※本ページ内の情報は2025年5月時点のものです。

「あなたのまちのくるま屋さん」として、「ダイハツ鈴鹿西」「ダイハツショップカメヤマ」の2拠点を展開し、ダイハツ車を中心とした新車・中古車の販売や、自社工場での車検・整備を行うサンモーター株式会社。4代目として家業を継いだ代表の永戸潤氏に、これまでに苦労した経験や、他社との差別化を図っているサービス内容、今後の展望についてうかがった。

ダイハツの不正問題の影響を受けたときに助けとなったお客様の存在

ーー貴社に入社する前はどのような経験をされたのでしょうか?

永戸潤:
弊社は現会長の父が創業した会社で、中高生のときは夏休みや春休みに家業を手伝っていましたが、家を離れたいという思いがあり、京都外国語大学に進学しました。

大学卒業後は、京都の商社に入社してすぐに中国に渡ったものの、初めの頃は中国語がほとんど話せず苦労したことを覚えています。商社に勤めて5年が経った頃に、父の病気がきっかけで家業に戻る決断をしました。

中国で仕事をした経験の中で、現地で中国の方と話をするときに相手の真意を読み取ろうと意識していたことが、今の仕事でお客様の気持ちを察する力につながっていると思います。

ーー入社後、印象に残っているエピソードについてお聞かせください。

永戸潤:
弊社が提供するサービスが、ダイハツ工業にも取り入れられたことが印象に残っています。弊社は約20年前、半年に1度整備を行うメンテナンスパックのサービスを開始しました。車検に加えて定期的にメンテナンスを行うことで、お客様はより安全に車をご利用いただける一方、弊社はお客様と頻繁にコミュニケーションがとれるという、両者にとって有意義なサービスです。

これがダイハツ工業から注目され、サービス内容についての取材を受けました。その後、ダイハツ工業も同じようなサポートを提供するメンテナンスパックを売り出したのです。お客様に安心を与えられたうえに、ダイハツ工業から評価されるサービスを生み出したことを誇りに感じています。

ーーこれまでに苦労した経験はありますか?

永戸潤:
私が家業を継いでから最も苦労したのは、ダイハツの認証試験における不正問題です。当時は車の購入のキャンセルや苦情の電話が相次ぎ、ダイハツの看板を下ろすことも頭をよぎりました。そんな中で、救いになったのは弊社を心配してくださるお客様の存在でした。あるお客様が、従業員のために市場で買ってきた野菜を持って「元気にしているか?」と店を訪ねてくださったことが、私にとっては人生で一番嬉しかった出来事です。

親身なサービスでディーラーとの差別化を図る

ーー貴社のサービス内容を教えてください。

永戸潤:
弊社で扱っている車は、ダイハツ車が6割、トヨタ車が2割、残りはスズキ車などの他メーカーの車です。新車・中古車の販売はもちろん、車検や整備、保険の取り扱いも行っており、車に関することは何でも相談していただけます。

弊社では、お客様の自宅に車を引き取りに行くサービスを提供しています。これは、来店主義が主流の一般的なディーラーでは行っていないサービスです。長年、手間を惜しまず「来店できないお客様にはこちらからうかがう」という方針を貫いた結果、お客様から「取りに来てくれるならあなたのところとお付き合いしたい」と言っていただけることも多く、このサービスによってお客様との関係が強化されていると感じます。さらに、約20年前からタイヤをお預かりするサービスも実施し、自宅にタイヤを置くスペースがないお客様からご好評いただいています。

ーーお客様に対応する際は、どのようなことを大切にしていますか?

永戸潤:
弊社では、お客様を笑顔でお迎えし、笑顔でお見送りすることを大切にしています。お客様が車で来店した際は、自動ドアを開けに行き、お帰りの際はお客様の車をお見送りすることが弊社の文化として根付いています。

ーー貴社で働く人材について教えてください。

永戸潤:
近年、20代の従業員が数名入社したこともあり、現在は平均年齢35歳程度の会社となりました。また、ベトナム人研修生の受け入れも行っています。言語の壁があることに加えて技術を一から教える必要があるため苦労もありますが、教える側の従業員の成長にもつながっていると感じています。

時代のニーズに沿った設備の導入を目指す

ーー今後の展望を教えてください。

永戸潤:
自動車業界で人材不足が進む中で魅力ある会社にするため、休日を増やす取り組みを導入する予定です。また、弊社が展開する「ダイハツ鈴鹿西」と「ダイハツショップカメヤマ」の両店舗とも設備が古く、現在は電気自動車のメンテナンスはディーラーに委託しなければいけない状況です。そのため、今後10年を目処に、電気自動車のメンテナンスも自社で完結できる設備を導入したいと考えています。これからガソリン車の台数が減少し、電気自動車が増加していくと考えているため、時代に合わせて設備やサービスを整えていきたいです。

ーー最後に、社長自身の夢をお聞かせください。

永戸潤:
私は地域に生かされてきたと感じています。そのため、これからは地域への恩返しとなるような活動をしていきたいです。その一環として、父の遺言でもあったロータリークラブ(※)に16年前に入会し、活動を行っています。この年齢になって改めて、地域社会に貢献することの大切さを感じているので、今後も積極的に取り組んでいきたいですね。

(※)ロータリークラブ:自身の職業を通して地域社会で積極的な役割を果たしながら、国際社会に貢献することを目的とした奉仕団体

編集後記

創業以来、地域に密着したお店としてお客様との信頼関係を築いてきたサンモーター株式会社。ダイハツの問題が発生した際にお客様が支えてくれたというエピソードは、これまで地域に根差した営業を行ってきた成果そのものであり、お客様に対する真摯な姿勢によって信頼を得ている証拠だと感じた。時代の変化に対応しつつ、地域社会とともに歩む同社は、今後も多くの人のカーライフを支え続けるだろう。

永戸潤/1968年、三重県鈴鹿市生まれ。中高生時代の長期休暇の際に、家業のアルバイトを行い、京都外国語大学に進学。大学卒業後は京都の商社に就職。先代から家業を継ぎ、現在に至る。