※本ページ内の情報は2025年2月時点のものです。

1989年に設立されたレッドフォックス株式会社は、スマートフォンやタブレットで簡単に営業活動を管理できるアプリ「cyzen(サイゼン)」を展開している会社だ。代表取締役社長の横溝竜太郎氏に、就任の経緯やサービスの強み、今後の展望についてうかがった。

45歳で大手から中小企業へ転職、業績アップの立役者として社長へ

ーー経歴をお話しいただけますか。

横溝竜太郎:
ヤマハ発動機株式会社にて、役員秘書やセールス・マーケティング業務を経験しました。そのまま大企業でキャリアアップしていく道もありましたが、2015年にグロービス経営大学院を卒業し、考えが変わっていきました。「45歳での転職」にチャレンジし、残りの人生は中小企業でMBAで学んだことを試してみたいと思ったのです。

大学院での出会いをきっかけに、弊社へ入社してから初めて携わったプロジェクトは「GPS Punch!」というビジネスツールの運用です。GPS機能を使って、出勤・退勤などの行動履歴を共有するアプリを強化・リブランディングした結果、事業全体の売上が倍になりました。

2年目以降は営業やマーケティングの改善を任命され、さらに売上がアップした功績を認めていただき、2022年に現職へ就任した次第です。

主力サービスは「デスクレスワーカー」の働き方を変えるスマホ向けツール

ーー事業内容をご解説ください。

横溝竜太郎:
「GPS Punch!」を前身とする、「cyzen(サイゼン)」という業務支援サービスを展開しています。メインターゲットは「デスクレスワーカー」と呼ばれる、オフィスの外で働く人たちです。現場に新しい働き方をもたらすと共に、近年は「Well-being(ウェルビーイング)」を掲げて、「より豊かな働き方」を実現するサービスを目指しています。

デスクレスワーカーに含まれる仕事は、メンテナンス・ガス・電気・清掃・警備・物流・サービス・店舗など多種多様ですが、共通する課題があります。「給料が安い」「キャリアビジョンを描きづらい」「デジタル化が遅れている」といった現状を理由に、就業者の37%が「6ヶ月以内に今の仕事を辞めたい」と回答したアンケート結果もあるほどです。

簡単な操作で報連相(ほうれんそう)できる「cyzen」を現場に届けて、IT化による生産性向上と豊かな働き方を叶えることが、私たちのミッションだと思っています。

ーーサービスの強みもぜひうかがえればと思います。

横溝竜太郎:
最大の特徴は、「柔軟性」と「分かりやすく」をテーマにつくられたスマートフォン・タブレット向けツールであることです。オフィス業務を効率化するPC向けツールと比較すると、デスクレスワーカーに特化したサービスは多くありません。

外で働いている人たちが、「cyzen」でシェアした現場や打ち合わせの様子は、SNSのようにタイムラインで表示されます。「いいね」機能やコメントでリアクションしあえるほか、営業報告数がグラフで見える化される点もメリットです。

急を要する作業に携わる方や、ITに不慣れな方が困ることのないように、9時から18時まで電話でのサポート対応もしています。また、ネット環境があまり良くない場所でも、問題なく使用できることもサービスの強みです。弊社はもともとゲーム開発会社であり、電波がなくても遊べるゲームアプリの技術を「cyzen」に生かしています。

また、サービス導入後の運用支援を徹底し、お客様と伴走している点も「cyzen」が選ばれている大きな理由です。新機能の実装など、開発・改良スピードをどんどん上げていき、これからもお客様満足度を伸ばしていきたいと思います。

ーーどのようにサービス導入を進めているのでしょうか?

横溝竜太郎:
弊社のWEB広告やSEO記事をご覧になった、ITに関心がある経営層の方からお問い合わせいただくことが多く、現在は全国の中小企業様をメインに広まっています。また、弊社のサービスと親和性が高いと考え、地域の組合への働きかけやラジオを活用したPR活動も進めています。

最近では、静岡県の森林協同組合でセミナーを開催し、サービス導入について興味を持っていただきました。今後も注力したい領域であるほか、地域のスポーツチームのスポンサーになることも検討中です。

自社と社員、社員と顧客の「信頼」を強めて解約されないサービスへ進化

ーー今後の展望をお聞かせください。

横溝竜太郎:
弊社のサービスは、販売してからがスタートです。「cyzen」を導入したお客様に、「売上が増えた」「働き方が改善した」「社員の定着率が上がった」「採用活動が上手くいった」と成功体験を得ていただくことが、私たちの存在価値であると言えるでしょう。価値を提供し続けた結果、サブスクリプションサービスとして解約率を下げられるという観点を重視し、既存のお取引を進めていきたいです。

経営者としては、「企業が社員を大切にすることで、社員がお客様を大切できる」という考えと「信頼の大切さ」を伝えていきます。信頼関係を築けないチームは「対立」のフェーズに進むことができず、意見や不平不満を言い合えません。

トップの価値観やビジョンをしっかりと浸透させられれば、社員にも「次のビジョンを一緒につくりたい」「自分も貢献したい」という主体性が湧き、仕事がより楽しくなるはずです。世界には約27億人、日本には約3100万人のデスクレスワーカーが存在するというデータがあり、まだまだ成長の余地があるマーケットだと言えます。

「デスクレスワーカーの労働価値を向上させる」というビジョンを掲げ、デスクレスワーカー向けサービスのNo.1を目指す上で、5年以内に世界進出も果たしたいところです。

編集後記

レッドフォックスに入社してからの大躍進について「運が良かった」と笑いつつ、みんなで一緒にがんばろうとチームを引っ張る努力をした、と語った横溝社長。当時から「信頼関係を築く」という価値観を持っていたからこそ、新天地でも受け入れられ、企業を成長させられたのだろう。そこからは、多くの企業が「cyzen」に信頼と期待を寄せる理由もうかがえる。

横溝竜太郎/1971年生まれ。神奈川大学を卒業後、2004年にヤマハ発動機株式会社へ入社し、経営企画業務や国内外の新規事業立ち上げを経験。2015年、グロービス経営大学院を卒業。MBA取得。2016年、レッドフォックス株式会社に入社。2018年に取締役、2022年に代表取締役へ就任。デスクレスワーカーの新しい働き方をつくるため、B2BSaasの「cyzen」に注力している。