※本ページ内の情報は2025年1月時点のものです。

建設現場での資材運搬を主軸に、人材派遣やマンション運営、飲食、農業といった多角的な事業を展開する、株式会社MMSホールディングス。同社を率いる代表取締役の小林毅圭也氏は、28歳という若さで創業し、新たな事業を生み出しながら会社を成長させてきた。小林社長の挑戦の軌跡と経営者の信念、そして未来への展望に迫る。

「まずは行動する」の精神で、資材運搬から始めた事業をグループ会社にまで拡大

ーー小林社長の経歴や、貴社が現在の規模まで成長した経緯をお聞かせください。

小林毅圭也:
弊社は、私が29歳のときに設立した株式会社マグナムメイド・京都を前身とする会社です。創業のきっかけは、大阪で資材運搬サービスを目にしたことです。当時、私は建設業界にはいませんでしたが、資材運搬サービスに、職人の高齢化や人手不足といった問題を解決できる可能性を感じて異業種に挑戦することを決意しました。

創業以降は、地道かつ真摯に現場をこなしていくことで、着実に成長しました。リーマン・ショックの影響で売上が半減しましたが、それ以降は売上を伸ばし続けています。現在は、北海道エリアから九州・沖縄エリアまで対応可能です。

その後、2021年にグループの再編を行い、資材運搬事業を、グループ会社であるマグナムメイドサービスへ移管。MMSホールディングスへと名前を変えた弊社は、グループ会社の管理やグループ社員の福利厚生などを担当するようになり、現在に至っています。

ーー貴社を経営する中で、特に大変だったことは何ですか?

小林毅圭也:
いわゆる隙間産業だったため、当初は認知度を高めることが大変でした。とにかく多くの現場をまわり、実際に使ってもらってサービスを知ってもらうという地道な作業を10年以上も続け、やっと本格的に知られるようになりました。

重視したのは、何よりも実際に試していただくことです。一度でも便利に感じていただければ、運搬業務を任せていただきやすくなります。そうしてリピーターを増やしながら、少しずつ規模を拡大してきました。

社員の生活や自己実現のために情熱を注ぐ

ーー貴社の事業内容を教えてください。

小林毅圭也:
グループのメイン事業は、「マグナムメイドサービス」が行っている資材運搬サービスです。このサービスは、弊社の専門スタッフが、現場の職人に代わって資材運搬を行うもので、専門的なノウハウにより効率化も実現できます。たとえば、通常1日かけて行う作業が半日で完了するといったことですね。

また、もう1つのグループ会社である「マグナムメイドスタッフィング」では、人材派遣事業を手がけています。主な事業は、施工管理技術者や現場事務スタッフ、製造業のノウハウを持ったスタッフなどの派遣です。

さらに、「MMSホールディングス」では、社員たちの住居を確保するための賃貸マンションの運営や、社員食堂の構想からスタートしたラーメン店「めんきや」の運営、ラーメン店でも使っているお米を京都府の丹波高原で生産している「MMSファーム」などを行っています。

中でもラーメン店は「毎日食べられるおいしいラーメン」をコンセプトに、私が監修してメニューを開発しました。従業員たちもオリジナルの裏メニューセットを作ってもらったりして頻繁に利用しています。

ーー貴社独自の強みは何でしょうか。

小林毅圭也:
ライフスタイルの変化に合わせて最適な働き方が選べることです。正社員でも週3日、1日4時間から働くことができ、配属先も建設現場、製造現場、オフィス、飲食店、農業など多様な職種から選択できます。

弊社では「人こそが最大の資本」という考えを大切にしています。だからこそ、健やかに働きながら、自己実現も達成できる環境を社員に用意したいのです。社内には、油絵を描いている社員や漫画家を目指している社員もおり、私も今年、創業30周年を記念してCDでメジャーデビューを果たしました。弊社が社員たちにとって、自由で自分のためになる場所であってくれればうれしい限りですね。

また、「建設現場の資材運搬」というニッチな分野でポジションを確立していることも大きな強みです。業界で進む職人の高齢化や人材不足を考えると、同サービスの重要度はさらに増すと考えられるため、事業の将来性が見込める点も強みといえるでしょう。

「社会と社員の両方に貢献できる会社」を目指し、建設業の未来の創造に取り組む

ーー今後の目標や、特に注力したいテーマを教えてください。

小林毅圭也:
将来的には株式の上場を達成して、企業としての信頼性をさらに高めることを視野に入れています。ただ、これは通過点であり、真の目的は「社会的な意義」と「働きやすさ」を両立した企業を目指すことです。

そのための注力テーマとしては、次世代リーダーの育成、管理部門の体制強化、そして採用活動の拡充が挙げられます。現在の建設業界は人手不足が深刻で、特に次世代に魅力を伝えることが課題であるため、柔軟な働き方を提案しつつ、業界の未来を一緒に創る仲間を増やしていきたいと考えています。

編集後記

建設現場での資材運搬という現場工程の最適化による社会貢献と社員への貢献を両立するMMSホールディングス。同社の根底には、社会や社員を幸せにするための、具体的な配慮の姿勢があると感じた。

小林社長が掲げる「まずは行動する」という信念のもと、事業と社員の幸福を両立させる同社の挑戦は、これからの時代に求められる働き方のロールモデルになり得るのではないだろうか。同社がどのような組織に発展していくのか、その可能性に期待が膨らむばかりだ。

小林毅圭也/1965年、滋賀県生まれ。1994年に建設現場での資材運搬を主な事業とする株式会社マグナムメイド・京都(現:株式会社MMSホールディングス)を創業。資材運搬事業を株式会社マグナムメイドサービスへ移管し、株式会社マグナムメイドスタッフィングを加えた2社を束ねる、株式会社MMSホールディングスの代表取締役を務める。