※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

高度な専門性を持つプロフェッショナルたちが、経営や集客に時間を割かれ、その本領を発揮できないケースが少なくない。彼らが経営や集客の悩みから解放され、真に社会に貢献できる環境を整えるべく立ち上がった企業がある。それが、株式会社スタイル・エッジだ。

「共創型ビジネスモデル」を掲げ、弁護士や医師などの経営を全面的にサポートする同社。AI活用や海外展開など、次々と新たな挑戦を続ける代表取締役、島田雄左氏に話をうかがった。

野球選手の夢から司法書士へ、そして経営者に

ーー貴社の代表取締役に就任したのはどのような経緯だったのでしょうか。

島田雄左:
大学時代は野球に打ち込んでいましたが、プロ選手になるのは難しいだろうと感じていました。そこで、人の役に立つ仕事をしたいと考え、司法書士を目指すことにしたのです。大学3年生のときに決意し、3年後の23歳で資格を取得しました。当時は大手に入社したいと考えていましたが、面接に落ちてしまったことがきっかけとなり、福岡で自分の事務所を立ち上げることにしたのです。

あるとき、スタイル・エッジの創業者と知り合い、友人関係になりました。当時は彼のオフィスが東京と福岡にあったので、彼が福岡に来たときに、経営についていろいろ話しましたね。そんな中、2018年頃に「事業を引き継いでほしい」との連絡を受けました。

突然のことで戸惑いもありましたが、自分自身もIPOにチャレンジしたいという思いがあり、弁護士や医師の支援事業は、司法書士としての経験を活かせると考え、引き受けることにしたのです。

ーー代表就任後、どのような苦労がありましたか?

島田雄左:
創業者と異なり、外部から来た社長という立場で、信頼関係を一から築く必要がありました。また、クライアントとの距離感の調整にも苦労しましたね。当時、弊社のほかに司法書士事務所にも携わっていたので、私がノウハウを持っていくのではないかと警戒されてしまうこともあったのです。

そこで、まずは時間をかけて信頼関係の構築に注力しました。良い企業文化は残しつつ、IPOに向けた組織体制の整備や強化など、必要な変革も少しずつ進めていきました。また、集客の幅を広げたり、新しい分野への展開を模索したりと、自分の強みを活かせる部分で成果を出すことで、徐々に信頼を得ていきました。この2年間で内部統制はかなり強化されたと感じています。

プロフェッショナルを支援し、共創するビジネスモデル

ーー貴社の事業内容について詳しく教えてください。

島田雄左:
弁護士や医師などのプロフェッショナルに対する総合支援が私たちの主な事業です。クライアントが本来の仕事に集中できるように、経営面でのサポートを行っています。具体的には、集客支援やコンサルタントの派遣、システムの提供などを通じて業務効率の向上を図っています。

ーー貴社の強みは何でしょうか。

島田雄左:
私たちの強みは、共創型のビジネスモデルにあります。クライアントと一緒に事業を作り上げていく姿勢が、長期的な関係構築につながっています。実際に、クライアントの取引継続率は17年間で9割以上。集客、コンサルティング、システム開発を一貫して提供できる点も、他社にない特徴だと考えています。

また、弊社はクライアント数よりも、エンドユーザーへの貢献度を重視します。クライアントの事業をどれだけ深掘りして大きくできるか。そして、弁護士や医師などへの支援を通じて、その先にいる方たちをどれだけ救えるかを重要視しています。

グローバル展開とプロフェッショナル支援の総合商社を目指して

ーー今後の注力テーマについて教えてください。

島田雄左:
既存の取引先との関係を深めつつ、新たな分野への展開を考えています。たとえば、アスベスト問題や残業代未払いなど、社会的課題に関連する分野へのアプローチを検討中です。また、プロフェッショナルの定義を広げ、塾の先生などへの支援も視野に入れています。

さらに、生成AIを活用した新しいサービスの開発にも取り組んでいます。弁護士事務所やクリニックが持っているデータを基に、AIに答えてもらうのです。たとえば、美容医療を受けたときのビフォーアフターや弁護士事務所ごとの解決策などですね。現状では精度が低いものしかないので、そこを改善したシステムをつくりたいと考えています。

ーー今後の展望をお聞かせください。

島田雄左:
プロフェッショナルへの総合支援という根幹は変わりませんが、将来的にはグローバル展開を視野に入れています。現在の事業だけでなく、多岐にわたる支援ができる企業になりたいと考えています。10年後には、プロフェッショナル支援の総合商社のような存在になっていたいですね。

ーー貴社が求める人材像について教えてください。

島田雄左:
主体性、機動力、バランス力の3つを重視しています。主体性については、クライアントとの距離が近いため、自ら考え行動する力が必要です。ミーティングをしたら、すぐに動くといった機動力もビジネスを進めていく上で欠かせません。最後のバランス力は、コンプライアンスと事業性のバランスをとることを指します。

私たちの事業は弁護士や医師などを対象としているため、コンプライアンスは非常に重要です。しかし同時に、経済活動として持続可能なものでなければなりません。

プロフェッショナルの可能性を最大限に引き出し、社会に新たな価値を生み出していく。そんな未来を描ける方との出会いを楽しみにしています。

編集後記

島田氏の話からは、プロフェッショナルの課題に寄り添い、ともに成長していく姿勢が強く感じられた。特に印象的だったのは、クライアントとの「共創」という概念だ。単なるサービス提供ではなく、クライアントとともに事業を作り上げていく姿勢は、ビジネスの本質を捉えているように思う。スタイル・エッジが描く「プロフェッショナル支援の総合商社」という構想が、どのように実現していくのか。今後も注目していきたい。

島田雄左/1988年、福岡県生まれ。実業家、司法書士、格闘家。24歳で司法書士事務所を開業。国内トップ規模の士業グループに成長させる。その後、自身の経営経験をもとに、2021年、株式会社スタイル・エッジ代表取締役に就任。共創型ビジネスモデルとして士業や医業のコンサルティングを行っている。YouTubeやXで法律、仕事、マネーリテラシーなどさまざまな情報を配信中。著書に『士業経営』『人生で損しないお金の授業』がある。