「まちづくり」には多くの側面がある。建物の建築にインフラ整備、福祉の充実やにぎわい創出など、私たちの生活は多くの要素がかみ合って成り立っているものだ。
では、これらを束ねる根本的な目的とは何だろうか?なぜ私たちは一つの街を守り、未来へ繋ごうとするのだろう?埼玉県朝霞市には、そんな根源的な疑問に人生をかけている社長がいる。株式会社リゾンの代表取締役社長、橋本太樹氏だ。
橋本社長の考えを聞くと、私たちが思い描くイメージがいかに表面的なものか気付かされた。この記事では、橋本社長のまちづくりにかける熱い思いを余すところなくお伝えしたい。
祖父が創業した不動産業を継ぐ三代目社長
ーー社長の経歴をお聞かせください。
橋本太樹:
弊社は私の祖父が創業した会社で、私は三代目です。幼い頃から家が会社を経営していることは知っていましたが、継ぐ意識はありませんでした。しかし、進路相談の際に先生から家業の不動産業界を勧められたことをキッカケに家業を意識するようになり、不動産業界に入りました。
その後、不動産会社を2社経験し、2004年に弊社に入社。2017年に父親から世代交代をして代表取締役に就任し、今に至ります。
多くの人に支えられた「今」のありがたみを知る
ーー橋本社長が大事にしていることは何ですか?
橋本太樹:
創業者の理念である「地域の信頼」を最も大切にしています。
そもそも弊社は創業者が、地元の皆様から信頼を得て、山の管理を任されるようになったことから始まっています。先祖代々大事にしてきた山を他人に任せるのは不安なことです。しかし、それだけに任された側は信頼に応えようと張り切ります。
この思いは長い時が経った今も変わっていません。今も昔も信頼に最大限の敬意でお応えすることで、皆様との良好な関係を保ち続けています。今後もおごることなく、皆様の幸せを第一に考え続けていく次第です。
「ふるさとまちづくり企業」として人々の生活を輝かせる施策に取り組む
ーー貴社の事業内容を教えてください。
橋本太樹:
主な事業は、弊社がある埼玉県朝霞市を中心とした土地・建物の賃貸管理です。賃貸アパート・マンションの管理戸数は約1万5000戸、駐車場管理台数は約2万5000台と数多くのお客様に、管理をお任せいただいております。
弊社が大切にしているのは「ふるさとまちづくり企業」であることです。弊社が考えるまちづくりの本質である「そこに住む人々の人生を幸せにすること」の実現を第一に、従来の不動産会社の枠にとらわれない、さまざまな施策に取り組んでいます。
賃貸や売却だけでなく、相続対策や地域イベントの開催、さらには婚活イベントまで、あらゆる手段にチャレンジしながら、そこに住む人々の人生が幸せに満ちるように、本当の意味でのまちづくりを追究していきます。
ーー「ふるさとまちづくり企業」として特に注力している事業を教えてください。
橋本太樹:
スタッフに地域の主婦の方々を迎えて、弊社の物件を利用いただいている子育て世帯を応援する「ライブリーサロン」という取り組みがあります。育児経験のあるスタッフに子育ての相談ができるほか、警察や消防、病院と協力して子育てに役立つ知識を届ける「子育て応援プログラム」も実施しています。
私は、主婦こそ地域づくりの主役として敬うべき存在だと思っています。家事や子育て、仕事だけでなく、さまざまな行事にも参加しているパワフルな姿を見ると、これはもはや地域の資産だと感じるのです。
しかし、主婦の活躍は日常に溶け込んでしまっており、その貢献度に反して他者から感謝されることが少ないです。そんな主婦の方々に活躍の場を用意して、「ありがとう」でつながれる環境が作れたら、その地域はもっと活気づくのではないでしょうか。
まちづくり同様に法人の歴史にも寄り添う
ーー法人向けのサービスも提供しているそうですが、どのような内容ですか?
橋本太樹:
BtoB及びBtoCのマッチング事業を実施しています。BtoBでは新たな事業やコスト削減といったビジネス機会の創出を、BtoCでは地域住民との協力関係を築くことを目的としています。BtoC事業をキッカケとして、地域イベントに発展する事例もあります。
また、多くの社長の課題である事業承継の問題を、人材とのマッチングで解決する事業も行っています。目指すのは企業の永続繁栄で、資産管理や出会いのコーディネートなども併せて行っています。
地域と同じように会社にもそれまでの歴史や思い出があります。社長に代わってそれらを次世代へと繋いでいくことの本質は、まちづくりと共通したものだと思います。
ーー貴社の今後のビジョンをお聞かせください。
橋本太樹:
弊社は地域の皆様に支えられ、皆様のために存続してきた会社です。今後もこのスタンスが変わることはありません。街に刻まれた思い出や地域資源すべてを大事にして、次の世代へ繋ぐことが弊社の使命です。
特に農地は良い形で残していきたいと考えています。朝霞市の周辺は東京に近い割には農地が多いエリアで、担い手不足が課題になっています。そこで弊社が農地の管理者となって地域の方に開けた活用をし、多くの人に愛される地域資産として維持していきます。
私たちは、地域に暮らす人々が繋いできた物語を記録し、語り継いでいく「記録係」でもあります。先祖、今、そして子孫へと、すべての世代が幸せに暮らせることを目指して、これからも「ふるさとまちづくり企業」としてあり続けます。
物や人の良さを「シェア」し、皆に愛される街へ
ーー入社を希望される読者にメッセージをお願いします。
橋本太樹:
皆さんに入社していただいた際に取り組んでいただきたいことがあります。それは、街に幸せの輪を広げるキッカケづくりです。
物や人は必要とされてこそ輝けるもの。皆さんには、街に眠るあらゆる魅力を発掘し、地域に「シェア」をしていただきたいのです。地域の良さが広まれば、街はいっそう愛され、輝きを増すでしょう。こうして一人ひとりにとって大切な場所になり、街がみんなの宝物になるのです。
弊社には全国から「まちづくり」を本気でやりたい人が集まっています。毎年新卒採用をしているので、不動産業界未経験の方でも問題ありません。地域の人々の幸せを追究した仕事をしたい方は、ぜひ私と一緒に取り組みましょう。
編集後記
家も道も、そして数々のイベントも、それらの果たすべき役割とは人々の幸せな生活へとつながっている。こんなシンプルなことに私たちは気付かず、形ばかりにこだわってしまう。本質を見落とさないためには、橋本社長のような顧客を思い抜く心が大切なのだろう。私たちの住む日本に、これほどまで人々の幸せを思ってくれる方がいることを、誇りに思わずにはいられない。
橋本太樹/1974年生まれ。明海大学不動産学部卒業後、株式会社アービックに入社し、賃貸管理業に従事。3年後、株式会社パワープロパティに転職し、不動産売買・仲介業を経て、2004年に株式会社リゾン入社。2017年に代表取締役社長に就任。不動産会社の枠を超えた「ふるさとまちづくり企業」としてモノ創りとコト創りを実践し、ポタジェガーデンやFMラジオ局の運営も手掛ける。