※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

働くことや仕事への考え方は人それぞれだ。将来のキャリアパスについても、入社時からビジョンが大きく変わることは珍しくない。社会人経験を通じて価値観が変われば、その後の人生において、本人でさえ想像できなかったような劇的な転換点を迎えることもある。

人材サービスを展開する株式会社ウィルグループの代表取締役社長、角裕一氏も、入社後の経験から仕事観が大きく変わり、今では経営者として、自社サービスの方向性にまで大きな影響を与えている。今回は角氏に、ご自身の経験とそれを踏まえた人材サービスへの取り組みについてお話をうかがった。

成長への渇望が導いた人材業界との出会い

ーー就職活動で、なぜ人材業界を選ばれたのですか?

角裕一:
5年後の独立・起業を前提に、「どの会社であれば最も成長できるか」を最優先に考えて就職先を選んだことが理由です。私にとって仕事とは「幸せになるための手段」です。また、幸せの条件には、お金や地位のみならず、自分を好きになることも入ると思っています。そのためには、心から打ち込める仕事をしなければならないと考えました。

そして、仕事の満足感は「競争で他人に勝つこと」で得られると考え、その頂点である社長を目指すべきだという結論に至ったことから、短期間で成長し、早く社長になれる環境を求めて就職活動に臨んだのです。

職種を選ぶ際に「人のマネジメント」に興味を持ち、1年目から人材マネジメントに関われる人材関連の企業が最適だと判断して、セントメディア(現:ウィルオブ・ワーク)に入社しました。

当時、経営状態は良好とは言えませんでしたが、社内には「ナンバーワンになるんだ」という志を語る社員が多く、その姿勢に深く感銘を受け、「この会社なら大きく成長できる」と確信したことが、入社を決めた理由です。

ーー入社後は、どのような取り組みをされたのですか?

角裕一:
まず行ったのは、アポイントの獲得です。入社後は営業部門に配属されたのですが、5年後の退職を見据えていたため、短期間で成果を上げる必要がありました。そのため、営業手法を工夫してアポイントの獲得率を高めた結果、新人賞を受賞できたのです。その後、新拠点の責任者となり、本社の新卒採用担当を務め、最終的には人事部門の立ち上げにも携わりました。

価値観の転換によって経営理念を確立

ーーキャリアを築く中で、価値観の変化はありましたか?

角裕一:
社会貢献の尊さに気づいたことが、大きな変化ではないかと思います。採用担当を務めていたときの私は「社会貢献したい」と話す学生の言葉に懐疑的でした。しかし、顧客との関わりを通じて「相手の力になりたい」と感じることが増え、その価値を実感するようになったのです。そして、純粋な社会貢献の尊さに気付き、一人での冒険ではなく、仲間とともに挑戦する冒険こそが価値あるものだと考えるようになりました。

その気づきが、冒険をリードする立場として、ウィルグループの社長になりたいという思いにつながりました。また、人々の役に立つ会社づくりと、その理念の継承という強い使命感も生まれたのです。以前の私であれば絶対に考えられないほど、これらは大きな変化だと思います。

ーーグループ経営において、特に重視されていることは何ですか?

角裕一:
グループ各社に「任せる」という姿勢です。グループ経営では、私は各メンバーの担当領域に細かな介入はせず、むしろ意識的にコントロールを手放す経営スタイルをとっています。具体的なアイデアの細部にまで関与するのではなく、大きな方針や施策を描くことが私の役割だと考えているからです。

そのため、完全なトップダウン型の経営は避け、想定外の困難が訪れても乗り越えられるチームをつくるためにも、「任せる」という姿勢が重要だと考えました。任せ方や業務配分のデザインを学び、それを実践するまでには多くの苦労が伴いましたが、その経験を踏まえ、後継者には十分な学びと準備を経てトップに就任してほしいと願っています。

多様なキャリアパスを創出する革新的戦略

ーー貴社の今後の展望について教えてください。

角裕一:
私自身、入社後の経験から考え方を変え、社長になることができたように、誰にでも可能性があると信じています。この「可能性を信じる」という考え方は、私たちの経営理念のひとつにあたります。そして、この考えは、弊社が提供するサービスのコアバリューとしても最適だと確信しています。

私たちはこれまでの直線的なキャリアパス構築に加え、放射状に広がる多様な可能性を見出し、柔軟なキャリア転換を可能にする仕組みの構築を目指しています。「選択肢がないからこの働き方を選ぶ」という現状から脱却し、働く人々が多様な可能性に気づき、新たな選択肢を見出せるようにサポートしていきたいと考えています。

また、海外からの労働者の数は増えていますが、日本語習得のハードルが高いのが現状です。そのため、英語圏など日本以外の国でも働けるルートを整備し、グローバルなキャリアパスを提供することで、働く場所と可能性を世界に広げていきたいと考えています。

ーー貴社に興味がある方へのメッセージをお願いします。

角裕一:
弊社では、新しいメンバーにも挑戦の機会を積極的に提供しています。実力主義の社風ではありますが、「挑戦してみたい」という純粋な意欲を大切にしています。自分の可能性を信じて、新しいことに挑戦したい方にとっては、多くのチャンスがある環境です。ぜひ、一緒に成長していきましょう。

編集後記

人材サービスは利用者の将来に大きく影響するため、他業種以上に人との関わり方を考えなければ優れたサービスを提供できない。角氏は自身の経験から誰もが持っている可能性の価値を重視し、それを生かした人材サービスの提供に尽力している。株式会社ウィルグループが提供するサービスが業界を席捲すれば、人材問題に直面する企業やキャリアパスに悩む人々に多くの恩恵をもたらすだろう。

角裕一/1980年千葉県出身。大学卒業後2003年4月にセントメディア(現:ウィルオブ・ワーク)に入社。2006年に親会社のウィルホールディングス(現:ウィルグループ)に転籍し、人事部の立ち上げを行う。2009年セントメディアフィールドエージェント(現:ウィルオブ・ワーク)に転籍し、同社営業本部長などを歴任後、2019年取締役に就任。2021年ウィルオブ・コンストラクション代表取締役、2022年ウィルグループ取締役を経て2023年代表取締役社長に就任。