※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

2016年創業の株式会社EST GROUPは、売買仲介を手掛ける若手中心の不動産会社として注目を集めている。中でも、単身世帯をターゲットとする売買仲介の独自サービス「SMUUL(スムール)」は、わずか数年で主力事業へと成長し、上場を視野に入れるまでの実績を上げている。

今回は、急成長の不動産ベンチャーを20代で立ち上げた代表取締役の渡邊亮介氏に、大切にしている経営方針、事業拡大のための営業戦略、そして将来のビジョンについてうかがった。

起業の原点は「胸を張って売りたい」

ーーまずは、ご経歴と起業に至る経緯を教えてください。

渡邊亮介:
18歳で高校を中退して大阪に行き、D2Cのアパレルの立ち上げを経て、バーテンダーとして飲食業界で働いていました。自分のお店を開くという夢を追いかけていた時期もありましたが、妻と出会い結婚を意識するようになったことで「夢よりも現実を見つめる必要がある」と考え、22歳で不動産営業の世界に飛び込みました。

ーーすぐにトップ営業マンとして活躍されたのですね。

渡邊亮介:
就職した不動産会社は本当に過酷な環境下でしたが、おかげで普通なら3年かかる営業力や業務知識を一年で得ることができ、2年目にはトップの営業成績を上げることができました。ただ、当時は戸建てを中心に販売していたのですが、私自身はマンションの方がさまざまな点で優れていると考えていたため、次第にお客様への提案に力が入らなくなってしまいました。

「胸を張って売れない」という思いが募り、営業への熱量が徐々に低下していきました。葛藤の末、その会社を2年半ほどで退職し、かねてから抱いていた起業への思いを実現すべく、25歳で営業代行の会社を立ち上げ、その後2016年に弊社を設立した次第です。

「圧倒的な量で勝負する」人材育成方針

ーー経営者として大切にしている信条を教えてください。

渡邊亮介:
基本的に自分は凡人だと思っているので、「とにかく量をこなす」ことが起業当初から掲げている信条です。幼少期に没頭した野球やギターでも、周りの人たちよりもうまくなるために、人一倍練習する努力をしていました。その成功体験が「圧倒的に働く」という経営姿勢の礎となっています。

ーーその経営姿勢は、人材育成にも活かされているのでしょうか。

渡邊亮介:
はい。弊社では新入社員に対し、まず徹底的に量をこなす機会を与えています。早い段階で数多くの経験を積むことは、何ものにも代えがたく、大切です。特に営業やマネジメントは、一度身につければ生涯のスキルになりますから、なおさらです。人生には誰しも頑張らなければならない時期が必ずあり、それを早いうちに経験できれば、年齢を重ねたときに人生は充実し、より楽しいものになると信じています。

常識を覆す都心の単身者に特化した独自戦略

ーー主力事業「SMUUL(スムール)」について教えてください。

渡邊亮介:
「SMUUL(スムール)」は、マンション購入の相談から購入まで一貫したサポートを行なっているサービスです。弊社の取り扱い物件は、99%が東京都心部のマンションですが、他社とは異なる独自の集客方法で顧客とコミュニケーションをとっています。

全体の8割を単身者、残り2割を子どもを持たないdinks世帯が占め、従来の不動産業界では見過ごされてきたファミリー以外の層に焦点を当てています。これらの方々は購入タイミングの判断に慎重で、将来の売却を視野に入れた、資産形成としての側面を重視する傾向があります。弊社では、そうしたニーズに対してきめ細やかな相談と提案を行っています。

ーーどのような営業手法で顧客を集めていますか。

渡邊亮介:
100%web経由の反響営業スタイルで、取締役CMOの松下が中心となり、webマーケティングを内製化し、SNS広告を中心にこの一年で一気に加速させています。その結果、月間500名以上の方から問い合わせをいただき、ほとんどの方はオンラインで面談をさせていただいてます。全社員32名のうち18名が営業担当ですが、1人当たり平均で月3本の成約を実現しており、生産性という点では日本でもトップクラスだと自負しています。

「全員が主役に」大幅増員で次のステージへ

ーー今後は人材採用にも力を入れていくそうですね。

渡邊亮介:
弊社の採用方針には、新卒よりも第二新卒に重点を置き、その8割は未経験者を採用するという特徴があります。前述したとおり、弊社は他社とは違うターゲット層を狙っているため、経験者よりも未経験者の方が早期に活躍できる傾向があるのです。

事業拡大のために、1年後には営業社員を60人規模まで増やす計画で、成長意欲のある方を積極的に採用したいと思っています。私たちは、職場を「なりたい自分になるための場所」と位置づけており、理想を見つけて成長したいという意欲がある方々との出会いを楽しみにしています。

ーー将来のビジョンを教えてください。

渡邊亮介:
まず目指すのは、3年後の上場です。不動産業界において、サイバーエージェントや楽天のように、革新的で存在感のある大人気企業になりたいという思いを抱いています。その実現に向けて、私が考える「良い会社」の条件は、「成長できる」「稼げる仕組みが会社にある」「高め合える仲間がいる」の3つです。

単にトッププレーヤーだけが活躍する会社ではなく、全員が主役として役割を担える環境をつくり、お客様、従業員、取引先など関わる全ての方から必要とされる「日本一モテる不動産会社」を目標にしています。

編集後記

渡邊社長の挑戦には、並々ならぬ覚悟と情熱が感じられる。他社が重点を置かない層を狙った独自のターゲティングを重視し、顧客目線に徹した独自サービスの展開を強みに急成長する同社は、生産性を極限まで追求する経営戦略や、その根底にある「全員が主役となる会社づくり」というビジョンを描き、さらなる成長を目指す。

不動産業界に新たな風を吹き込む株式会社EST GROUPの挑戦は、単なるビジネスの成功を超えて、業界全体のパラダイムシフトを予感させるものだ。「日本一モテる不動産会社」という独創的なビジョンが、どのような未来を切り拓いていくのか、期待せずにはいられない。

渡邊亮介/1988年東京都生まれ。18歳で大阪に行き、アパレルのECサイトを運営する会社に就職。その後、飲食業界を転々とし、20歳で東京に戻る。2013年、結婚を機に不動産業界に転職し、トップ営業マンに上り詰める。最年少で役職に就くも、2年半ほどで転職。26歳で営業代行会社を立ち上げ、複数社のコンサルティングを経て2016年、株式会社EST GROUPを設立。