※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

2014年の設立以来、最先端AI(人工知能)の研究・開発をコアビジネスとしてきた株式会社Cogent Labs。現在は、さまざまな文書を自動認識・データ化するAIサービス「SmartRead(スマートリード)」の展開に注力している。代表取締役社長CEOのエリック・秀幸・ホワイトウェイ氏に、起業の経緯やサービスの強み、今後の展望をうかがった。

AIの発展に刺激され、「社会課題」に挑むグローバルチームを設立

ーー起業した経緯をお話しいただけますか。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ:
証券会社に勤務し、16年にわたって日本株のトレーディングを担当していました。長年の知見を生かして金融業界の課題解決にも挑む中で、「社会」という大きなテーマに対して新たな価値を生み出したいという思いが、起業のきっかけになりました。

私は幼少の頃から「カッティングエッジ(最先端)」が好きで、「新しい可能性をどう生かすか」を考え、常に先を読んできたと言えます。2014年に登場した画像認識AIにもワクワクし、「エキサイティングな可能性を実現したい」という思いを抱いたことも、会社設立に至った理由の一つです。

私にとって「起業」はゴールではありません。AI(人工知能)の力で社会問題を解決していく「価値の創出」こそが今後のミッションです。日本は人口減少と高齢化が進み、多くの業界で人手不足や世代間のギャップが問題となっていますが、最先端技術の活用によってさまざまな面で企業の生産性は向上すると考えています。

ーー貴社の社風についてお聞かせください。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ:
従業員数は59名で、うち22名が16カ国から集まった外国籍の技術者であり、とてもグローバルな会社です。それぞれに異なるナレッジスキルや専門性を持ったメンバーが、年齢、言語、文化の壁を超え、協力し合い、チームプレイをしていることが最大の特徴だと思います。

「ミッション達成に貢献したい」という思いや、「リアルな社会貢献をする」というテーマもメンバーで共有しています。私たちは遠い未来の話をするよりも、社会全体や業界・企業内で「今まさに起こっている問題」を最先端技術で解決したいのです。

AI技術で企業の文書処理業務を自動化

ーー事業内容をご解説ください。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ:
文書の仕分け、データ入力や確認・修正といった事務作業を、自動化するAIサービスとして「SmartRead」を展開しています。前身は、弊社が最初に手がけた「Tegaki」です。AI-OCR(人工知能による光学式文字認識)」によって、SmartReadは手書き文字を高精度で認識するだけでなく、さまざまな文書をデータ化出来るサービスへと進化しました。

現在は大手・中小企業から、官公庁などの自治体施設に至るまで、幅広いお客様に活用していただいています。今後もあらゆる最先端技術を生かした機能を追加していく予定です。

ーーサービスの強みも教えていただけますか。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ:
「SmartRead」は、どんな文書でもデータ化し、業務処理プロセスを効率化できる点が強みです。請求書や申込書などを読み込むだけで、AIが文書構造を認識して適切にデータ化します。

業界を問わず多くの企業が、文書からのデータ入力やそのチェックといった非生産的な処理に膨大なコストを割いていますが、弊社はドキュメント処理業務に特化したシステムを独自開発することで、お客様のコスト削減をはじめとするニーズへの対応も実現してきました。大量のデータを素早く処理できるほか、企業のサンプルデータが少ない場合もAIが学習して柔軟に対応する仕組みとなっています。

私たちが提供しているのは「AI」そのものではなく、お客様が求める成果(アウトカム)を生む「サービス」です。事業規模が大きい会社の導入事例として、成果が出た部署から別の部署をご紹介いただくという広がり方もあります。また、お客様がサービスを導入する際は、弊社が手厚くサポートする人対人の体制も強みの一つと言えるでしょう。

「誰でも使えるサービス=新しい価値」をより多くの人へ

ーー今後の展望をお聞かせください。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ:
企業にとっては、社内に「新しい技術」を浸透させるステップが不要なことがベストです。「SmartRead」を活用する上で、難解なソフトウェアのインストールや特別な学習は必要ありませんが、これまで以上に「誰でも簡単に使えるサービス」を目指し、AIの可能性を最大限に活用していきたいと考えています。

弊社のコアビジネスは、AIが進化し続ける時代に「新たな価値」を創出することです。AIの利用に対して漠然とした不安や抵抗感を抱く方でも、安心してデータを提供し、意識せず直感的に活用できるサービスを追求し続けています。また、言語をまたいで最先端技術を提供できるグローバル企業として、アジアをはじめとする海外にも拡大していきたいところです。

編集後記

AIに対する「難しそう・人間味がなくて怖い」という固定観念を払拭することは簡単ではない。Cogent Labsは最先端を追求することで、「新しい技術を使う」という感覚すら人に与えないステージを目指す。あらゆる可能性を「隔てる壁」は不要という発想は、グローバルな人材が集う企業の在り方と重なるものがある。

エリック・秀幸・ホワイトウェイ/1974年生まれ。コロンビア大学でコンピュータサイエンスとオペレーションズリサーチを学ぶ。その後、モルガン・スタンレーMUFG証券に入社。16年間にわたって、リスクトレーディングとアルゴリズムトレーディングをリードし、マネージングディレクターとして株式トレーディング本部を牽引する。ディープラーニングの進歩と可能性に惹かれ、2014年に株式会社Cogent Labsを設立。