※本ページ内の情報は2024年12月時点のものです。

リーダーシップ・キャリア開発をテーマに、企業内研修を中心としたHRソリューションを提供する株式会社シェイク。公式サイトには「シェアド・リーダーシップ」という、あまり聞き慣れない言葉も並ぶ。どのような理念のもと、どのようなサービスを提供しているのか。同社代表取締役社長の吉田実氏に話をうかがった。

「笑顔でも、目が笑っていないですね」部下からの指摘で見えたマネジメントのあり方

ーー社長になるまでの経緯を教えてください。

吉田実:
2003年に株式会社シェイクに入社しました。創業者である大学の先輩から誘われた際、当時働いていた大企業での安定した環境よりも、自分で道を切りひらいていく環境に魅力を感じたのが理由です。会社は設立から3年経ち、ちょうど事業の転換期を迎えていました。私は3人目の社員として、創業から深くかかわっているという感覚でしたね。

その後、創業者はゼロから新たに事業を立ち上げることに情熱を注ぎ続け、2009年に弊社を離れる意思を固めました。後継者が決まっていなかった中で、私は自ら名乗りを上げました。

ーー働く上で大切にしていることは何ですか?

吉田実:
人を大切にすることです。「イキイキと働く人が1人でも多く増えてほしい」をミッションとして人材育成の業務を行っているので、自社の社員にもイキイキと働いてほしいと願っています。そのためには、マネジメントがしっかり機能していることが大切です。

実は社長になる前、頑張って笑顔でいても部下が定着せず、悩んでいた時期がありました。そんなとき「吉田さんって、顔は笑っているけれど、目は笑っていないですよね」と言われたのです。この言葉をきっかけに、働く上での軸や、マネジメントのあり方についても考えを新たにしました。

リーダーシップとは「想い×実現力」によって働く力を引き出すアプローチ

ーー事業の特徴と強みをお聞かせください。

吉田実:
弊社は企業内研修の提供を通して、社員が活力を持って働くことを支援しています。社員が活力を持つことは、組織の課題解決に直結するという考えのもと、組織課題や将来像をともに明確にし、必要な研修を一緒に考える「パートナーシップ型支援」が弊社の特徴です。

特に大手企業との豊富な経験から、大手企業特有の課題に対する知見を蓄積しています。さらに、弊社が提供する研修は、リーダーシップ、キャリア自律、シェアド・リーダーシップを3つの柱とし、著名な専門家のサポートを受けて構築された専門性の高いプログラムであることが、選ばれる理由の1つです。

ーー3つの柱のテーマについて、詳しく教えてください。

吉田実:
弊社の定義では、リーダーシップとは、「想い×実現力」、つまり「こうしたい」「こう変えたい」という個々の想いを周囲に伝え、実現していく力です。このリーダーシップは管理職に限らず、社員全員が発揮すべきものであり、「自分を動かす原動力」を見出すことがリーダーシップ開発の根幹であると考えています。

一方、自分の想いや興味に基づいて、自発的に学び、自らのキャリアを構築する力が「キャリア自律」です。全員がリーダーシップとキャリア自律を持つ人材があふれる組織がシェアド・リーダーシップの理想です。シェアド・リーダーシップを中心に置いた研修では、そうした組織をつくるためのマネジメントについて扱います。

ーー今後、どのような取り組みを行っていきますか?

吉田実:
今、企業の困りごとに変化が起きていると感じています。具体的には、社員のやる気を引き出せない、管理職のなり手が少ない、新たな価値を生み出せないといったような課題です。従来のマネジメントでは、これらの課題に対する解決策が見つからない企業が増えています。その新しい課題に対して、弊社の3つの柱が役立ちます。

今こそ、この専門性とパートナーシップの両軸を活かし、新たな顧客とのパートナーシップを築きながら、既存顧客に対しても状況に応じた支援を提供していきたいですね。また、3つの柱の各領域で新サービスの開発も進めていく予定です。

理想は誰もがリーダーシップを発揮できる社会

ーー就職・転職を考える方へのアピール、採用したい人材像を教えてください。

吉田実:
弊社では、専門家の支援を受けつつも、研修プログラムは社員が開発しています。プログラム作成、ファシリテーター(講師)としての役割、ソリューション型営業まで、社員が自らの力で成長し、主導的に進めているのです。

社歴が浅い社員でも、プログラム開発やファシリテーターとしての役割を本格的に担える点は、業界内では珍しいかもしれません。OJT(業務内研修)とOff-JT(職場外研修)を組み合わせ、効果的に学べる体制を構築しています。

採用のポイントは、何よりも経営理念への共感と価値観の一致が重要です。スキルや知識は学びによって補えるため、大切なのはその人の動機や熱意が、会社の目指す方向性と重なるかどうかです。中途採用においても、人材育成分野での経験の有無は問いませんので、異なる業界から来る人も少なくありません。

ーー3年後・5年後の目標、長期的ビジョンはそれぞれどのようなものですか?

吉田実:
長期的なビジョンは、誰もがリーダーシップを発揮できる社会を実現することです。そのため、まずは3年後を目標に、誰もがリーダーシップを発揮できる組織づくりに力を入れています。それ以降は「イキイキデザインカンパニー」として、組織づくりを超えた、新しい事業展開も考えています。イキイキ働く人があふれるというゴールへのアプローチは、企業内研修に限られるものではないからです。

編集後記

イキイキという言葉を何度も用いて、文字通りイキイキと話す吉田社長。「目は笑っていない」時代があったとは想像できない今の姿は、新たな軸を定め、自らの想いを実現する道を自律的に選んで来たからこそだろう。

そして、シェアド・リーダーシップが実現された株式会社シェイクは、今後も吉田社長のもとで、理想的な個人と組織のあり方を社会に広めていくと確信できる。同社の未来だけでなく、同社が切りひらく未来の社会がどのようになるのかも楽しみだ。

吉田実/滋賀県生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。住友商事株式会社にて、携帯電話の資機材調達SCM事業に従事した後、通信機器の営業に約7年従事。2003年株式会社シェイクに3人目の社員として入社。人材育成事業を立ち上げ、営業統括責任者・ファシリテーターとして組織拡大に貢献。2009年代表取締役社長に就任。