クラウドサーカス株式会社は、デジタルマーケティングのプラットフォームサービス「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」を手がける企業だ。企業の課題を解決するさまざまなツールを開発・提供している。また過去には有名人が出演するテレビCMを打つなど、大々的な広告宣伝活動でも注目を集めた。代表取締役CEOの北村健一氏に、同社のサービスや会社としての強みを聞いた。
バンド活動をきっかけに上京し、会社を立ち上げるまで
ーー貴社を立ち上げるまでの経緯をお聞かせください。
北村健一:
地元福岡の仲間と続けていた音楽バンドでプロを目指して上京しましたが解散し、生活のために働かなければならず、スターティアホールディングス株式会社へ入社しました。
起業を考え始めたのは、経営戦略室の責任者をしていたときのことです。当時、全社的なマーケティング業務を担当していて、このときに他社が電子書籍を制作するツールを販売しているのを見て「これは面白い」と思いました。
私たちも電子書籍を事業化して販売できるのではと思い、社内ベンチャーを立ち上げました。これが、今のクラウドサーカス株式会社の前身です。会社を設立後、資料や動画を誰でも簡単に作成・配信できる、電子ブック作成ツール「ActiBook(アクティブック)」を開発しました。
デジタルマーケティングの力で中小企業の課題を解決
ーー事業内容について教えてください。
北村健一:
デジタルマーケティングのプラットフォームサービス「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」を、中小企業を中心に提供しています。
Web集客や見込み案件の創出など、さまざまな支援ツールが1つのプラットフォームに集まったものが「Cloud CIRCUS」で、お客様はそのツールを1個から活用できます。そして、1個活用してみて成果が上がれば2個目、3個目とツールを増やしてもらうという仕組みです。
特に力を入れているツールが、BowNow(バウナウ)です。BowNowを導入した企業は、どういったユーザーがWeb上から自社サイトにアクセスしてきたのか、または、自社のサービスに興味を持っているのかなどを分析できます。
この分野は欧米の企業が強いレッドオーシャンですが、日本の中小企業向けのサービスで弊社ほど使いやすいものはほかにはないと自負しています。
ーーなぜ一部のサービスを無償で提供しているのでしょうか。
北村健一:
デジタルマーケティングの重要性を理解しているのは、特にデジタル分野に精通している若い世代です。しかし、若手社員には社内での決裁権がなく、弊社のサービスを導入したいと思っても稟議が通らないことが少なくありません。
「弊社のサービスで成果が出ることが証明できれば、稟議が通りやすくなるのでは」という思いから、最初は無償で使えるようにしています。
ーー今後の注力テーマを教えてください。
北村健一:
特に力を入れたいのが、地方パートナーとの提携です。地方の企業にサービスを提案したくても、信頼できる地元の企業経由でないと商談に辿り着けないことがよくあります。そのため、地方のパートナーと組んで一緒に事業を拡大する必要があります。
また、社内体制のさらなる強化にも注力したいと思っています。弊社にはかつて、飛び込み営業が上手くいかず辞めてしまう新人が多くいました。そのため、展示会への参加など、新人でも見込み顧客を獲得できる方法を考えて取り入れたところ、徐々に新人は辞めなくなりました。今後も、新人でも苦労せず成果を出せる仕組みをより一層整えていきたいと思っています。
個性を武器に全員が一丸となって働く企業文化
ーー求める人物像や採用についてお聞かせください。
北村健一:
弊社は、コンサルやマーケター、クリエイターなどさまざまな職種の社員が協力することで、お客様に価値を提供できます。そのため、チームで一緒に戦って勝利を分かち合うマインドを持っている人が来てくれると嬉しいですね。
また、体育会系な要素もあるので、チームで戦うこと、皆で一丸となって業務を効率化することなども意識してもらう必要があります。
他部署から個性的な社員がたくさん入ってきたため、設立当初は周りから「動物園みたい」と言われていました。弊社のプロダクトロゴがすべて動物なのは、動物園と言われたのが非常に悔しかったというのが1つの理由です。
しかし今となっては、それが逆に強みになっています。かつては自信がなかった社員たちも、自信に満ちています。彼らが現在、生き生きと働けているのは、自分の強みに合った役割で会社に貢献できるという実感があるからだと思います。
私たちの組織には、どんな個性を持っている人でも輝ける土壌があります。自分の個性や強みを活かして人の役に立ちたい人にとっては、非常に向いている場所だと思いますよ。
編集後記
スタートアップマインドを忘れず、チームワークを強みに邁進するクラウドサーカス株式会社。多様な個性を活かして邁進する同社が、今後どのような動きを見せるのか。同社の活躍をこれからも追いかけたい。
北村健一/1977年、福岡県生まれ。スターティア(現・スターティアホールディングス株式会社)に入社し、2004年新卒社員2人と電子書籍作成ツールの社内ベンチャーを立ち上げる。2006年に事業部に昇格し、執行役員に就任。2009年には分社化し、スターティアラボ株式会社を設立、代表取締役社長に就任。2020年からはスターティアHD取締役を兼務。2021年、スターティアラボから商号変更してクラウドサーカス株式会社を設立。代表取締役CEOに就任。