【ナレーター】
株式会社LIFULLは、国内最大級の不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」を運営する、プライム上場企業だ。
「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げ、不動産領域にとどまらず、介護や地方創生など多角的にビジネスを展開しており、近年では、AIを活用したサービスの開発・提供にも注力している。
本日は、LIFULLの代表取締役社長、伊東祐司氏に話を伺う。
2006年に新卒で入社。LIFULL HOME'Sの営業職として関西拠点や新規事業の立ち上げを経て、2023年に代表取締役社長に就任した。現在を「第二創業期」と位置づけ、組織の革進を進めている。
AIに力を入れる同社の代表的なプロダクトが「AIホームズくんBETA」だ。LINEアプリを通じて、対話型AIが住み替えの相談に24時間、応じてくれるのだという。
【伊東】
(LINEで)友だち追加いただければすぐ使えるようになっています。
従来の不動産のポータルサイトだと、どうしても賃貸か売買か、エリアから探すか、駅から探すか、そこから条件を入れて絞り込んでいって物件が出てくるという体験だったかと思います。
しかし、AIホームズくんBETAはまさに不動産店の店頭で会話しているかのような形で、条件を入れていただけると、相談をしながら物件の提案を受けられるという新しい体験が可能です。
これまでお考えでなかったエリアや物件の提案を受けられるということで、非常に好評を得ています。
【ナレーター】
AIという最先端技術を推進しながらも、伊東は「ビジョン」と「人」こそが競争力の源泉だと強調する。
しかし、その強い信念の裏には、「毎日泣きそうになりながら、どうやって謝ろうか考えた」という、社長自身が経験した最大の挫折があった。
本編では、その失敗から何を学び、いかに組織を変革したのか。若手ビジネスパーソンが掴むべき「復活の法則」に迫る。
【ナレーター】
伊東が振り返る、最大の転機となったエピソード。それは2016年に立ち上げた新規事業である対面型相談サービス「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」での挫折だった。事業計画は承認されたものの、現実は厳しかったという。
【伊東】
全然、計画通りにいきませんでしたね。
スタッフはロープレや勉強もして、社内テストもつくって、「よし、いつでも来てください」という状態なのに、「あれ、今日営業中だよね?」というところから始まって。
待てど暮らせど一人も来ない、次の日も来ない、翌月も来ない。でも人はどんどん採用してしまっている。「どうしようか」という気持ちはやっぱりありました。
毎日泣きそうになりながら、どうやって謝ろうかなというのを考える日々でした。
【ナレーター】
苦悩の末、伊東は原点へ帰ることを決断した。集客の方法を「インターネット上での訴求ばかり」考えていた当時の思考を改めた。
【伊東】
集客の方法をいろいろ試していこうということになって、オフライン、いわゆる雑誌に広告を出してみたりだとか、当社が雑誌社と提携してタイアップ企画で、住まい探しの雑誌を制作させていただいたりだとか、今までにない広告手法をどんどんトライすることによって、その雑誌を見た方が「こういうのを探しました」と、相談に来ていただけるようになったんです。
「ああ、なるほど」と。それまではインターネット上で訴求する方法ばかり考えていましたが、実際に集客するためには、インターネットだけではなく、いろいろなところに接点を持つことが大事なんだということに気づいんたんです。
そこからPDCAが非常にうまく回って、お客様に来ていただけるようになりました。
【ナレーター】
この失敗からの学びの根底には、新卒時代に経験した関西拠点の立ち上げでのある教訓があった。
【伊東】
売っていくとチームがどんどん盛り上がっていく。みんなで当時メーリングリストで「受注した!」と言って喜び合って、帰ってきたらハイタッチして、「よし、飲みに行くぞ」みたいな、そういう雰囲気だったんですよね。
これがずっと続くのが良かったんですけれど、もちろんそういうわけにもいかず、「あれ?なんか全然売れなくなっちゃった」とか、「大丈夫なのか?」となってくると、「お前、もっと売ってこいよ」とか「お前、なんで提案していないんだよ」といった言葉が出てきて、そうなるとチームの雰囲気がとても悪くなっていって。
そういう経験をした時に、どうやったらチームが売れるようになって、私たちも楽しく仕事できるんだろうかと考えた時に、そういった雰囲気の時こそ、自分たちでポジティブな空気感をつくっていこうと考えました。
「今日の最初のアポイントを誰が取るか競争しようぜ」とか、もしくは「今月この新しい商品、誰が最初に受注するか、これも競争しようぜ」とか、みんなで競い合いながら高め合って雰囲気を変えていこうとしたんです。そうすると雰囲気がどんどん良くなっていって、不思議とまた受注が重なり出したんですよね。
「ああ、そうか」と。いい時に雰囲気がいいのは当たり前で、悪いときこそ自分たちで雰囲気をつくって、それが結果に結びついていくと。先に雰囲気をつくることが大事なんだという気づきがあって、まさに「雰囲気が結果をつくる」という言葉は、今も大事にしています。