※本ページ内の情報は2024年11月時点のものです。

三崎漁港で知られる神奈川県三浦市で、1967年から鮮魚卸売を営む株式会社鈴木水産。「三崎のマグロといえばここ!」と、地元から愛される卸売会社の一つだ。同社はマグロを中心に鮮魚介類の卸や加工、小売販売を手がけ、その品質に妥協しないことはもちろん、価格も可能な限り抑え、通常では考えられない価格で提供している。

では一体どのように品質と価格を両立しているのか。代表取締役社長の鈴木淳氏に、マグロのプロフェッショナルならではのこだわりを聞いた。

2代目社長を継ぎ、高品質な三崎のマグロをお客様に届けることに尽力

ーー鈴木社長の経歴をお聞かせください。

鈴木淳:
私が弊社に入社したのは1989年のことです。父の跡を継ぐことを前提に、専門学校卒業後すぐに入社しました。

当時はまだマグロに注力しておらず、街の鮮魚店のようにさまざまな種類を扱っていました。私も店頭に立つことから始め、掃除や洗い物、荷積みなどの雑用もこなしながら腕を磨きました。負けず嫌いな性格もあって、自分自身の力を認めてもらおうと必死に頑張ったものです。

店長時代に力を入れたのは「なるべく良いものを仕入れて、なるべく安く売る」ことでした。安く売りすぎて利益にはつながりませんでしたが、お客様からは大きな評判を呼び、弊社の名前を広めるきっかけになりました。

それからしばらくは社員と一緒に現場で働き、入社から13年目の2002年に取締役に就任し、その後、専務取締役を経て2017年に同社代表取締役社長に就任しました。

ーー会社を経営していくにあたり、鈴木社長が大切にしていることは何ですか?

鈴木淳:
「本当に良いものをなるべく安く売りたい」。これに尽きます。

私の基本的な経営方針は店長時代から変わっていません。ただし、当時の薄利多売の売り方では会社の成長が担保されないので、今は船から直接仕入れることで高品質と低価格を両立する「適正価格」にこだわっています。

最近ではECサイトにも販路を広げていますが、同様に「適正価格」にこだわり、お客様第一で厳選した商品をラインナップしているところです。

これからも高品質を無理なく安く提供する「適正価格」で、お客様と弊社の両方が幸せになる方法を追求していきます。

三崎といえば鈴木水産と言われるほどの徹底したマグロへのこだわり

ーー貴社の事業内容を教えてください。

鈴木淳:
マグロを中心とした鮮魚の卸や加工、小売販売を行っています。また、レストラン、日本料理店、寿司店、回転寿司店といった飲食店も運営しています。

弊社最大の特徴は「三崎のマグロといえば鈴木水産」と言われるほどに、マグロの品質と価格にこだわっていることです。独自に開拓したマグロの仕入れルートや販売のノウハウによって、他の鮮魚店には真似できないような価格で、質の高いマグロを提供しています。

ーー貴社の強みは何でしょうか。

鈴木淳:
「マグロならどこにも負けない」と言い切れるほどマグロの取り扱いに強いことです。

船から直接仕入れる手法は、卸売市場では不可能な水揚げ直後のマグロのチェックが可能です。マグロは品質の個体差が大きいので、直接目利きすることで品質を担保できますし、仲買を挟まないので価格も抑えられます。

それに加えて自社に大量保管が可能な大型冷蔵倉庫があるので、大量仕入れによる安定供給と安定価格を実現できます。

価格と品質にここまでこだわる理由は、ひとえにお客様を第一に考えているからです。マグロを通じて感動を届けられるように、三崎のマグロ専門問屋として誇れるレベルのマグロを日々厳選しています。

本気でマグロのプロフェッショナルを目指すための環境がそろう

ーー今後、会社として注力したいテーマは何ですか?

鈴木淳:
弊社の未来を安心して託せるような次世代の人材育成に取り組んでいく方針です。会社の継続的な成長には人材育成が不可欠ですし、社員ひとり一人を大切に育てていくことで人材不足にも対応していけると考えています。

弊社の仕事は技術と知識がものをいうので、いつまでも「鈴木水産のマグロは本当においしい」と言ってもらうために、マグロのプロフェッショナルを育成する教育に力を入れていきます。

それに伴って社員の適正な評価ができる環境の構築にも取り組んでいきたいですね。私も一社員からのスタートだったので、評価され報われることの嬉しさは知っているつもりです。

弊社はマグロのプロフェッショナルであることに誇りを持っています。マグロのプロに育てるためにこれ以上ない環境を用意できますので、本気でマグロを極めたい方はぜひ参加していただきたいと思います。

ーーこの記事の読者にメッセージをお願いします。

鈴木淳:
弊社は社員一人ひとりの裁量が大きいのが特徴です。20代で店長に抜擢されることもあり、実際に28歳で店長になった例もあります。

また、店長の裁量もかなり大きく、私の指示なしに多くの現場判断を任されるまでになります。小売店の実績を左右する重要なポジションですので、挑戦したい方にはやりがいのある環境だと思います。

やる気がある方には、しっかり挑戦できる環境を用意できますので、仕事を通じて成長したい方はぜひ一緒に働きましょう。

編集後記

三崎のマグロ卸の代名詞というポジションは、マグロ好きが多い日本においてあまりにも大きいアドバンテージだ。私たちの食卓から飲食店、インバウンド需要まで、鈴木社長率いる鈴木水産の活躍の場は今後も広がり続けていくことだろう。

鈴木淳/1968年生まれ。神奈川県三浦市出身。1989年に東京商科学院専門学校(現:東京商科・法科学院専門学校)卒業後、株式会社鈴木水産に入社。2002年に取締役に就任し、その後、専務取締役を経て、2017年に同社代表取締役社長に就任。