人口減少が進む中、建築業界は住宅需要の変化に迅速かつ的確に対応する必要がある。既存住宅のリノベーションや住環境の改善が重要視されるようになり、ライフスタイルの多様化に合わせた柔軟な設計、地域コミュニティの活性化に寄与する施設づくりなど、新たな価値の創造が求められている。
こうした課題に対し、地域密着型の企業としてお客様の暮らしのニーズに合わせた新たな価値を提供するのが株式会社イトコーだ。独自の提案力と実行力で注目を集める同社の代表取締役社長である伊藤博昭氏に、地域に貢献する企業としてのビジョンや、時代の変化に対応した家づくりの取り組みについて聞いた。
幼少期に芽生えた家業を継ぐことの決意と成長
ーー社長就任までの経緯をお聞かせください
伊藤博昭:
小学生のころから建築現場に足を運び、父や祖父が働く姿を見て育ちました。そのため、自然と自分も家業を継ぐものだという意識が芽生えており、別の道を選ぶことは考えたことがありませんでした。大学卒業後は県外の工務店で2年間修行を積みましたが、それは外の世界で働くことで、従業員としての意識や、職場の雰囲気などを知ることが重要だと考えたからです。
弊社に入社してからは、総務・経理の業務からスタートし、現場監督や営業など、さまざまな業務を経験して会社全体の理解を深めることができました。
コロナ禍での新しい挑戦とPR戦略の転換
ーー社長就任後、特に印象に残っている出来事はありますか?
伊藤博昭:
社長に就任したのは、ちょうどコロナ禍が始まった時期で、会社にとって非常に厳しい状況でした。お客様が来店する機会が減少したため、従来のチラシ配布から、ネット広告やSNSを使ったPR活動へとシフトしました。
リモートワークが進む中、心地よく在宅勤務が行える住まいづくりを提案するなど、時代に合わせた新しいサービスを積極的に取り入れたことは、お客様のニーズに応えられた一因だと思います。これまで以上に、住まいが持つ役割を再定義する必要があると感じ、単なる居住空間に留まらず、仕事や趣味など、さまざまな生活シーンに対応できる家づくりを強化しました。
また、社内ではフリーアドレス制を導入し、働き方改革を推進しました。これによりコミュニケーションが活性化し、柔軟な働き方が実現しています。建築会社は固いイメージを持たれやすいですが、従業員が働きやすいように、事務所の環境整備にも注力しています。
「お客様と一生のつながりを」社名に込めた深い想い
ーー社名にはどんな由来がありますか
伊藤博昭:
「イトコー」という社名には「従兄弟のような親しい関係をお客様と築きたい」という思いを込めています。家を建てることは、お客様にとって一生に一度あるかないかの大きなイベントです。私たちは、お客様が家を建てたら終わりではなく、その後も親戚のような温かな関係を続けていきたいと考えています。
実際に、家を建てたお客様のお子様世代からもご依頼をいただくことがあり、世代を超えて信頼を築けていることに深く感謝しています。また、取引先企業の社長がプライベートの住宅を依頼してくださることもあり、こうした「つながり」が次のビジネスをもたらしていると実感しています。
「自然素材×地域密着」地域の風土を活かした家づくりへのこだわり
ーー貴社の事業の特徴や強みについて教えてください
伊藤博昭:
私たちは、注文住宅・分譲住宅・リノベーション・施設建築の設計施工まで、幅広く手掛けています。特に、地域に根差した家づくりと、自然素材を活用した心地良い空間づくりに力を入れています。地元の気候風土に合った設計や、県産材の使用を重視し、地域に密着したものづくりを心掛けていることが特徴です。
また、創業から75年を超える歴史があり、お客様、スタッフ、地域の方々との長い信頼関係を築いてきたことが私たちの強みです。引き渡し後も定期的な点検やアフターサービスを行い、住まいが永く快適であるようサポートを続けています。
住まいは建てて終わりではなく、その後のメンテナンスや家族のライフスタイルに合わせた改善も重要だと考えています。
地域とともに進化する事業展開で、新しい価値を創造する
ーー今後のビジョンはどのようにお考えですか?
伊藤博昭:
弊社は「地域のライフスタイルに関わるお役立ち企業」を目指しています。住まいづくりを軸としつつ、地域の方々の暮らしに寄り添い、さまざまな分野でお役に立てる企業でありたいと考えています。
具体的には、古家をリノベーションしたコワーキングスペースの運営や、地域の公園の再整備プロジェクト、地元の魅力を発信するフリーペーパーの発行など、住まいに留まらない取り組みを進めています。
将来的には、地域の食や農業、福祉、子育てなど、人々の生活に関わる分野にも事業を広げ、より多くの方に弊社を身近に感じていただける存在になりたいですね。
また、木造建築や自然素材の活用など、得意分野をさらに強化し、他社にはない独自の価値を提供し続け、地域に必要とされる企業であり続けることが私たちの目標です。
地域とともに進化する事業展開で、新しい価値を創造する
ーー今後のビジョンはどのようにお考えですか?
伊藤博昭:
弊社は「地域のライフスタイルに関わるお役立ち企業」を目指しています。住まいづくりを軸としつつ、地域の方々の暮らしに寄り添い、さまざまな分野でお役に立てる企業でありたいと考えています。
具体的には、古家をリノベーションしたコワーキングスペースの運営や、地域の公園の再整備プロジェクト、地元の魅力を発信するフリーペーパーの発行など、住まいに留まらない取り組みを進めています。
将来的には、地域の食や農業、福祉、子育てなど、人々の生活に関わる分野にも事業を広げ、より多くの方に弊社を身近に感じていただける存在になりたいですね。
また、木造建築や自然素材の活用など、得意分野をさらに強化し、他社にはない独自の価値を提供し続け、地域に必要とされる企業であり続けることが私たちの目標です。
編集後記
伊藤社長が大切にしている「つながり」という言葉には、同社の強みや独自性が凝縮されているように感じた。お客様や取引先企業とも親戚付き合いのような長期的な関係を築きたいという思いは、長期的な視点に立った経営姿勢の表れだと言えるだろう。コワーキングスペースの運営や地域の公園の再整備など、住まいづくりという本業を軸としつつ、地域の暮らしに密着したさまざまな取り組みに今後も注目したい。
伊藤博昭/1981年愛知県生まれ、名城大学卒。家業の工務店を継ぎ、2020年に3代目の代表取締役として就任。