語学留学市場は長らく、コストの高さや手続きの煩雑さといった課題が存在し、一部の人々しか利用できないという状況が続いてきた。そんな中、株式会社リアブロードが提供する「スマ留(スマリュウ)」はシェアリングエコノミーの概念を活用し、リーズナブルな留学サービスで業界に革新をもたらしている。
スマ留は世界100ヶ国以上にわたる海外ネットワークを基盤に、安心できるサポート体制を誇り、留学業界で利用者数・認知度ともにトップクラスの地位を築いている。今回は、代表取締役社長の神田慎氏に、起業のきっかけ、ビジネスモデルの成功要因、そして今後の展望についてうかがった。
世界一周の旅が生んだ「スマ留」誕生のきっかけ
ーー起業のきっかけと、社長になるまでの経緯をお聞かせください。
神田慎:
私は26歳から31歳まで、営業や新規事業の立ち上げに関わっていました。仕事中心の生活が続いたため、退職後に新しい視点を得ようと、世界一周の旅に出る決意をしたのです。ところが、最初の訪問地であったオーストラリアのメルボルンで前職の同僚と偶然再会しました。彼は語学留学中で、その学校での経験を語る彼の様子に触発され、私も体験させてもらうことにしました。
初めての語学学校体験は新鮮で楽しかったのですが、ビジネスマンの視点で気づいたことがあります。時間帯による、学校の稼働率の差です。朝の9時には生徒や教室が活発に動いているのに対し、午後や夕方の時間帯になると空き教室が増え、教師が待機している状況も見受けられました。この「空き時間」を有効に使えば、もっと多くの留学生を集められ、コストも抑えられるのではないかと思いついたのです。
翌日からメルボルンの語学学校を1日に10件近く訪問し、空き時間の活用について提案を続けました。さらに、シドニーやゴールドコーストの語学学校にもアプローチをかけ、スマ留のサービスの原型ができあがったのです。世界一周の旅は中断して日本に戻り、本格的に起業に乗り出すことを決意しました。気づけば、休んだのはわずか3日だけでした。
留学が変わる時代 「スマ留」が実現する新しい留学支援
ーー「スマ留」とは、どのようなシステムなのですか?
神田慎:
「スマ留」は、「留学をもっと手軽に、もっと身近に」を掲げた留学支援サービスです。通常の留学プランでは語学学校の通常料金でプログラムが提供されますが、スマ留では語学学校の空き時間や空き教室を活用することで、留学費用を最大半額まで抑えられるのです。
これは、シェアリングエコノミーの発想を取り入れ、海外の語学学校の稼働率が低い時間帯に弊社の留学生を紹介することで、学校側の収益性を高めるという仕組みです。この独自のモデルにより、留学コストを大幅に削減することに成功しました。私たちは、このような革新的な仕組みを通じ、留学を希望する方々が費用の負担を感じずに一歩を踏み出せるようにサポートしています。
ーースマ留の特長や強みを教えてください。
神田慎:
スマ留の最大の強みは、コストパフォーマンスの高さです。一般的な留学サービスでは現地通貨のレートに左右されるリスクがありますが、スマ留では日本円での明確な料金設定を採用しています。円安など為替の影響を受けずに、留学費用を安定させられるため、利用者に安心してご利用いただけます。
さらに、充実したサポート体制も魅力で、現地での生活に不安を感じる方でも安心して利用していただけるように、スマ留専用の学生寮(レジデンス)をアメリカ、カナダ、フィリピン、オーストラリアなどの主要な留学先に設置しています。現地での住居手配をスムーズに行うことができ、生活のスタートを万全にサポートします。スマ留では、留学準備から現地支援まで一貫したサポートで皆様の留学体験を支えています。
利用者である学生や社会人の方々から、「留学が身近になった」との感謝の声が多く届いています。留学がキャリア形成に与えるポジティブな影響を実感するたびに、私たちは大きなやりがいを感じています。
未来を広げる革新へ 若手の成長を支える社風
ーー現在、留学業界全体が抱える課題について、どのようにお考えですか?
神田慎:
留学業界は今、変革期にあります。円安やコロナ禍を経て、留学への需要と期待が多様化しており、私たち「スマ留」はこの動きに対応し、業界を活性化させたいと考えています。留学は若者のキャリアにおいて、大変貴重な経験や視野を広げる機会です。
日本人留学生が約15万人にとどまる現状を打破し、誰もが留学を選べる環境を整えたいと強く思っています。課題は多いものの、留学をより身近で価値あるものにするため、業界全体の底上げを図り、革新的なサービスを提供していきます。
ーー今後、どのように事業を展開していきますか?
神田慎:
今後は、業界初のオンライン完結型サービス「warple(ワープル)」を本格的に展開していきます。これにより、カウンセリングから学校選定、ビザサポート、宿泊手配、支払いまで、すべての手続きをスマートフォンで完結できるようになります。
このサービスにより、留学にかかる時間的・経済的負担を軽減し、誰もが手軽に留学に挑戦できる環境を整えます。また、日本国内だけでなく、アジアやヨーロッパ市場にも進出し、グローバルな選択肢をさらに広げていく計画です。
ーー最後に、貴社の社風や社員への思いをお聞かせください。
神田慎:
リアブロードでは「みんなの成長をつくる」という理念を大切にし、社員一人ひとりの成長を全力で支援しています。新しい挑戦を奨励する社風があり、入社間もない社員も積極的に挑戦できる環境です。たとえ失敗しても、それを前向きな経験として捉え、「まずはやってみよう!」という姿勢を重視しています。
社員の平均年齢は26歳と成長意欲の高い若手が多く、今年も新卒採用を進めています。社員が安心して自分の目標に挑戦できる場を提供したいと考えています。
編集後記
インタビューを通じて「スマ留」が提供する革新的な語学留学スタイルが鮮明に伝わってきた。神田社長の柔軟な発想と実行力が、留学をより身近なものに変える大きな推進力となっている。またリアブロードの社風や従業員の成長を重視する姿勢も、企業としての大きな強みだ。今後も「スマ留」と株式会社リアブロードのさらなる発展が楽しみだ。
神田慎/26歳から約5年間、新規事業の立ち上げや現場責任者を担当。31歳で世界一周の旅を決意するも、最初の訪問地だったオーストラリアのメルボルンで語学留学に興味を持ち、ビジネスの提案を始める。2014年、株式会社リアブロードを設立し、現在はリーズナブルな留学サービスを提供する「スマ留」を中心に事業を展開している。