリエイト)を設立。便利屋業とリユース業を融合した「御用聞きビジネス」を展開し、現在は福岡県を中心に15拠点を運営。2024年にはTPM上場を実現した。