昨今では、業務の効率化や競争力の強化、顧客のニーズに応えることを目的に、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進められている。そんな中、AMBL(アンブル)株式会社は、幅広い領域で企業のDXを支援している。
AMBLの強みや自身のこれまでのキャリア、今後のビジョンなどについて、代表取締役社長 CEOの毛利政弘氏にうかがった。
システム開発やUXデザイン、AI人材育成など、DXに関わるあらゆる領域を網羅
ーーまずは事業内容について説明をお願いします。
毛利政弘:
AMBLは現会長である櫻井徹が2001年に創業したエム・フィールドという会社からスタートしています。その後、エム・フィールドにあった請負事業を分社化し、請負事業と合わせてWebインテグレーション領域でも強みを持つことになり、balconia株式会社を完全子会社として設立しました。
さらにデータ分析とAI開発の支援、データ活用・AI領域の教育を目的として分社化した株式会社エイアイ・フィールドを設立、2022年にこの3社を統合、体制強化を図ると同時に、社名をAMBLに変更しました。
こうした背景から、AI・システム開発・UXデザイン(※1)・マーケティングといった4つの事業領域で展開しているのが特徴です。これらを組み合わせることで、お客様のDX課題を一気通貫でご支援できるのが弊社の強みです。
(※1)UX:ユーザーエクスペリエンスの略で、ホームページを利用したときのユーザー体験のこと
ーーその他の強みをお聞かせください。
毛利政弘:
現在、多くの企業がAIモデルやAIを使ったアプリ開発を行っているものの、UI(※2)・UXデザインには対応できていないことも多く、ワンストップ化できないのが実情です。その点、弊社はシステム開発だけでなく、AI開発/データ分析・UI/UXデザイン・マーケティングの提案も個別に行っており、トータルでサポートができます。
また、お客様が抱える課題への理解を深め、解決策を提供できることも強みですね。最近はシステム開発の内製化が各企業で進んでいますが、「何から始めたらいいかわからない」というお客様も多くいらっしゃいます。
そういったお客様に対して、弊社は丁寧なヒアリングによって現在抱えている課題の抽出を行い、DXロードマップの策定、DX推進体制の構築、運用までサポートしています。
(※2)UI:ユーザーインターフェースの略で、ホームページ上のテキストや画像、動画、レイアウトのこと
ーーどのような業界や業種の企業と取引があるのでしょうか。
毛利政弘:
金融・保険や運輸、通信、エンターテインメントなど、幅広い業界に渡って年間1,200件以上のプロジェクトをご支援させていただいております。また、弊社でシステム構築や技術支援、社員教育をご支援させていただいたお客様の90%以上から再度のご依頼をいただいております。
海外を渡り歩く生活からIT業界で経営者になるまでの道のり
ーー毛利社長のこれまでのキャリアについてお聞かせください。
毛利政弘:
20代前半の頃は海外を転々とし、とにかく自由に生きていました。当初は英語は全くできず、言葉が通じずにかなり苦労しました。それでも次第に一人でやっていけるようになると「学歴も見た目も関係ない、自分をしっかり主張できるようになれば生きる道はあるんだ」ということを海外で実感しました。
当時海外で生活することをほぼ決めていたのですが、色々とあって日本に戻ることになり、帰国してからは「自分の事業を作って成功したい」とより強く思うようになりました。仕事の後に経営セミナーに通ったり、個人でいくつか事業も立ち上げたりしましたね。その後、経営セミナーで知り合った方から、当時のエム・フィールドをご紹介いただいたのが入社経緯になります。
入社後は営業職としてクライアント先に出向、IT未経験だったこともあり、最初は苦労しましたが、結果的に多くの学びと経験を得ることができました。本社に戻った後も、当時のクライアントの事業拡大をはじめ各事業推進など、エム・フィールドの執行役員として会社の経営にも携わるようになりました。
その後、冒頭でもお話しさせていただいたデータ分析とAI開発の支援、さらにデータ活用・AI領域の教育を目的とした新事業、株式会社エイアイ・フィールドの立ち上げに携わりました。その功績が認められて代表取締役社長に就任、現在に至ります。
生成AIの社会実装を広める言語モデルの共同開発
ーー2024年6月からNTTが開発したLLM(大規模言語モデル)「tsuzumi(つづみ)」のテクノロジーサポーターとして参画されたそうですが、詳しく教えてください。
毛利政弘:
この度、以前よりお取引させていただいていたNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と「tsuzumi」における開発サポート契約を締結いたしました。
NTTグループ各社様とは、以前よりIT技術のサポートやエッジAIプラットフォームなど多くのサービスを共創してきた背景もあって、先述した弊社の生成AIの利活用の取り組みに対してもご関心をお寄せいただいており、昨年11月にNTTが「tsuzumi」の開発を発表したタイミングで、今回「tsuzumi」の開発サポートをすることになりました。近年ChatGPTを始めとするLLMは、ビジネスの場での活用範囲が拡大しています。
今回、「tsuzumi」のテクノロジーサポーターとして参画することで生成AIの社会実装が広まり、日本企業のDX推進に大きく貢献できると期待しています。
ーー新規取引先開拓についてはいかがですか。
毛利政弘:
これまでは以前からお取引させていただいているお客様や(お客様から)ご紹介いただいたクライアントの仕事をメインに、事業を展開してきましたが、これからさらなる成長を目指すため、新規顧客獲得にも力を入れているところです。
企業のDX推進で頼られる存在を目指す
ーー人材採用や教育に関する取り組みを教えてください。
毛利政弘:
AIなどの先端技術スキルを向上させるため、リスキリング(学び直し)による人材育成や経験者採用にも積極的に取り組んでいます。また、経産省のデジタルスキル標準を参考にした教育プログラムを実施しています。
他にも、資格を取得して得た知識を仕事に活かす方法の共有やOJT(実地研修)のプログラム作成時に生成AIを活用する取り組みも行っています。
ーー貴社が求める人物像はどのようなものですか。
毛利政弘:
時代の変化に対応し、お客様の高度な要望にも応えられる、素直で誠実な人ですね。変化のスピードが速い時代で生き残るには、常に新しい価値を生み出さなければならないと思っています。一方で、周囲の意見を素直に聞き入れられる誠実さは、時代が変わっても大切な要素だと思っています。
ーー最後に今後のビジョンをお聞かせください。
毛利政弘:
弊社のミッションである「デジタルの力でチャレンジする人が報われる社会をつくる」を実現していきたいです。そのためにDX推進のパートナーとして最も信頼できる会社だと評価していただけるよう、これからも精進していきます。
編集後記
フランクな語り口調で、和やかな雰囲気をつくってくださった毛利社長。社長の人柄がお客様に寄り添い、課題解決に取り組む企業の姿勢にもつながっていると感じた。あらゆる領域から顧客のDXを支援するAMBL株式会社は、企業の成長に欠かせない存在になることだろう。
毛利政弘/様々な職を経て35歳でIT業界に転身。エム・フィールド(現AMBL)に入社後、モバイルソリューション事業領域で活躍し、45歳で事業部長に就任すると会社の事業拡大に大きく貢献。その後、新規事業であったデータマイニング事業の拡大に取り組み、約1年半で後の株式会社エイアイ・フィールドへ事業を分社化、AI領域の推進を担う。2020年より現職。2022年にグループ会社の一社化を経て現在に至る。