プレスリリースに頼らず、企画書と対面営業を軸とした独自のPR手法で、1,600社以上の企業の成長を支援してきた株式会社LITA。その圧倒的な実績と、これまでに約2,000人の卒業生を輩出したPR塾での教育ノウハウを武器に、急成長を遂げている。社会課題解決への情熱を原動力に、次世代のPRの形を創造し続けるCEOの笹木郁乃氏に話をうかがった。
やりがいと働き方を模索し転職・独立
ーーこの活動を始めるに至った経緯を教えてください。
笹木郁乃:
就職活動中は、大学での学びを活かせる業種を探し、工学部の知識を活かし、大手自動車部品メーカーに、設計エンジニアとして入社しました。しかし、実際に入社してみると、大学の学びと実際の研究職に求められるスキルの差に愕然とし、再びキャリアについて考え直すようになりました。
そうして将来のキャリアについて真剣に考えたときに、幼少期に交通事故で生死を彷徨う経験をしたことが思い浮かんだのです。せっかく生きているのだから自分の可能性に挑戦したいと思い、転職を決意しました。
独立を考えたのは、3社目となるベンチャー企業で働いていたときです。当時は仕事中心の生活で、子どもとの時間がほとんどとれていませんでした。短期間ならばなんとか踏ん張ることもできたと思いますが、この先ずっとこの条件で、子育てしながら働き続けるのは現実的であるとは思えませんでした。そこで、2016年にフリーランスとして独立して、2017年に法人化しました。
前職で培ったノウハウをもとにPR代行事業をスタート
ーーなぜ、PR代行の事業をしようと思ったのですか?
笹木郁乃:
最初の転職で寝具メーカーに入社が決まったとき、「この会社を日本一のマットレス会社にしたい」という思いを持っていました。それを実現するべくいろんな施策に挑戦した中で、一番効果を感じた施策がメディアへのPR活動だったのです。
さまざまなメディアに足を運びプレゼンを重ねていくうちに、次第に「面白い商品ですね」と取り上げてもらえるようになりました。初めて結果が出たときは、自分が動くことで多くの人に商品を知ってもらえるんだと、とても嬉しかったですね。そこからPRに面白さややりがいを感じるようになり「社会に役立つ商品をもっと世の中に広めて、その会社を大きくすることに貢献したい」と感じるようになっていきました。
ーー具体的には、どんなサービスを提供していますか?
笹木郁乃:
私たちが企業に代わって広報活動をし、認知度を高めて売り上げの拡大や採用につなげる支援をしています。業種や会社の規模を問わず幅広くお取引していて、これまで1,600社以上との契約実績があります。私たちの強みは、シンプルに「結果を出す」というところですね。
ーー結果を出すために、どのようなことにこだわっていますか?
笹木郁乃:
2つあります。1つはプレスリリースを使わないこと。売り上げにつなげるには会社の魅力やストーリーを、特集として紹介してもらう必要があります。そのためにはプレスリリースではなく、社長や会社のブランドを好きになってもらうための「企画書」をつくる方が効果的なのです。
もう1つが、その企画書をメディアに送るときに一斉配信をしないこと。メールやDMを送りっぱなしにせず、必ず対面か電話で個別にお話をします。この2つを徹底することで、会社の規模に関わらず多くの取材を受けるなど、露出の機会を獲得できています。
ーーもう1つの事業である「PR塾」についても教えてください。
笹木郁乃:
「PR塾」とは、1年間を通じてPRについて学べるオンラインスクールです。ありがたいことにSNSなどで口コミが広まり、現在では2,000人弱の卒業生を送り出すことができています。生徒さんは、第2のキャリアのためにPRを学びたいという40代・50代の方が多いのですが、努力して新しいことをマスターし、自立されていく姿に私も感激しますね。
「情熱」と「行動」がキャリア形成の鍵
ーー今後の展望をお聞かせください。
笹木郁乃:
社会課題をPRで解決できる、日本一の会社を目指しています。PRを通じて、日本全国の企業の可能性を広げることで、地方創生や中小企業の倒産防止、雇用創出など、多様な展望が見込まれると考えています。日本全国の会社を元気にするためには、規模としても日本一のPR会社にならないといけません。その過程として、上場も視野に入れています。
ーー貴社ではどういった人材が活躍していますか?
笹木郁乃:
弊社にはこれまで8年間スクールを運営してきたノウハウがあるため、業界でも指折りの「教育力」があると自負しています。そのため、未経験でもお客さまに貢献したい、社会課題を解決したいという気持ちと行動力がある人が、リーダーや責任者になって活躍してくれています。
皆さまには、自分が本当にやりたいと思えることに挑戦してほしいと願っています。やりたいことが見つからない場合には、自分がこれまで何に情熱を持って、どんなときに頑張ったかというところに答えがあると思います。築いてきたキャリアが一度崩れる覚悟を持ってでも、多様な挑戦を重ねることで、自分が夢中になれる道を見つけてほしいです。
編集後記
幼少期の命の危機、自動車メーカーから寝具メーカーへの転身、育児との両立など、幾度となく人生の岐路に立つ中で、常に自分の情熱に向き合ってきた笹木社長。その情熱を追求する姿勢が、独自のPR手法の確立やPR塾での人材育成、そして社会課題解決への挑戦につながっているのだろう。「やりたいことへの情熱」を軸に人生を切り拓いてきた笹木社長の言葉には、確かな重みがあった。
笹木郁乃/宮城県仙台市生まれ、山形大学工学部機械システム科を首席で卒業。アイシン精機で自動車開発に従事した後、株式会社エアウィーヴに転職。広報として年商1億円から115億円への成長に貢献。その後、愛知ドビーでバーミキュラのブランド向上に尽力。現在は企業をPRで支援する事業やPR塾を運営。1,600社以上を支援し、8,000名以上の起業家を支援・育成した実績を持つ。PRの力で社会課題の解決に挑んでいる。