※本ページ内の情報は2024年10月時点のものです。

技術者派遣業界で存在感を放つジャパニアス株式会社。「先端テクノロジーで日本の明日に新たな価値を提供する」を経営理念に掲げ、創業以来24年間、連続して黒字経営を続けるという成長を遂げてきた。現在約1,700名の技術者を擁し、さらに1万人規模を目指す同社。その成長の秘訣は、年齢や学歴に捉われない人材育成と、デジタル技術への果敢な挑戦にある。

そんな同社を率いるのは、50歳で起業し、経営者であり小説家でもある西川三郎氏だ。逆境からのスタートを経て、今や業界をリードする立場となった西川氏にお話をうかがった。

どん底からの創業を決意 経営者としての基礎を築き道をひらく

ーー創業に至った経緯をお聞かせください。

西川三郎:
慶應義塾大学を卒業して、千代田生命保険相互会社に入社しました。そこで19年勤めた後に、妻の家族が創業した技術系の会社に、専務取締役として入社したのです。会社を大きくするために尽力していましたが、50歳のときに突然解雇されてしまいました。再就職先もなく、500万円ほどの貯金しかない状態。このままでは生活できないという危機感から創業を決意したのです。

当時は、人生の谷底のような状況でした。幸いなことに、前職では営業から経営、総務まで幅広い経験を積み、経理以外はすべて経験していたので、それらが創業後の事業運営に役立ちました。しかし、創業当初は銀行から融資を断られたり、人材を募集してもなかなか集まらなかったり、と大変な思いをしました。社会に認められるまでは本当に厳しい状況が続きましたが、前職での人脈や信頼関係が少しずつ道を開いてくれました。

振り返ると、そのときの苦労が今の私を築いたと言えます。困難な状況だからこそ、必死に考え、行動する。そういった経験が、経営者としての基礎を築いてくれたのです。

ーー創業後は、どのように会社を成長させていったのでしょうか。

西川三郎:
最初は機械や電気系の技術者の派遣事業が中心でしたが、ITやデジタル技術の重要性が高まるにつれて、その分野にも力を入れていきました。成長の秘訣は、時代の変化を先読みし、柔軟に対応してきたことでしょうか。

現在では、お客さまのニーズに応えるだけでなく、新たな価値を提案できる技術者を育成することにも力を入れています。こうした取り組みを経て、技術パートナーとしてお客さまから信頼していただけるようになりましたね。

黒字経営を維持するのは「日本の明日」をつくる社会貢献の形

ーー貴社の経営理念や大切にされている考え方をお聞かせください。

西川三郎:
弊社は「先端テクノロジーで日本の明日に新たな価値を提供する」という経営理念を掲げています。さらに、「ジャパニアス」という社名は、「日本の明日」を担う技術者集団をつくるという意味を込めて名づけました。これらには、日本人として生まれ、育ててもらった国に貢献したいという思いが根底にあります。

創業以来、生まれ育った日本に貢献するために「黒字経営」を重視しています。弊社は創業以来、赤字を出したことがありません。社員の所得税を上げることで、日本に貢献する。そういう意味で、黒字経営は社会貢献の一つの形だと考えています。

ーー貴社ならではの社風や文化について教えてください。

西川三郎:
弊社では年齢、性別、学歴は関係ありません。技術への情熱と、技術者になりたいという意欲を重視しています。最近はデジタル分野の技術者を中心に採用を進めています。あくまでも技術者が主役で、それをサポートする営業や総務、人事がいる、という構造ですね。

技術者になるには、遅すぎるということはありません。努力さえすれば、誰でも技術者になれると考えています。昨年、「J-college」という研修センターを開設し、座学だけでなく実践を通じて学べる環境を整えました。

AI、ビッグデータ、IoTなど、今後需要が高まる分野にも対応しています。お客さまに価値を提供できる技術者になれば、何歳になっても活躍できます。大切なのは、やりきる覚悟があるかどうかです。

感謝の心とチャレンジ精神、それが成功へつながる2つの鍵

ーー今後の展望についてお聞かせください。

西川三郎:
1万人の技術者集団を目指しており、新規取引先の開拓や営業部門の体制強化、人材採用の強化に注力しています。単に数を増やすだけでなく、並行して質の高い技術者を育成することが重要です。新規取引先の開拓では、幅広い業界にアプローチしています。たとえば、デジタル化が進む金融業界や、先端技術を必要とする製造業などですね。また、営業部門では、効率的な営業手法を導入し、生産性の向上を図っています。

1万人の技術者が日本中で活躍することで、日本の産業全体を変革していく。そういった大きなビジョンを持っています。そのためには、一人ひとりが高い技術力と問題解決力を持ち、お客さまに真の価値を提供できる技術者を育成しなければなりません。また、技術者の待遇改善にも力を入れ、技術者が誇りを持って働ける環境を整えることで、新しい世代にも技術者という職業の魅力を伝えていきたいと思います。

ーー最後に、読者へのメッセージをお願いします。

西川三郎:
自分が思い描いたことは必ず叶います。ただし、叶えるためには多くの人に感謝することが大切です。私が今、この事業を展開できているのは、お客さまに恵まれ、社員に恵まれたからこそです。皆さんも、自分の目標を応援してくれる上司や仲間がいれば、必ず良い方向に進んでいけると思います。

今の時代は、自分の可能性を最大限に発揮できる時代です。年齢や経歴に関係なく、実力で評価される。そんな時代になっています。ですから、自分の可能性を信じて、どんどんチャレンジしてみてください。失敗を恐れずに、新しいことに挑戦をし続けることで、結果として大きな成功につながります。私たちは、そんな挑戦する人材をこれからも全力でサポートしていきます。

編集後記

西川氏の言葉からは、創業時の苦労と現在の成功を経て培われた強い信念が感じられた。「日本の明日を担う」という大きな志を掲げ、それに向かって着実に成長を遂げてきた同社。デジタル人材の育成に注力する姿勢は、日本の産業界全体にとっても重要な取り組みだと言えるだろう。西川氏の「思い描いたことは必ず叶う」という言葉は、技術者を目指す若者たちにとって、大きな励みになるに違いない。

西川三郎/1948年、愛媛県生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手生命保険会社に入社。1991年、中堅エンジニアリング会社へ転職後、取締役経営企画室長、代表取締役専務を経て、1999年ジャパニアス株式会社を創業。小説家として執筆活動も行っている。