※本ページ内の情報は2025年3月時点のものです。

古田土会計グループは、中小企業の経営支援や財務指導を行う会計事務所・社会保険労務士事務所だ。働く人やその家族の幸せを第一に考え、同業者への支援も行っている。

「本当の優良企業は中小企業の中にこそある」と語る同社創業者(現会長)の古田圡満氏は、中小企業の経営支援を一貫して実践し、2024年には旭日単光章を叙勲した。今回は古田圡会長に、同社立ち上げの経緯や経営理念について話を聞いた。

父から受け継いだ「働いてくれる人を大事にする経営」

ーー会長の経歴や貴社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。

古田圡満:
親が茨城県で建設業関係の事業を営んでいたことから、私は父の姿を見て商売の基礎を学びました。中でもよく教えられていたのは、働いてくれる人たちへの敬意です。当時は社員を「使用人」と呼称することが一般的でしたが、その言葉を使わず「働いてくれる人」と呼ぶこと、また、働いてくれる人がいるからこそ経営が成り立つことを、小さい頃から教わってきたのです。

法政大学を卒業後は、公認会計士として監査法人に勤務しました。しかし、監査法人で行うのは、大企業を相手とする法律で定められた監査などの仕事です。お客さまの役に立って喜んでいただいている実感がなく、自分には向いていないと感じました。

そこで30歳のときに独立し、弊社を立ち上げたのです。中小企業の方に対し、監査法人で学んだ経営分析手法を駆使して支援を行ったところ、大変喜んでいただき、口コミでどんどん依頼をいただけるようになりました。

ーー貴社の事業内容を教えてください。

古田圡満:
会計事務所と社会保険労務士事務所が中心ですが、メインのサービスは税務申告ではなく経営計画や財務の指導です。会計事務所を母体としているため、経営全般や社員教育のコンサルティングだけでなく、財務の指導も月次で行えることが特徴です。

弊社には「古田土式月次決算書」や「人を大切にする経営計画書」「社長の成績表」といった商品があり、中小企業の役に立てるよう工夫を凝らしています。たとえば「社長の成績表」は、中小企業の決算書を基にした格付表です。銀行や帝国データバンクが発行している格付表は自社のための格付表です。中小企業を対象とした中小企業のための格付表を弊社がはじめて制作したのです。

弊社の行ってきた中小企業支援は経済産業省から認められ、2024年5月には勲章(旭日単光章)をいただき天皇陛下に拝謁いたしました。

日本中の中小企業を元気にすることを目指し、同業者の支援にも取り組む

ーー貴社の経営理念を教えてください。

古田圡満:
弊社の理念は「日本中の中小企業を元気にし、その社員と家族を幸せにする」ことです。弊社がお客さまのモデルになってこそ適切な経営指導ができると考えているため、経営の透明性を重視しています。使命感・経営理念・未来像・戦略・戦術・数字をまとめた経営計画書を毎年作成し、パートの方を含めた全社員に配布しています。

決算はもちろん、私や社長の給料もオープンにし、社員がいつでも弊社の経営状況を確認できるようにしています。株式会社古田土経営の株式の多くも社員に分配しているため、私の持分は7%程度しかありません。

ーー同業者に対しても経営支援を行っているそうですが、その理由を教えてください。

古田圡満:
理念の実現のためです。弊社の経営目的は社員と家族の幸せですから、会社の成長や売上・利益の増加は手段でしかありません。世間一般では利益や規模の拡大が目的となっている会社が多いため、弊社のように同業者の支援をする会社は珍しく映るのかもしれません。日本中の中小企業を元気にするべく、弊社だけでなく同業者の方を通じても経営支援していきたいと考えています。

人を大事にする企業への就職が、働く人の本当の幸せにつながる

ーー日本の未来を担う10代・20代の読者に向けて、メッセージをお願いします。

古田圡満:
10代・20代の人たちには、ぜひ働くことの意味や社会貢献を大事にしてほしいと思います。私は、世のため人のために役立って社会に貢献する働き方をして、仕事に対して誇りを持つことが働く人の幸せになると考えています。

就職先を選ぶ際に、多くの学生は大企業を目指し、給与をはじめとする条件面を重視します。しかし私は、中小企業にこそ本当の優良企業があると考えています。人を大事にして利益を上げている中小企業は、社員に過度な競争を要求しません。

中小企業より大企業の方が優れていると思っている人もいるでしょう。しかし、私は人を大切にしてくれる会社に勤めることが本当の幸せにつながると考えています。ぜひ、優良な中小企業を探してみてください。

編集後記

「働く社員とその家族を大事にすること」を何度も強調する古田圡会長。自社のみならず、日本中の中小企業で働く社員や家族の幸せを一番に願い、目的を見失わないからこそ、大きな結果がついてきているのだろう。

古田圡満/1952年生まれ。法政大学経営学部卒。公認会計士・税理士。監査法人を経て、1983年1月に独立。現在450名の古田土会計グループ代表取締役会長を務める。「日本中の中小企業を元気にし、その社員と家族を幸せにする」を使命とし、4,000社の中小企業に対して会計指導と経営計画指導を通した経営支援を行っている。全国の会計事務所400社に対しても、同業者支援という形で力を入れている。