※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

美容医療業界には、技術の進化とともに多様化するニーズに応える新しい治療法や経営手法が求められている。その中で「東京美容外科」を率いる麻生泰氏は、痛みの少ない日帰り可能な豊胸手術など、革新的な技術を次々と生み出し、業界をリードする存在だ。2003年の開業以来、20年以上にわたり業界に貢献し、現在では110以上のクリニックを展開。

さらに、国内外での講演やYouTube「ドクターA」チャンネルでの発信を通じて、幅広い分野でその名を知られている。今回のインタビューでは、麻生理事長に起業までの経緯、美容整形に対する思い、そして今後のビジョンについて、詳しくお話をうかがった。

逆境からのスタート 倒産、夜逃げ、そして美容外科の道へ

ーーまず、起業に至る経緯をお聞かせください。

麻生泰:
私の経歴は少し異色です。もともと美容外科に興味があったわけではなく、医師として岡山大学病院に勤務していました。将来は教授を目指すか、堅実なキャリアを築こうと考えていました。ところが、家族の会社が倒産し、夜逃げ同然の生活を余儀なくされたのです。それが転機となり、家族を支えるために高収入を得る手段として美容外科に飛び込むことにしたのです。

ーー美容外科に飛び込んだときの心境や現在の思いについてお聞かせください。

麻生泰:
当初は技術さえあれば患者さんが増えるだろうと思っていましたが、実際はそう簡単にはいきませんでした。当時は美容整形を受けたことを隠す風潮が強く、口コミが広がりにくい状況だったのです。また、最初は「お金を稼ぐための仕事」をしている自分を恥じる気持ちがありました。しかし、患者さんから「先生のおかげで人生が変わりました」と感謝の言葉をいただいたときに、これまでの努力が正しかったと確信し、その思いをさらに深めました。

美容外科医は医師でもあり、芸術家すなわちアーティストでもあるべきだと考えています。「過去は変えられない。でも、未来は変えられる。」というメッセージのもと、患者さんの「美しくなりたい」という思いに応えるため、一人ひとりの患者さんに最適な医療を、安全に提供するために、全力で業務に向き合っています。

美容医療の将来とグローバルな展望

ーー現在の日本の美容医療について、どのようにお考えですか?

麻生泰:
美容医療と言えば、韓国が注目されがちですが、日本の技術もそれらに劣らない精度と緻密さを持っています。日本人の手先の器用さや細やかな治療技術は大きな強みであり、私たちは常に最高の結果を追求しています。技術の高さや丁寧さの点で、日本の美容医療は世界的にもっと評価されるべきだと考えています。

また、美容医療をより一般的にしたいという思いがあります。SNSなどで美容整形についてオープンに話す人は増えていますが、国内ではまだ完全な理解や受け入れが進んでいるとは言えません。今後、美容医療がさらに普及し、多くの人が安心して施術を受けられる環境を整えることが重要だと感じています。そのために、講演活動や学会発表なども積極的に行っています。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

麻生泰:
私たちは、今後5年、10年先を見据え、国内外から患者が集まるクリニックを目指しています。国内ではすでに多くの地域にクリニックを展開していますが、今後はインバウンド需要に応え、海外からの患者にも満足していただける体制を強化する予定です。日本の美容医療を世界に発信することで、世界的な認知を高め、アジア全域や欧米など、多くの国から安心して訪れていただけるクリニックを築いていきたいと考えています。

経営の哲学 「情」で支えるスタッフと患者

ーー経営において「情を大切にしている」とのことですが、その哲学を教えていただけますか?

麻生泰:
私の経営スタイルは「情」に基づいています。ビジネスにおいて数字や効率はもちろん重要ですが、それ以上に大事なのは「人を大切にすること」です。スタッフ一人ひとりが気持ちよく働ける環境を整え、彼らが患者さんに心からのサービスを提供できるようにすることが、結果的に成功につながると信じています。

ーー「情」を重視する経営によって、どのような成果が得られましたか?

麻生泰:
スタッフは私を信じて全力で支えてくれています。「麻生先生を成功させたい」という思いを持って働いてくれる姿に、心から感謝しています。美容外科業界は競争が激しく、患者さんも多くの情報を手に入れやすい時代です。その中で、私たちが選ばれる理由の一つは、技術力の高さだけでなく、スタッフとの信頼関係や人間性が高く評価されていることにあると実感しています。

編集後記

インタビューを通じて、美容医療に対する麻生理事長の深い情熱と、経営者としての人間味あふれる姿勢が強く感じられた。「情」を重んじる経営哲学が、スタッフや患者との強固な信頼関係を築き、業界での成功を支える重要な要素となっているのだろう。今後、麻生理事長が日本の美容医療をどのように世界に広めていくのか、その展望に大いに期待したい。

麻生泰/1972年、大阪府生まれ。2003年に東京美容外科の前身である学園前美容外科を奈良県で開業し、開業医としてのキャリアをスタート。2004年に東京美容外科の1号院を開院し、系列院は110院を超える。痛みの少ない「日帰り可能な豊胸手術」を開発し、豊胸手術のパイオニアとして学会での発表や、海外講演を多数行う。慶應義塾大学医学部大学院にて医学博士号を取得し、現在は医療法人社団東美会 理事長 兼 東京美容外科 統括院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師を務める。YouTuberとしても活動しており、YouTube「ドクターA」チャンネルは登録者数20万人を突破。