適切な研修は、社会人としてのキャリアを円滑にスタートするために欠かせないもの。株式会社リゾームは、多くの基礎知識が必要とされるIT業界において、多くの企業から新人教育を任されている。代表取締役の榮澤暁誠氏は、自社の社員教育にも注力し、社員一人ひとりの成長を促し、ひいては会社の成長へとつなげることを目指す。そんな榮澤社長にこれまでのキャリアと、教育に対する熱い思いをうかがった。
一人で立ち上げた法人が100人規模に成長するまで
ーー榮澤社長の経歴をお聞かせください。
榮澤暁誠:
弊社を起業する前は、銀行系のシステム開発会社である三和システム開発株式会社(現:三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)で働いていました。しかし、次第に自分の強みを活かせていないと感じるようになり、約5年の勤務を経て、独立のために退職の道を選びました。
退職をキッカケに働く業界を変えたいと思っていた私は、社会保険労務士の資格取得を目指しました。とはいえお金は必要なので、システムエンジニアの仕事を派遣で続けながらの勉強です。その後、社会保険労務士の資格を取得しても、それだけでは食べていくことができず、システムエンジニアの仕事も継続することになりました。
こうして2つの仕事を掛け持ちする中で、ある日システムエンジニアの仕事の客先である大手企業から直接契約を持ちかけられました。話を聞くと、直接契約には法人の立ち上げが必要とのことで、このチャンスを活かすために、1人で法人を立ち上げることにしました。その後いくつかの転機に恵まれて弊社は成長を続け、現在では約100名の社員を抱えるまでになりました。
ーー貴社の成長に影響した転機とはどのようなものですか?
榮澤暁誠:
1つ目の転機は、1人目の社員の入社です。弊社は立ち上げから約1年間、私しか所属していませんでした。法人を大きくするつもりもなかったのですが、あるとき客先で一緒に働いていた方から入社を打診され、初めての社員を獲得することになります。
彼は私より実力がある方で、さらに会社を成長させたい意欲にもあふれていました。この出会いに影響を受けた私は彼の気持ちに応えたいと考えるようになり、会社の発展を意識しはじめました。
2つ目の転機は新人採用を始めたことです。弊社の社員が25人程度まで増えたとき、初めて営業担当を雇いました。これにより会社の労務環境や財務状態が改善し、次のステップとして、新人採用を始めることになりました。それまで弊社は、ある程度キャリアを積んだ人たちの集まりで形式ばった採用活動をしていなかったので、弊社にとっては大きな方向転換となったのです。
新人が入社するとなると、会社としての責任感が大きく変わってきます。新人を育てる意識が強くなり、社員教育に力を入れるようになりました。
会社としての自覚が強まったのもこの時期です。特に社会貢献を強く意識し、人材育成を通じた社会貢献を目指すようになりました。
アプリやWebシステムの受託開発に加えて、IT業界の新人教育にも注力する
ーー貴社の事業内容を教えてください。
榮澤暁誠:
アプリやWebシステムの受託開発を行っています。開発するジャンルは特化していませんが、技術の特化にはこだわっており、なるべく最新の言語やインフラを使うようにしています。
提案内容はほぼ100%クラウドで、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azureなどのクラウドサービスを活用したアプリ開発やシステムサービスなどを提案しています。
また、IT教育にも取り組んでおり、同業の開発会社や大手企業のシステム部門の社員を対象とした教育プログラムを提供しています。新卒社員の方に受講いただくことが多く、これからITの分野で活躍するにあたって人材教育の基礎づくりを任されていると自負しています。
ーー貴社の教育プログラムにはどのような強みがありますか?
榮澤暁誠:
弊社の強みは、講師陣が全員実務経験者であることです。現場での実体験をもとに、実務で活きるさまざまなノウハウを提供しています。さらに、事業所を東京の日本橋一箇所に集約することで、講師間の連携を密にした質の高い教育を可能にしています。
また、受講には国の助成金制度を活用できるので、顧客の教育コストを抑えられる点も強みと言えるでしょう。
同業他社からの教育を任せていただけているのは、IT業界の根底にお互いに案件や人を提供し合いながら、取り組む体質があるためです。また、弊社には長年の取引実績がある顧客が多く、開発の顧客から教育を任せていただくことも頻繁にあります。
社員を成長させていくには、まず会社の成長が必要
ーー今後、特に力を入れて取り組みたいことを教えてください。
榮澤暁誠:
会社員生活を通じて、社員たちが日々成長していける環境を構築したいと思います。
会社は社員の成長によって大きくなるものですが、そもそも社員を成長させるには、活動の箱である会社を成長させ、環境の質を担保せねばなりません。自分の成長を実感できるレベル感と働きやすい環境、そして成果をフィードバックした昇給をバランスよく実現し、社員が生き生きと成長できる会社を目指します。
教育部門は、この目標を実現するカギの一つだと考えています。教育部門は2017年に立ち上げた新しい部門ですが顧客からの評価は高いので、弊社の強みとして活かせるように育てていく構えです。
柔軟に成長してきた会社だからこそ、就業環境の自由度が高い
ーー最後に、貴社の魅力についてお聞かせください。
榮澤暁誠:
弊社はこれまで、社員たちのさまざまな意見を取り入れながら成長してきました。それだけに社員たちの声を聴く柔軟性があり、同時に働き方の多様性も高いです。
働き方一つとっても選択肢が多く、フリーランスや契約社員として働く方や、時短勤務やフレックス勤務を選ぶ社員、リモートワークで働く社員もいます。働き方の選択肢が多いので、子育て中の主婦も活躍しています。
また、キャリアパスの自由度も高く、教育部門から開発部門や営業部門へ、といったように、働く畑を変えることも可能です。自分の業務に違和感を感じる方は、会社の中で活躍できる場をじっくり探していただければと思います。
初めてIT業界に挑戦する方は心配事が多いと思いますが、弊社は教育事業に取り組んでいるため、しっかりとした教育を受けられます。特に、自主性を持って働きたい方を求めています。いろいろなチャレンジに挑戦したい方はぜひ一度お声がけください。
編集後記
人を育てる根本は、相手の将来を考える親心のようなものではないだろうか。榮澤社長の教育との付き合いは新人採用に対する責任感から始まったが、IT業界の基礎教育を任されている今でも、その心は変わっていないようだ。榮澤社長は、今日も教育を通じて未来へ進もうと努力する人々の背中を押してくれている。
榮澤暁誠/1967年生まれ。埼玉県出身。1991年、中央大学商学部卒業後、三和システム開発株式会社(現:三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社)入社。2001年に株式会社リゾームを創業し代表取締役となり現在に至る。