※本ページ内の情報は2024年9月時点のものです。

通信インフラは、現代のビジネスや日常生活の基盤となっている。そのような中、グローバルな通信サービスを提供し、世界中の企業をつなぐのが、BTジャパン株式会社だ。今回は、代表取締役社長兼COOの新居崎俊彦氏に、同社の事業内容や強み、今後の展望などについてうかがった。

建設会社からキャリアチェンジ、通信業界で経験を積む

ーー社長就任までの経歴をお聞かせください。

新居崎俊彦:
大学卒業後、建設会社で3年ほど勤務した後、ご縁があって通信業界に転身し、2001年にBTジャパン株式会社に入社しました。最初の5年間は通信分野の営業として経験を積み、大きな転機となったのが2005年です。当時所属していたロイター通信のネットワーク通信部門が分社化され、BTに買収されることになり、私もそれに伴ってBTへ移籍しましたが、同時にシンガポールへの赴任も決まりました。

シンガポールでは約7年間、アジア地域の金融部門ディレクターを務め、金融機関向けのサービスの提供や、アジア市場でのビジネス拡大に携わるという貴重な経験を積みました。日本に帰国後、BTジャパンの取締役COOに就任し、2018年から代表取締役社長を務めています。

まさに縁の下の力持ち!見えないところで支えるインフラ

ーー貴社の沿革と事業内容について教えてください。

新居崎俊彦:
BTはもともとイギリスの国営企業で、日本の日本電信電話公社(現・日本電信電話株式会社:NTT)に相当する企業でしたが、1984年に民営化され、現在はグローバルな通信サービスプロバイダとして事業を展開しています。世界全体で約10万人の従業員がおり、180カ国以上でサービスを提供しています。

日本での歴史も古く、1910年に京橋に交換局を構えたのが始まりです。日英同盟の時代から日本との関わりが深く、日本に最初に進出した外資系通信事業者の一つです。現在、BTジャパンでは、世界中の銀行をつなぐ金融専用ネットワークや、大手企業の基幹システムを支えるネットワークインフラなど、主にグローバル企業向けの通信サービスを提供しています。

ーー具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか。

新居崎俊彦:
私たちのサービスは、一般の方々の目には見えにくいところで使われていることが非常に多いのが特徴です。たとえば、スマートフォンの画面を横にスワイプすると出てくるニュースフィード。これは実はBTが開発したもので今では当たり前のように使われていますが、1990年代にアイデアベースで始めたものが、今や世界中のスマートフォンに搭載されるようになったのです。

また、金融分野では、証券会社のトレーダーが株の売買をする際に使用する端末や、国際送金の際に使用されるSWIFTコードのネットワークなども、BTのインフラが支えています。日銀が為替介入を行う際にも、BTのシステムが使われているのです。

さらに、皆さんがよく利用するサービスでいえば、海外のゴルフやスポーツイベントの海外のライブ中継、クレジットカードの決済ネットワーク、アマゾンのカスタマーサポートセンター、ディズニーワールドのアトラクションの安全管理システムなど、さまざまなところでBTの技術が使われています。

グローバルファブリックへの進化と求められる人材

ーー今後の注力分野について教えてください。

新居崎俊彦:
現在、私たちは「グローバルファブリック」と呼んでいる次世代ネットワークの構築に力を入れています。これは、従来の固定的なインフラをよりバーチャル化し、柔軟性を高めたものです。たとえば、お客様が必要な時に必要な分だけ、数分で通信容量を拡張したり通信機能を追加変更できるようなサービスを目指しています。

また、サイバーセキュリティの強化にも注力しており、ネットワークにセキュリティ機能を組み込み、クラウドベースで提供することで、より安全で使いやすいサービスを実現しようとしています。

さらに、自治体向けに防災システムを提供するなど、新しい分野への展開も進めています。このようにして、常に新しい技術やサービスに挑戦し、社会のニーズに応えていきたいと考えています。

ーー貴社で活躍できるのは、どのような人材でしょうか。

新居崎俊彦:
私たちが最も重視しているのは、顧客目線でサービスを提供できる人材です。技術力や語学力も大切ですが、それ以上に、お客様のビジネスを理解し、どのような価値を提供できるかを考えられる人を求めています。

また、情報収集力も重要です。通信業界は技術の進歩が速いので、常にアンテナを張り、新しい情報をキャッチアップする姿勢が大切です。そして、その情報を基に、お客様にとって何が必要かを先回りして提案できる能力が求められます。

BTジャパンは少数精鋭で運営していますが、グローバルなリソースを活用することで、大規模なプロジェクトにも対応しています。そのため、グローバルな視点を持ちつつ、日本のお客様のニーズに応える人材が活躍できる環境だと言えます。

編集後記

BTジャパンの新居崎社長へのインタビューを通じて、私たちの生活を支える通信インフラの奥深さと、そこで働く人々の情熱を感じることができた。技術の進歩が速い業界だからこそ、顧客目線でサービスを提供し、常に新しいことにチャレンジし続ける姿勢が重要だという話が印象的だった。長い歴史がありながら、常に変化を続けるBTジャパンの挑戦に注目していきたい。

新居崎俊彦/1974年生まれ。南イリノイ大学卒。2001年、BTジャパン株式会社入社。2005年からアジア地域金融部門ディレクターを担当後、2012年よりBTジャパン株式会社取締役COO、2018年より代表取締役社長兼COOに就任。