※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

日本初・日本一のマンガ制作実績を誇る株式会社トレンド・プロ。マンガ制作のプロが集まる同社を牽引しているのが、代表取締役の岡崎寛之氏だ。

岡崎社長は、2020年の代表就任からさまざまな社内改革に取り組んでいる。その1つが、社員の評価制度を個人評価からチーム評価に変えたことだ。この社内改革により、売り上げは前年比130%ほどになったという。同社が業界内で成果を出し続けている理由に迫った。

マンガ制作だけでなく、その上流工程のコンサルティングも行えるのが強み

ーー貴社の事業内容を教えてください。

岡崎寛之:
弊社は、マンガを起点に企業をトータルプロデュースする会社です。企業の課題解決に向けてマンガの企画や運営を行っており、主に4つの事業を手がけています。

1つ目はマンガを通して商品をPRする広告事業、2つ目はマンガを通して企業の社内コミュニケーションを活性化させる事業です。2つ目の事業は、会社のビジョンやミッションを社内に浸透させるために、弊社が制作するマンガをお客様に活用してもらうというものです。

3つ目は、マンガを採用活動の場で使ってもらう事業。そして4つ目が、『コミック版 ザ・ゴール』や『伝え方が9割』などの人気ビジネス本を漫画化する事業です。

私たちは非常にニッチな業界でビジネスを展開しており、業界内でも経験と実績が豊富、かつ顧客に寄り添う企業として信頼されています。取引先は大企業が多いですが、中小から大手まで幅広く支援しています。

ーー貴社と競合他社の違いはどのような点にありますか。

岡崎寛之:
弊社はマンガを制作してただ提供しているのではなく、その2段階上の上流工程から手がけています。この点が、競合他社との大きな違いです。

たとえばお客様から、「社内報に掲載するマンガを制作してほしい」と依頼された場合、社内報を担当している方のミッション、その上司の意向、1年間で達成したい目標など、担当者の状況を全て把握します。

そのうえで適切な選択肢を提案するといったコミュニケーションを心がけています。マンガ制作に留まらない、いわゆるコンサルティングの役割も果たしています。

提案営業や広告企画制作、人材コンサルなど多様な経験を活かす

ーー今後の注力テーマを教えてください。

岡崎寛之:
主に3つあります。1つ目は、弊社のサービスやマンガ自体に価値を感じていない人たちにも、弊社の事業に共感してもらうことです。そのために、今後は展示会やウェビナーへ積極的に参加しようと考えています。

2つ目は、上流工程への提案の強化です。マンガを制作するだけでなく、マンガをきっかけにお客様の抱えている課題を解決できるような提案をより一層心がけていきます。提案の数を増やすのはもちろん、提案内容の正確性にもよりこだわっていきたいです。

そして3つ目が、管理部門の強化です。会社の更なる成長のためには、管理部門の意識を変えることが重要であると考え、私自身もマネジメントの研修を受けるといったことを始めています。

ーー貴社ではどのような人材が活躍できますか。

岡崎寛之:
プロデューサーやプロジェクトディレクターの仕事は、営業経験がある人が活躍しやすいです。また、広告やクリエイティブの知見を活かしたい方も、弊社で活躍しやすいです。提案営業や広告企画制作、人材コンサルティングの経験がある人などが向いていると思います。

今後は新卒採用を再開する話が出ていますが、新卒に関してはスキルの有無よりも、変化に柔軟に対応できる人材かどうかを重視しています。

今後は「ハラオチ」して幸福感を得る経験を広めていきたい

ーー今後の展望をお願いします。

岡崎寛之:
弊社は、「ハラオチ」する経験の創出に取り組んでいます。「ハラオチ」とは、頭で理解した内容を感覚的・感情的に深く受け入れ、自分の中で消化できた状態のことです。「ハラオチ」して自ら行動するから人々は幸福感を得ることができます。私たちはこの「ハラオチ」できる体験をいろいろな場所に広めたいと思っています。

そのための施策も兼ねて今年8月、社内広報(インターナルコミュニケーション)のコンサルティングを約40年間行なっているグラスルーツ社を買収しました。

私たちだけではどうしてもマンガを中心とした提案になってしまうので、企画制作を得意とする弊社と、社内広報を強みとする同社が協力し、「ハラオチできる提案」をより一層進めていきたいです。

また、マンガ制作という切り口での問い合わせや依頼が現在は大半なので、今後は「ハラオチさせてくれるプロ」など、マンガとはまた別の方面でのブランド力を高めていきたいと考えています。

編集後記

代表就任からわずか4年間で、社会改革やグラスルーツ社の買収など多くの挑戦をしている岡崎代表。自身が挑戦するだけでなく、失敗が許容される社内環境の構築に務めるなど、社員たちの挑戦を後押しする仕組みづくりにも注力している。

マンガを起点にさまざまな取り組みを行う同社が、今後どのようなサービスを新たに始めるのか。挑戦を続ける岡崎社長、そしてトレンド・プロの今後が楽しみだ。

岡崎寛之/2014年株式会社クロス・マーケティンググループに入社。企業の事業意思決定を支援する市場調査を提案・実施。その結果をもとに今後の方向性を指し示すコンサルティング業務や、海外に本格参入するメーカーとともにアジア・欧米などを回り、消費者理解から流通提案などを経験。2018年に株式会社トレンド・プロに入社し、人財開発部部長を経て2019年に副社長に就任。2020年に代表取締役社長に就任。