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社会全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まる中、株式会社fonfunは革新的なソリューションを提供する存在として注目を集めている。2023年から同社の代表取締役社長を務める水口翼氏は、学生結婚をきっかけに起業し、M&Aや事業再生で数々の実績を上げてきた若き経営者である。
20社以上の企業群を形成するサイブリッジグループの創業者として、そして経営者としても手腕を振るっている。その経営哲学から、今後の展望に至るまでをうかがった。
「学生起業から上場企業の再生へ」経営者としての軌跡
ーー学生時代に起業されたとのことですが、その経緯について教えてください。
水口翼:
大学1年生のときに学生結婚をしたことで、自分が家族を養わなければいけないと思ったのがきっかけです。大学を1年間休学して起業準備を進め、在学中に法人化しました。当時はホームページ制作やシステム開発を主な事業としていました。
ーー就職ではなくインターネット業界で起業を選んだ理由は何ですか?
水口翼:
学業を続けながら家族を養う方法を模索する中で、企業で働くことも考えましたが、誰かの決定に左右される生活を避けたいと思い、「起業」という選択肢にたどり着きました。仮に失敗してもそれが自分の判断の結果であれば納得できると考えて、自宅でもできるWeb制作事業をスタートしたのです。
事業を展開していくうちに、安定した収益モデルが不可欠だと思うようになり、自社メディアやポータルサイトなどの運営を拡大していきました。また、外部資金を調達せず、堅実に事業を成長させる経営を続けました。
ーーfonfunの社長就任に至った経緯を教えてください。
水口翼:
学生時代に起業した会社であるサイブリッジグループでは、M&Aや投資を行っています。上場企業は、株式市場で取引されているため評価が明確ですし、資産として銀行からの評価も得られますが、ベンチャー投資はリターンを得るまでの時間軸が長く、EXIT(IPOや売却)がなければ投資家は利益を得られません。このような理由から、時価総額がベンチャー企業よりも低い上場企業に投資したいと考えていたのです。
そうした中、注目したのが株式会社fonfunです。社外取締役として関わる中で事業再生の可能性を感じたため、自己資金による公開買い付け(TOB)を経て、2023年6月に社長に就任しました。
「誠実であることが信頼を生む」経営者の哲学
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ーー社長就任後、特に意識された点はありますか?
水口翼:
私自身、株主提案を採用してもらえず、株価が思うように上がらないという経験もしてきました。そうした中で「自らリスクを取って成長戦略を実現する」ことの重要性を感じ、fonfunの経営に全力を注ぐ決意をしました。この会社を「株式市場で低く評価されている会社」から「市場で正当に評価される会社」に変えるのが、就任時からの大きな目標です。
ーー経営において大切にされている考えは何ですか?
水口翼:
子どもたちに胸を張れる仕事をすることです。それと同時に、世の中や取引先に対して誠実に向き合うことも重要だと考えています。資本主義社会における商売の本質は、取引を通じてお金という形で対価を得ることですが、一時的な利益だけでなく、長期的に信頼されることを重視しています。
ーーfonfunの事業内容を教えてください。
水口翼:
弊社は、2002年にガラケーでメールが読める「リモートメール」というサービスを主軸に上場した会社です。当時、ガラケーで通常のインターネットメールが閲覧できる技術は画期的でした。しかし、スマートフォンの普及によってリモートメールの需要は減少し、会社としての価値が下がりました。fonfunにとって、この変化に対応することが大きな課題となっていたのです。
課題を乗り越えるため、弊社はここ10年間でスマートフォン時代に合わせたSMS配信サービスを新たな柱として構築してきました。
これらの既存事業に加え、インターネット領域のテクノロジーを活用した新たなDXサービスも展開中です。弊社のストック型収益モデルをさらに拡充するべく、この1年間で5件のM&Aを行いました。ソフトウェア開発やエンジニア派遣といった分野にも注力し、DXを通じて社会に貢献する企業へと進化を続けています。
DXを軸に新たな価値創造を!株主と一緒に企業価値を上げるfonfunの未来像
ーー水口社長が目指すfonfunの姿を教えてください。
水口翼:
私が目指しているのは、株主と一緒に企業価値を上げることです。株式市場で株を購入してくださる方たちは、株価が上がることを期待しています。その期待に応える形で成長戦略を実現し、弊社を市場で正当に評価される企業にすることが目標です。
ーー最後に、今後の展望についてお聞かせください。
水口翼:
fonfunでは現在、時価総額100億円を目指した新中期経営計画を進めています。そのためには、既存事業の成長だけでなく、M&Aによる非連続的な成長が重要です。fonfunはまだ発展途上の会社ですが、社会や株主に評価される企業になるべく挑戦を続けます。
また、社会に必要とされる企業であり続けたいです。弊社はDXを軸にインターネット技術を活用し、さまざまな業種・業界の課題を解決するソリューションを提供しているため、社会にとってなくてはならない存在を目指し、さらなる成長を遂げたいと考えています。
編集後記
水口社長のインタビューからは、挑戦を続ける姿勢と誠実な経営哲学が感じられた。株主の信頼に応え、市場で評価される企業をつくるという姿勢は、多くの経営者にとって学びとなるだろう。DXという成長市場でさらなる飛躍を目指す、同社の未来に注目したい。
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水口翼/1982年、東京都生まれ。株式会社fonfun(東証スタンダード上場企業、証券コード:2323)代表取締役社長。2001年、青山学院大学経済学部入学。19歳でWebデザイナーとして個人事業を開始。2004年に株式会社シンクマーク(現社名:サイブリッジグループ株式会社)を設立し、Webインテグレーション、Webメディア、インターネット広告事業を展開。2023年に株式会社fonfunを自己資金でTOBし、同年6月より代表取締役社長に就任。同社では経営戦略の中核をM&Aとし、TOB後に約1年で5件の買収を実行し、業績は約3倍、株価も約3倍(TOB時と2025年1月下旬比較)となっている。