※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

近年、会社のWebサイトが担う役割が自社の紹介からタッチポイント(※)創出の場へと変化しつつある。それに伴いWebサイトに顧客目線のデザインや導線が求められるのは自然だろう。

そこに着目したのが、名古屋市でWebデザインを行っているアライブ株式会社だ。代表取締役の三輪尚士氏が創業し、顧客の目標達成を第一にしたWebデザインを提供して成長してきた。しかし、三輪社長の挑戦は順風満帆ではなかったという。

アライブはどのような荒波を乗り越えて、「名古屋市最大規模のWebデザイン会社」という代名詞を手にしたのか。会社が発展した経緯や独自の強みなどを三輪社長に聞いた。

(※)企業や商品・サービスと、顧客やユーザーなどとの接点となる場所

幼馴染と共に創業した事業の成功と失敗、そして成長

ーー三輪社長が創業したきっかけや、これまでの経歴をお聞かせください。

三輪尚士:
私が創業したきっかけはシンプルで、私の両親が会社を営んでいた影響で、自分でお金を稼ぐのがあたり前だと思っていたためです。私は次男であったため、家業を継ぐのではなく、高校卒業後、自分のスキルでお金を稼ぐ道を模索し始めました。

デザインの勉強をしながら、友達からデザインの仕事を一人で受けていましたが、あるとき幼馴染から会社設立の話を持ちかけられ、2001年、21歳の時に2人で弊社を立ち上げます。主な事業はWebデザインで、途中、アパレル事業に挑戦したこともありましたが、最終的にはWebデザイン会社として成長して現在に至っています。

ーー事業を成長させるにあたり、ターニングポイントになった出来事を教えてください。

三輪尚士:
アパレル事業への挑戦と失敗です。

弊社の事業が軌道に乗ったころ、友人の提案でアパレル事業に挑戦したことがありました。それまでは実家の部屋とパソコンがあれば仕事ができたので、経費について心配したことはありませんでした。ところがアパレル事業では店舗の家賃や商品の発注費用、従業員の給与など、多くの経費が必要となり、雲行きが怪しくなっていきました。

気付けば資金は底を尽き、社員の給与を支払ったあとの残高が2万円という事態に陥ります。あのときは「こうやって倒産するのか」と考え、強い焦りを感じました。

そんな状態を変えたのが中小企業診断士の知識です。資格取得には至らなかったのですが、現状を変えようと知識を身につけた結果、課題の明確化や理論に基づいた対策を考えることができるようになりました。

さらに良いことに、この理論的な思考はWebデザインの仕事と結びつき、クライアントの要望に理論をプラスした「コンサルティングデザイン」の開発へと発展しました。そして「コンサルティングデザイン」はいつしか弊社を代表するサービスとなり、弊社を成長へと導くことになります。

Webサイトはただの納品物ではない。顧客と目標達成に向かって歩むためのWeb制作サービス

ーー貴社の事業内容を教えてください。

三輪尚士:
主な事業は、問い合わせや採用エントリーの増加など、顧客の目標達成につながるWebデザインです。Webサイトの設計から制作、伴走までを一貫してサポートするのはもちろん、必要に応じてWebメディアやSNSなどの運用も行います。

弊社にとってWebデザインとは、顧客の目標というゴールに向かう「長距離走」のようなものです。Webサイトの完成はゴールではなくスタートで、定期的なミーティングや改善などを繰り返しながら3~4年をかけて、顧客の目標というゴールにたどり着きます。

なお、最初の目標を達成したら次の目標を設定して再度走り出します。顧客を長期的に補助しながら一緒に成長していくことこそが弊社の喜びです。

ーー貴社独自の強みは何でしょうか。

三輪尚士:
顧客の目標達成につながるWebデザインが可能であることです。顧客の目標ごとにWebデザインで生み出せる付加価値を考え、目標達成に最適なデザインを追求します。

この考えは弊社の経営理念である「相互愛」をベースにしたものです。ビジネスを通じて、そこに関わるすべての方がWin-Winの関係であり、そしてすべての方が笑顔になれるように、顧客と手をとり合って歩むことが重要だと考えています。

また、名古屋市におけるネームバリューを確立できている点も強みです。受注エリアを東海エリア周辺に絞り込むことで、「名古屋市といえばアライブ」というイメージを20年かけて実現しました。

地元名古屋の地の利を生かし、地方への「横スライド型展開」を狙う

ーー活躍している社員の特徴や社風について、教えてください。

三輪尚士:
弊社では名古屋市を中心に中部・北陸エリア出身の方が多く活躍しています。名古屋は東京よりもライバル会社が少ないので、組織の安定を確保しつつ、地元で熱心に仕事をするスタイルが実現できます。

社風は風通しが良く、社員たちは個々の立場に関係なく、仲良く働いています。また、休みがとりやすいので、ワーク・ライフ・バランスを大事にしたい方にも向いているのではないでしょうか。

それからWebサイトにも書いてあるのですが、社内で猫を飼っています。この子たちは元「迷い猫」なのですが、自然と住み着いたことをきっかけに、弊社の一員になりました。

ーー今後、貴社をどのように成長させていきたいですか。

三輪尚士:
利益の「ポートフォリオ」、つまり安定的な利益が得られるパターンの構築にも取り組み、売り上げの安定化を図りたいですね。Webデザインの売上にはムラがあるので、サブスクリプションサービスのような継続的な売上を得られる仕組みを組み込むべきでしょう。

それに伴って、必要に応じて売り上げを確保できる「攻め」の営業スタイルの確立も必要だと考えます。セールスエンジニアやセールスデザイナーといった新規獲得に有効な人材を強化しながら、営業手法を開拓していきます。

また、名古屋市で培った地方マーケティングのスキルを横スライド的に展開して、ほかの地方からも仕事が獲得できる仕組みを構築したいと考えています。そして最終的には筋肉質な経営体系の組織へと進化させ、社員の能力に依存しない体制を築き上げたいですね。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三輪尚士:
これからもクライアントの成長をサポートできるWebマーケティング&デザイン会社として愚直に改善と成長をしていきたいと思っています。

編集後記

「コンサルティングデザイン」によるアライブ株式会社の復活劇から、顧客が求める本質は「モノ」ではなく「結果」だということがわかる。顧客の動きが複雑さを増す今後において、「コンサルティングデザイン」は真価を発揮することだろう。

三輪尚士/1980年生まれ。2001年、21歳のときにアライブ株式会社を創業し、CEO / Founderに就任。2011年まで激ロックDJとしても活動する。現在、創業20年以上経ち、日本とベトナムで約140名のスタッフと共に、Webマーケティングとデザインでクライアントの成長をサポートし続けている。